Locket-Fire-Works
火を噴いて、火を噴いて、空へ、空へ。
どんどん高く、どんどん高く。
子供心に、目を追いかけた。
ロケットから下を見て。
見上げた僕を、見下ろしていた。
ぱん。
はじけて、
我に返る。
あぁ、そうだ。
僕は、ここに居たんだっけ。
繰り返す動作。
瓶に並べた一本一本。
端から順に火を、つける。
しゅっ、しゅっ、しゅっ。
遠くへ、遠くへ、遠くへ、
火薬が爆ぜる瞬間。
導火線が焼き切れる一瞬。
自分の顔に、かかる火の粉。
焼ける素肌。
至近距離。
一本だけが、笛の音を立て、
林檎の木の上。
真っ黒になった。
そうしてまた、空を目指す。
きっと、明日はバラバラになる。
明後日は、四本束ねて。
もっと遠く。
もっと、空。
行先は上。
思いは、宇宙。
現実は、砕け散って。
風に飛ばされ、用水路の中。
さようなら、烏。
またおいで。
お勤めご苦労様。
その時、僕の目も道連れ。
真っ赤に染まった。