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ご主人さまとエルフさん  作者: とりまる ひよこ。
奴隷暮らしも楽じゃないのです
3/74

tmp.3 ガチャガチャにご用心


 鬼畜幼女趣味(ごしゅじんさま)の凶行によって受けたダメージを癒すために寝込んでいた翌日の夜頃、変異種のゴブリンを倒しに行ったご主人さまが翼竜を狩ってランクアップして、ついでに出来上がっていたボクの分のギルドカードを持って帰って来ました。


 訳がわかりません。何で駆け出し御用達のゴブリンを倒しにいって上級冒険者でも梃子ずる翼竜をほぼソロで倒してくるのか意味不明です。しかも同行していた生意気な魔法使いの少女のフラグまでキッチリとゲットしてやがってました。これだからチート野郎は。


 ちなみにご主人さまは朴念仁でも鈍感でもないようで、それをキッチリ認識した上でスルーしてます。


『た、助けてくれなんて頼んでないわ、で、でも、感謝くらいはしてあげる』

「……だとさ、リアルツンデレってうざいな」


 とかいって苦笑してましたからね、その鬼畜具合にボクは背筋が凍りそうです。


 じゃあリアルTS転生したロリエルフという摩訶不思議生物はどうなのと聞いてみたら、危うく押し倒されそうになりました。何でリアルツンデレがダメでボクが大丈夫なのか疑問は尽きません。可愛ければ何でもいいならツンデレを忌避するのはオカシイですし、何でも良くないならボクを忌避するはず。


 うぅむ、要研究ですね。ご主人さまには適当な女性をゲットしてもらった上で、ボクは安全な家政婦ポジションに就きたいのでこういった努力がものをいうのですよ。でも人間には興味が無いと断言してるので穏やかな将来は遠そうなのです。



 さて、流石に寝込んでいる少女を襲うほど人間をやめていないのか、その日は普通に抱きしめて寝るだけだったご主人さまは、朝から何か虚空に指を這わせておりました。ちなみにボクは恐怖であんまり寝れませんでした。現代日本なら訴えたら軽く7桁くらい慰謝料もぎ取れそうな気がしますね、人権派の弁護士はどこでしょうか。


「何してるのですか?」


 寝不足もあってしばらくはボクも大人しくしていたのですが、一心不乱に何もない中空を眺めて指を動かすご主人さまの姿が余りにもその……アレで、鬼畜をこじらせてついに病んだのかと心配になってきたので声をかけてみました。


「なんか冒険者のランクが上がったら、新しい機能が増えてな」


 といって指さしてくれるのですが、残念ながらボクはチート持ちではないので何も見えません。もっとも同郷で同年代的なので大体どういう状況かは解るのですが、何も知らない前提で外から見ると完全に痛い人ですよねこれ、残念なイケメンってやつでしょうか、ぷげら。


「最近のソラは図太くなってきたよね、イジメ甲斐があって嬉しいよ」


 ふん、ボクは暴力や脅しには屈さないのです。ボクの意思と心はボクだけのものなのです、どんな手段を持ってしても鬼畜野郎なんかに折られやしません! だから土下座で勘弁して下さい。



「あはは、新しい機能っていうのは……まぁガチャガチャらしくて、

 一定の代価を投入するとランダムで何らかのアイテムかスキルを得られるらしい」


 また射幸心を煽るタイプのシステムを出して来ましたね、でもスキルって外せないのならヤバイのが出たら酷いことになるのではないでしょうか。代価が必要ってことですがやっぱりお金ですかね、結構コストがかかりそうです。


「折角だから今ちょっと試してみようか、パーティメンバーも挑戦出来るみたいだし」


「あ、はい」


 うぅーん、やってみたいと思ってしまうのが男心というやつなのでしょうか。微妙ですねそうですね。男心だと思えるものがちょっとでも残っていて嬉しかったのですが。いえ、なんというか最近のご主人さまは本気でボクの心を折りに来てて辛いのですよ。


「代価はこれだ」


 そういってご主人さまが虚空から取り出したのは青白く輝く翼と天秤の書かれたメダルでした。一体どこから出して……ってチートアイテムボックスですね。メダルは一部のモンスターを倒すと極稀に貰えるらしいです。一枚につき一回だけガチャガチャを回すことができて、手持ちは五枚でボクは二回引いて良いとか。


 流石ご主人さま太っ腹です。うーん、出来れば下克上を狙えるスキルが欲しい所です。当然夜関係以外で、夜関係以外で。ここ凄く大事です、ボクはそんな物は望みません。


「よし、これで行けるかな」


 多分メニューウィンドウか何かを弄っていたご主人さまが声を出すと、ベッドの上にぽふんと音を立てて黄金色のガチャガチャの機械(名前わかりません)が出て来ました。メダルを入れる場所と回転させるための取っ手があります。


「先にソラが回していいぞ」


「はい!」


 では遠慮無くやらせていただきましょう。勝利への鍵をこの手に! 貰ったメダルを入れて勢い良く取っ手を回すと、ガチャリという小気味良い音を立てて光の玉が転がり出ました。触れてみると目の前に半透明な、多分ウィンドウが出現して取得したアイテムが表示されます。どうやらこういった形で出現したものは本人以外も見えるようです。


 さてさて、問題の内容はっと。


【スキル獲得

 『魅惑』パッシヴ

 他者が保有者に抱く愛情や友情などの好意的な感情を強化する。

 また保有者の仕草や言動が他者にとって少しだけ好意的に受け取られるようになる。】


「何でですか!!」


 思わずウィンドウを枕で引っ叩くと、吹き飛ばされたウィンドウが壁に当たって跳ねまわります。……え、というか触れるんですかこれ!? ほっといたらすーっと溶けるように消えたんですが、バグとか大丈夫なんでしょうかね。


「またソラにピッタリな感じのが」


「嬉しくないです、全く嬉しくないです!!」


 このスキルはいけません、酷く嫌な予感がするのです。なんだか見えない悪意を感じるのですけどどうなっているのですか!


 しょっぱなから嫌な予感が全開なのですが、もう一枚を引けばきっと良い物が出るんじゃないかという期待もあります。なんだか破滅へ向かうギャンブラーみたいな心境です。メダルを入れて取っ手を回しすと、また光の玉が転がりでてウィンドウが開きました。ごくり……。


【スキル獲得

 『天使の口吻/プリティキッス』パッシヴ

 くちづけに相手の体力と魔力を少しだけ回復させる効果を付与する。

 肉体接触が必要な代わりに代償なしで発動可能、時間が長いほど効果も大きくなる。】


「うがーーー!!」


 ウィンドウをひっつかんで壁に叩き付けるとカシャーンと綺麗な音をたてて粉砕しました、って掴めた! 割れた!? ま、まぁそれは置いておきましょう。それよりも! 


 なんつースキルを持たせるんですか! 悪意を通り越して殺意を感じます、主に隣でニッコリと微笑む残念なイケメンさんから!!


「次は俺の番だね」


 失意に沈むボクを尻目にご主人さまがガチャを回し始めました。ご主人さまなんてとんでもないハズレアイテムやスキルを引いて苦しめばいいのです、そうすれば下克上も可能に。相手の弱点を突くのは基本なのです。


「……お」


 光の玉が転がり出て、それが割れるようなエフェクトがするとご主人さまの手の中に真っ赤な炎の意匠が施されたやたらカッコイイ長剣が現れました。ウィンドウも出現します。本人以外にも見えるみたいです。


【アイテム獲得

 『レヴァンティン』長剣/ランクA

 炎の力を宿した魔剣、魔力を込めると熱を帯び、炎を纏う。

 赤熱した剣身は巨大な岩すらバターのように切り裂く事が出来る。】


「何ですかこの格差は!!」


 一発目でアタリ武器引くとか何なんですか、幸運チートですか、幸運チートですね! 全てチートが悪いんですね、このチート野郎! 内心で罵るボクを余所に御主人様(ちーとやろう)は黙々とガチャガチャを回していきます。


【スキル獲得

 『天賦の剣才』パッシヴ

 剣を扱う才能を底上げし、成長力を高める。

 普通にやれば一流、努力をすれば超一流を狙える才能。】


「うわぁぁぁん!?」


 なんでこうオーソドックスに強いスキルを引くんですかねこの鬼畜ロリコン野郎は。ボクに対するあてつけなんでしょうか、そろそろ怒っても良い気が。


「次で最後かな」


「う、うぐぐぐ、オチに期待です、

 今までのアタリがひっくり返る大どんでん返しに期待するのです、

 この変態鬼畜野郎が絶望のどん底に落ちるスキルがきてボクの時代が始まるのです……」


「変態鬼畜野郎て……」


 最後の一枚が投入されると、またしてもガチャリと小気味良い音を立てて光の玉が転がり出ます。どれどれ、スキルっぽいですね。一体どんなのを引いたのでしょうか。


【スキル獲得

 『性豪』パッシヴ

 体力と精力を大幅に】


 脇目も振らず全力で扉を押し開けて部屋を飛び出しました。


 か、鍵のかけられる部屋はどこですかぁぁぁ!?



【RESULT】

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

MAX COMBO【12】 <<new record!!

TOTAL HIT【12】 <<new record!!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

TOTAL EXP【31】

―――――――――――――――――――――

【パーティー】

[シュウヤ][Lv20]HP291/291 MP480/480[正常]

[ソラ][Lv1]HP2/17 MP30/30[正常]

―――――――――――――――――――――

【レコード】

[MAX COMBO]>>12

[MAX HIT]>>12

―――――――――――――――――――――

【一言】

「この手のスキル持ちを主人に持つ奴隷さんたちの苦労がわかったのです……」

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