我、敵発見ス!
「早速だがお前に任務を与える」
魔法騎士隊に入ってから初日、新たな任務がエクリアから伝えられた。
特別措置で入団した隊員であるから、普通の騎士団員よりハードな任務生活になるそうだ。
だから任務内容が気になる。いきなり最初から巨大ドラゴンに挑むとなれば、それなりの準備をしなければいけない。いくらこの世界で上位の攻撃力がある小銃でも、巨大な相手を倒すとなれば過小のダメージしか与えられないだろう。
そのような意味も兼ねて情報収集は必要だ。
「具体的にどんな任務なんですか?」
「キングゴブリンの退治だ」
「キングゴブリン?」
仁の問いかけにエクリアは頭を頷き
「そうだ、キングゴブリンだ。こいつは名の通り通常のゴブリンより体が大きく、ずる賢く、力もかなりある。しかも皮は普通のゴブリンより厚く、生半可な武器では内部にダメージを与えられないぞ。まあ、お前ならできると思うが」
含みのある笑みを仁にチラっと見せるエクリア。
「まあ、アルファレックスよりは倒しやすい相手だと思うが、キングゴブリンが厄介なのは周りに慕っている普通のゴブリンが多数いることなんだ。実際目標を倒す前にゴブリンにやられてしまう例も稀ではない」
「集団行動をするってことですか」
「そうだ。だから厄介なんだ。」
アルファレックスのように一匹狼の行動をするのではなく、ゴブリンの集団を操り、相手を徐々に追い詰めていくそうだ。背丈が低いからといって油断をしていたら、気がついたら自分が不利の状況だった、てこともあるらしい。
「わかりました。必ず任務を成功してみせます」
「うむ。初めての任務だ。新人は無茶をするから自分で自制するよう心掛けるようにな」
そう言い、無駄のない動きで踵を返し、部屋からでていった。
ドアの閉まる音が空白の空間に虚しく響くと、仁は任務達成の為、作戦を練ることにした。
ラフィア城門前で仁は待機していた。ここで待つよう言われたのである。
ちなみに今の服装は今までと同じ九八式夏衣と帽垂の付いた帽子を着ている。
そして肩には百年式短機関銃、腰には十四年式拳銃、さらに傍らには九七式側車付自動二輪車…つまり簡単に言うと軍用バイクがある。
この世界ではかなり目立ち、道行く 人々は歩を止め、物珍しそうに見ている。
人々の珍奇な物を見るような視線に居心地悪さを感じ、帽子を深く被り顔を隠した。横顔を隠せる貌垂はこの世界で初めて役に立ったと実感するのであった。
「しかし、遅いな。もうすぐ来るはずなんだが」
「…もうここにいる」
「うおっ」
いきなり後ろから声がしたのでびっくりして後ろを向くと、イーナが立っていた。相変わらず暑そうな黒いローブを着ている。
「いたのかよ!びっくりした」
「…最初からずっといた」
と若干不機嫌そうな声を出す。気がついてほしかったのか?
「ところで…それは何?」
さっきからチラチラバイクを見ていた。さっきから気になっていたらしい。
「バイク」
「え?」
「馬と同じだと思ってくれればいいよ」
「馬にしては固い。しかも生きている気配がない」
いつの間に九七式の近くに来て、実際に触って感触を確かめるイーナ。このあまりにも異質な物体に興味津々の様子である。
「これに乗って行くから道案内は頼むよ」
「へえ…動くんだ」
必死に驚愕の表情を隠そうとしているのか、口元をキュッと結び無表情を装っているが、赤葡萄色の瞳がキョロキョロと焦点が合ってない。
「まあ、行くから乗って」
そう言い自分もバイクに乗る。戸惑っていたイーナであったが、エンジンをつけると隣の席に座ってくれた。
聞き慣れない音に人々はかなり驚いたらしく、果物を売っていた中肉中背の店主はボトボト道の真ん中に盛大に落としていた。
「…ごめんなさい」
罪悪感が残りながらも王都を後にした。
仁が最初にいた危険地域の反対側、ここも緑が広がる丘陵地帯だ。ただしここは地面なデコボコしていなく、自動二輪車を走らしやすかった。透き通るような青空の下で動かすのは気持ちいいものだ。
「すごい。馬より居心地がいい」
隣にいるイーナはこの未知なる乗り物を気にいったようだ。
「で、どこの方向へ行けばいいの?」
「もう少し行ってあの森の方へ入ればいるかもしれない。ここらは目撃情報が他より多いから」
「そうか」
イーナに確認し、仁は九七式のスピードを上げた。
イーナと共に自動二輪車から降り、しまう。そして百年式機関短銃を取り出した。
周りを見回す限りゴブリンの姿は確認できない。
「探索する必要があるな」
「じゃあ私が思い当たる場所へ先導していく」
そうイーナは言うと仁を追い越し、足早に進んでいった。
それからかれこれ一時間。ずっと草木が雑多に生えた林の奥へ進んでいるが、何の進展もない。
流れるように時間が過ぎていき、集中力が鈍ってきた。
「なあ、ほんとにここにいるのか?」
「いる。こっちの様子を窺っている」
「いるのか」
「右前方の木の後ろに一匹」
指定の場所に頭を向けても視覚では確認できない。今までと変わらない景色があるだけだ。
横にいるイーナは手中に赤黒い色の球を即座に作り、前方の右に向けて発射した。
発射された球は見事に直撃し、辺りに爆発音がなり響いた。
「ウギャアアアア」
そして着陸地点には、醜悪な姿を晒した緑色の生き物が悲鳴をあげていた。あいつがゴブリンだ。
すぐに百年式を取り出し発射した。いちいち細かく狙いをつけなくても、この銃は連射が可能なので素早く仕留めることができる。
皮でできた服を身につける無防備な体は、銃弾の格好の対象となり、身体の繊維をズタズタに引き裂いた。
「簡単に倒せたな」
しかし、内心ゴブリンが見張り、偵察行動をしていたことに深く関心していた。
「…そうでもないみたい」
仁と裏腹なイーナは少し焦っているようだ。
「どうした?」
「ゴブリンの大群がこっちにおしよせくる!」
遅れました、すみません。
しかも急いで仕上げた上、中途半端なところできってしまいました。




