表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅人が見たもの  作者: あひる
一人旅
5/36

思い出の旅

 心に残る旅はと聞かれたら、旅人は幼い頃に見た夢の旅だと答えるだろう。

 それ程までにその旅は、得る物が多かった。

 淡い赤の空間。ピンクではなく、赤を薄めた空間だ。

 そこに翼の生えた白馬がいた。

 夢を翔けるペガサスだと、瞬時に悟った。

 近くには、見たことのない少女。今ではもう、顔も思い出せない。

 彼女と一緒にペガサスに跨がり、夢を渡る。

 夢は、虹色の泡に包まれて、ぼんやりと色付いていた。

 少女がひとつひとつ教えてくれる。

 その青い夢は海の夢。

 その赤い夢は夕日の夢。

 その銀の夢は星たち。

 数え切れない夢が、きらきら光り、ゆらゆら揺れ、時にははらはらと散って行く。

 そんな幻想的な中を、二人、旅をした。

 海原の歌を口ずさみ、夕日の色に染まりながら、銀の星を目指して。

 ピンクではなく、淡い赤だと思ったのは、それが夕日の色だったから。

 気の済むまで夢の中を旅して、最初の場所に戻って来る。

 また会おうねと、指切りを交わした。

 起きてから、考えてみた。

 自分は綺麗な景色を見たい訳じゃない。

 知らない世界を見たい訳でもない。

 ペガサスに会いたい訳でも、少女とまた旅をしたい訳でもない。

 ただただ純粋に、旅をしたいだけなのだ、と。

 旅人としての人生は、その時に決まったのだと思っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ