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昼も夜も
どうしてか、夜と言うと月、月と言うと儚いと言うイメージがある。
夜から星に、星から儚いパターンも非常に多い。
吟遊詩人たちは、こぞって月や星の儚さを歌い上げる。
そのどれもがありきたりで、だからこそどこか作り物めいていて、旅人はあまり熱心に聴いたことがない。
美しいだけが、儚いだけが、月や星ではない。
ましてや、夜は恐ろしい物でも何でもない。
風がざわめくのなら、そう思った人の心がざわめいているだけで。
草が戦いているのなら、彼らは何に戦いているのだろう。
月は旅人が迷わないように、道を照らしてくれている。
星は旅人が寂しくならないように、夜空に瞬いている。
風は相変わらず優しいし、草は今日も元気になびいている。
旅人は今日も明日も、旅をする。