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ランプとリボン
旅人は、荷袋から銀のランプを取り出して、火を点ける。
その取っ手には金色のリボンが結ばれていた。
いつぞやの露店で買った物だ。
他にも様々な色のリボンがあったが、銀でも黄色でもなく、金色なのが気に入ってしまった。
旅人が歩く度、リボンは蜘蛛の糸のようになびく。柔らかな金色の波を描く。
太陽の光を反射して輝く月のように、ランプの光と月の光に輝くリボン。
煌めくランプは銀の星。
輝くリボンは金の月。
すれ違う人がいれば、思わず振り返ってしまうだろうが、旅人は一人の時にしかランプを使わない。
一人だけの、楽しみだから。