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賑やかな旅路
夜の旅路は幻想的で賑やかだ。
星達は夜空に煌めいて絶えず瞬いているし、月の光はふわりと道を優しく照らす。
そんな光景を見せ付けられてしまったら、危険を冒してでも夜の旅をしたくなるもの。
星の色は白ばかりではない。
黄色も橙色も赤色もあるし、青色もある。
緑色と紫色がないのが、若干不服だ。
もしあったら、虹みたいで綺麗だろうにと旅人は思う。
人が作った道に果てはある。
けれど、旅の道に果てはない。
果てがないからこそ、いいのだ。
ずっとずっと旅をしていたい。
昼も。
夜も。
ご機嫌な旅人は適当な歌を歌いながら、誰もいない道を歩いて行く。