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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ジョンの薔薇日記

作者: アルファン

朝だ、朝だ

中年の毛深い手を払い落とし俺は起床する

俺の名はジョン、平凡な名前だ だが気に入ってる

俺を起こした野郎はスミス 年は30代っていってるが見た目はどう見てもその上だ

俺はこのスミスの家に居候している と言っても家賃は払ってるから同棲になるな

俺はこんなこ汚い親父と同棲なんてしたくないが金がない大学生だからしょうがなかった

理由は大学が近いってのもあるんだけど、じゃあいきさつくらい話そうか


スミスのやつは俺が働いていたスーパーの近くに住んでいた

そのせいかちょくちょくスーパーに生活品を買いに来てたんだ

そこで俺はきいちまったんだ

「よく来ますね そんなに品ぞろいよくないのに」

野郎はにやけながらこう言いやがった

「あなたに会うためですからね」


俺は帰宅途中に吐いた

どんなにブスから言われてもここまで不快にはならないだろう

あんな毛深くて体臭がきついおっさんが俺に会うために来ているだと?

「でもまだ確信じゃない、なんとなく気に入られてるだけかもしれない」

だが次の日からあの野郎急に馴れ馴れしくなった 家はどこ とか 何時に終わる とか 

肌がきれいだ とか その日から帰宅途中に吐くのが日課になったよ

まあとどのつまりスミスは俺に恋してたわけだ しかも性的にな

それであいつが引っ越すかもしれないって言い出した

そこに俺も連れて行きたいんだとよ

わらっちまったぜ いきなり一緒に住みませんか?なんていうやつがいるなんてな

だが場所を聞いて愕然としたし少し喜んだりもした。


「俺が勉強したい大学の近くじゃないか」


今いるところでは遠すぎた だから俺は諦めていたんだ

迷いようがなかった いや選べなかったな

俺はスミスと一緒に住むことにした

あの野郎ご丁寧にちょうど二人住めるくらいの部屋にしてやがった

まあ俺が住んでいたボロアパートなんかとは全然違ったけどな


そして同棲初日に俺はスミスに契約させた

「一つ、俺を襲わないこともちろん性的にだ」

「二つ、俺とお前は恋仲じゃないただのルームメイトだ」

「三つ、俺のテリトリーに入るときは必ず許可を取れ」 これはあんまり守れてないな

「四つ、洗濯や掃除などは自分でやること」

「これらを破った場合、すぐに警察沙汰にするからな」

スミスはなんとも嫌々な感じで承諾した。

あの野郎荷物のなかにローションまで入れてやがったんだぜ信じられねえ


こうして俺とスミスの変な同棲生活も2年の月日が流れた

難点は友人付き合いがあまりできないってことだな

見つかった時は父親ってことになってるがな

少々焦げたベーコンエッグがテーブルに並んでいる

朝食は作るのがめんどいからスミスに頼んだ

あいつは一緒に食べれる事を少女のように喜んだけどな


飯を食ったら俺は大学に、スミスは仕事に行く

大学は楽しい、なによりあいつと離れていられるからな

俺は女の友達を一杯作った わかるだろ女が恋しくなるわけが

だが恋人になると色々と面倒だからあくまで”友達”だった。

俺は夜遅く帰るとスミスが何かしでかしそうだからそれ以上にいけなかったってのもあるがな

だが俺も男だ 恋をしちまった お嬢様みたいなタイプだった

よくわからん香水のにおいが頭をどうにかしちまったらしい

俺はなにかあるごとにその子と一緒にいようとしていた

完璧にやられちまっていた

彼女もそういうのは初めてだったらしくてな 進展するのにそんなに時間はかからなかった

だが俺は大きなミスを犯した

その間その子のことしか頭になかったからな 

スミスの機嫌が悪くなっていった さらに最悪なのは俺がそれに気づかなかったって事だ


ある日その子、まあジェシーとでもしとこう

ジェシーと少し遊んで帰ったら スミスのやつがこっちをにらんでいたよ

「仕事でへまでもしたのか?」 そういってもなにも答えやがらねえ

自分の部屋に行こうとしたら腕を引っ張られ、「あの女は誰だ?」と聞かれた

マジな顔で聞かれるから俺は少しビビリ気味な声で「友達だよ」としか言えなかった

「付き合ってるのか?」

「そんなんじゃないさ、ただの友達だって」

「それにしちゃあうれしそうだったじゃないか」

「外見だけだって、あんなの付き合いじゃないか」

押されてる、俺はそう思っていたが情けないことに          うまく言い出せなかった

しかもなんか途中から浮気された女に追求されてる気分になっちまって 

自分でも馬鹿らしくなってきたよ

「俺のこと嫌いなのか?」

俺は愕然とした、この言葉をだされては”嫌い”とは言えない

言ったら何されるかわからないし、へたしたら追い出されるかもしれない

そうさ せいぜい”そんなことない”くらいしか言えないのさ

俺は観念したね 

「そんなことない、好きだよ」

そういった瞬間、野郎は覆い被さってキスしてきた

死ぬな・・・ そう思ったよ それしか思えなかった

だが、スミスはすぐに立って最高の笑顔で言った

「うぶだな、可愛いぜ」

そりゃそうだろう 俺はふるえがとまらなかった

そのあとあいつが作った夕飯をちびちび食いながら考えた

なんでこうなったんだろう

最初は俺が主導権を握っていたはずなのに

なんでこうなったんだろう

それ以来ジェシーとは遊ばなくなった

ジェシーに新しい連れができたと聞いてもそんなに悲しくなかった


あれ以来朝と夜にキスすることがなぜか日課になってしまっていた

もちろんあっちが強制的にしてくるんだがな

毒でも盛ってやろうかとかこいつの苦しむ姿はさぞ傑作だろうなとかそんなこと考えていた

ただやっぱりなにかがかわっちまったんだ

心の深くで俺はスミスに恐怖を抱いている

それを乗り越えなければ俺は地獄からぬけだせねえ


その日から俺は徐々に狂っていったと思う

昔 人一倍優れていた思考力がなくなっていった

しかも俺とスミスの関係が外に漏れだした

どうやらマンションの前でキスしていたところを誰かに見られていたらしい

こういう噂は早まるのがはやい むかつくことにな

俺は大学でホモ呼ばわりだ 親しかった女友達も俺を避けていった

俺は憎らしかった スミスはもちろんだが普通に不自由なく生活しているやつらも

全てが憎くなった

それと同時に全てがどうでもよくなった

朝家を出て 適当にぶらぶらして 夜家に帰る

それを繰り返す毎日だった。

娼婦を抱こうともしたが 俺のは役立たずになっちまっていた

ゲロまみれで帰ってきてもあの野郎は笑顔でキスしてきやがる

もううんざりだった


そして俺は その日教会に行きエセ神父に身を清めてもらった

夜になり 家にもどるとスミスは相変わらず笑顔でキスしてきた

「スミス、俺のことそんなに好きか?」

「ああ、俺の生き甲斐だよ!!」

「じゃあ 抱いていいぜ」


朝日が俺を消し去るかと思った

俺はもう存在しない それを告げるような朝日だった

ヒットラーも毒でしんだっけなぁ 新聞でのるかなぁ

隣に転がってるスミスを見ると死にたくはないなぁとも思えるが

このあほ野郎はこんな俺に付き合ってくれるっていうんだから

俺も逝かなきゃな

最後にいうぜ

「俺はホモなんかじゃねえ、利益を求めたら流されただけだ」



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