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63. 平和な日常


ある日、俺は絵を描いていた。

怪我はもう治りかけだ。

なんなら、もう治っている。


ヒュー


よそ風が吹く。

気持ちがいいな。


描いているのは風景だ。

シドにある家などの様子を小さな丘から眺めて描いている。

一緒に描いている仲間はマイク、ロイ、そして知らないお爺さんだ。


知らないうちに隣に座って絵を描いていた。

おそらく、元都市級冒険者だろう。

俺でさえ気づけなかったんだ。

そうに違いない。


「こういうのは正確に描こうとすればするほどいいんだよ。丁寧に家並みを描くんだ。」


マイクは真剣な眼差しで絵と家並みを交互に見る。


俺はマイクの意見に賛成だな。

丁寧にその様子を絵に収めようとしても、完璧にはいかない。

細かい所で俺だけが見ているシドを描いてしまうんだ。 

そして、結果的に一見同じに見える風景でもそれぞれの絵に受ける印象が変わってくる。

今回は裸の絵じゃないから胸を張って描くことができる。

実に気持ちがいい。


「なんか...細かくて面倒くさいな。一軒一軒、家を描かなきゃいけないのかよ。」


ロイは寝転がって嘆いている。

確かに、面倒くさいよな。

俺もそう思う。

たまには風景画も悪くないが、やはり生物を描きたい。 

ロイは絵を描くのが楽しくなさそうだけど。


「ロイ、なんて適当に描いているんだ。」


マイクはロイの絵を覗き込んで驚く。


あんまり注意してやるなよ。

ロイに絵の楽しさを分からせる必要があるんだからな。 


俺はマイクを曇りなき眼で見つめる。


「一軒一軒、ゆっくり描いてみようよ。時間はたっぷりあるんだ。自然を感じて描くとよりいいぞ。」


マイクが笑顔でロイに話しかける。


そういう事だ、マイク。

仲間はこうやって増やすもんだ。

じわじわ仲間に引き入れて行けばいい。

ぐへっ、ぐへへへへへ。


「ほっほっほ。絵は十人十色、適当に描いても良いんだぞ。それも味になる。」


隣のお爺さんが笑顔で俺達に話しかける。


「なに?適当でいいだと?」


あっ、マイクがおかしくなるぞ。

ギルドの絵を批判した時と同じような状態だ。

俺には止めることが出来ない。


「いいか!?風景画はな!丁寧に描くからこそ味が出るんだ。同じ風景を描いても、感じる印象が異なるんだよ!それが面白いんだ!!それを適当でいいだと?

同じ風景を描くのが土台なんだよ!基本を崩すな!!」 


「な、なんて事を言うんだ!!年上を敬わんかい!!

この、クソガキどもがー!!崇め称えるべきじゃ!!

崇め称えんかい!!死に損ないがー!!!」


なんだこの爺さん。死に損ないって...

面白い、俺も参加してみようじゃないか。


「基本まで崩しちゃ駄目でしょって言ってんだよ!!

なんでそんな事も分からないんだ!!」


「な、なんだと!バカ野郎共が!!わしの言う事が危険というのかー!!わしが!あれ...?従えー!!」


なんて言ったのか忘れてしまったのだろうか。

俺もあんまり覚えてないな。


「うるせぇー!!お前は口が臭いんだよー!!

唾もさっきから飛んでくるし!!黙っとけ!!」


遂にマイクが絵と関係ない所で怒り出したぞ。

これは乱闘が始まるかも知れない。

誰か!レッドシャインの皆を連れてきてくれ!


「何を言うかー!!何を...あれ?年上を敬えー!!」


「だから唾ー!!!」


「あははははは!!」


ロイは笑っている。呑気なもんだ。

ん?

もしかして、俺が止めたほうがいいのか?


「け、喧嘩はやめろー。やめるんだー。」


「唾がなんだと言うんじゃ!!年上を...あれ?」


「汚いんだよ!!ウォーターボールでもぶつけてもらえ!!」


「もっ、もう、年上を敬えって言葉を忘れてるじゃなえか!あははははは!!」


「今日はもう止めだ。ロイ、マイク。帰るぞ。」


「ああ。面白かった。」


「しょうがない。」


「どこに行くんじゃ!どこに!...あれ?」


もう昼過ぎだったので、俺達は別れた。


パーティーでクエストを受けたかったな。

俺達なら昼過ぎでも達成出来たと思うけど。

マイクは心配し過ぎだな。


あと、やっぱり俺は生物を描く方が好きだと分かった。 

特に生物の迫力ある絵を描きたいと思っている。

俺にとって絵はカッコいいものなんだ。


ギィ


「おかえりなさいませ、レオ様。今日は何をしていたんですか?」


「ああ、絵を描きに行っていたんだ。」


今日は何も言わず、こっそり出かけたからな。

気配を消せるか試していたんだ。


「絵...ですか。」


なんか、睨んでないか?

まさか...この世界に絵が嫌いな人がいるのか。

どんな教育を受けたんだ。


俺もリリも身長が伸びてきている。

俺はまだリリより高いから安心だけど、油断は禁物だ。 

リリは料理する時に背伸びをしなくても良くなったと喜んでいた。

大人になったら、キッチンは低く感じるんだろうな。

俺は常にリリよりも身長が高くいたい。

主人がメイドより小さいなんて、弱そうじゃないか。


「絵って、女の人ですか?」


「風景だ。」


「そうなんですね!いいと思います!」


女の絵が嫌なのか。

まあ、逆の立場に立ってみたら分かる。

俺もリリが男の絵を描いていたら、少なくとも嬉しいという感情にはならない。

ん?俺は嬉しいと思うな。

絵に興味を持ってくれたら嬉しい。

あれ?


「夕食を作りますか?」


「あ〜、ああ。頼む。」


明日はいよいよ超級クエストを受けるもんな。

早めに就寝しなければ。


リリは慣れた手つきで料理を作り始めた。

食材とかも最近は豪華になっている。

というのも、俺が大金を得たからな。

使っても使っても消えないんだよ、金が。

グヘヘヘ。


最近は悪い事をしすぎている気がする。

特に角を15本も取ったのが駄目だった。

それについて、罪悪感を感じる時がある。


もう、悪い事は控えよう。

正々堂々とクエストを達成して、報酬金を貰うんだ。

もう強いんだから、こそこそとする必要はない。


おっ。

リリのパンツが見えた。

俺は華麗に寝転がっており、頭をリリの方に向けている。堂々とな!


俺はこれをするために気配を消す練習をしたんだ。

結局、気配は消せなかったけど。

まず、気配ってなんだよ。


皆は他の人の魔力を多少は感じる取れるらしい。

それが気配を感じるということだ。

だが、俺にはそれすら出来ない。

気配というものが分かってないから、出来るはずもないんだ。


もしかしたらと思って頑張ってはみたが、やはり無理だった。


俺はリリのパンツを見ることしか出来ないというわけだ。

うっ、トイレ。


その後、戦士に一歩近づいた俺は、黙々と夕食を食べ、 

明日に備えて寝た。

 






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