61. 帰還
どれだけ歩いたのだろう。
俺達はルベリア王国の防壁を見た。
「帰ってきたぞー!!」
「「「うおー」」」
皆で盛り上がった。
今は報酬金なんてどうでもいいんだ。
精神的疲労がなくなった。
これが報酬金以上に嬉しいんだ。
結局、行きの日数よりも時間がかかった。
やはり疲れがあり、隊長はいつも通りの速度で歩いていたけど皆の様子を気づき、他の人に合わせていた。
俺は夕食だけを取る生活を続けていた。
もちろんレッドシャインのみんなとだ。
ロイとマイクはそれぞれ、仲良くなった人から食べ物を貰っていた。
俺は夕食だけでは足りないので、常に少し空腹というなんとも微妙な状態が続いていた。
夕食の前は凄い空腹だけど。
でも今となってはいい思い出だ。
なぜなら、俺はルベリア王国に着いたからだ。
布の中は隠し通せた。
俺から話しかける人はレッドしかいなかったし、そのレッドは死体だと分かった時から布を見ようとはしなかった。なんなら、ちょっと避けてた。
ん?
待てよ。
俺はルベリア王国に入る金を持ってないぞ。
入国税は無しだよな?
頼んだぞ、隊長。
「お前ら、入国税はなしだ。」
「「「おおー!!!」」」
...なんか、こっちのほうが盛り上がってね?
ルベリア王国を見たときより盛り上がったのは、俺達の大半が男だったからだろう。
まず女性の叫び声とか聞こえないしな。
まずはルベリア王国のギルドに寄る。
今が夜だったら、始めに寄るのは宿だったのかな。
今は昼だ。俺はお腹が空いている。
隊長がギルドに入ると、受付の声が聞こえ、急いでギルドマスターが駆けつけて来てくれた。
「えー、ごほんっ。まずはクエスト達成、本当に見事である!!よく成し遂げてくれた!!感謝する!!
これは偉業である!!自分を誇ってくれ!!」
これ、嵐の中に入ってない奴...どんな気持ちで聴いているのだろうか。
「明日、報酬金を渡す!!楽しみにしといてくれ!!
なので今日はルベリア王国の宿に泊まってくれ!!
明日の7時にギルド前集合だ!!!」
「「「おーー!!」」」
今、昼だぞ。
何をすればいいんだ!
あっ。宿って食べ物が出るよな。
最高じゃないか!
その後、指定された宿に泊まった。
流石に貴族ゾーンではないものの、いい宿に泊まらせてくれた。
昼食は無料だった。
なので俺とロイとマイクは、みんなが部屋に行くのを無視して食べまくった。
「ルベリア王国に来たら一気に疲労が押し寄せてきたぞ。これが精神的疲労って奴なんだな。」
ロイが空になった皿を見ながら呟いた。
手はお腹を押さえている。
おそらく、食べ過ぎたのだろう。
「俺はそんなの感じないぞ?」
俺は手でお腹を押さえながら話した。
少なくとも俺は食べ過ぎた。
「僕も安心して疲れを感じているよ。」
マイクもか!
俺だけ体力があるらしいな。
君達は筋トレが足りないんだよ。
俺達は食べ物に満足して部屋に行った。
3人部屋だ。
「楽しみだな、角の金。」
マイクがニヤニヤしながら話す。
「マイク、その話何回するんだよ。」
ロイは呆れながら反応する。
手はお腹を押さえている。
そのうち、トイレに行くはずだ。
ロイがこっちを見た。
「レオ、お前の家ってメイドがいるんだろ?」
「ああ。」
「じゃあ、ドッキリしようぜ。都市級クエストが大変だったって分からせるためにな。」
「何をするんだよ。」
面白ければ、してもいい。
「血だらけになるんだよ。シドまでの道で魔物の1匹や2匹はいるだろ?そいつの血を塗りたくるんだ。」
「防具が汚れるじゃないか。」
「いいだろ、別に。もう戦闘でボロボロじゃないか。
それに、嫌だったら肌に血を塗ればいい。」
確かに、そうだな。
大変だったんだ。実際、今も骨折している。
そういうのは、見た目じゃ分からないよな。
だったら、分からせる手段として面白いかもな。
「いいね。やってやろう。」
「売るのはシドでだそ?お前ら。ルベリア王国で売ったら他の連中にバレるからな。」
「分かってるよ。何回言うんだ。」
マイクは金に夢中のようだ。
その日の夜、俺は夕食をガツガツ食べた。
だが、ロイとマイクは寝ていた。
夜になる前に寝てしまったのだ。
安心したと言う言葉は嘘ではないらしい。
朝、ギルドマスターが凛々しくギルド前に立つ。
「お前達、もう一度言う!ありがとう!!まさか、
国級クエストとは知らなかった!!まさに偉業だ!!
報酬金は話し合った結果、全員に渡す事になった!!
だが、嵐の中に入った人は金額を上乗せしてある!!
では、解散だ!!!」
みんな報酬金が受け取れるみたいだな。良かった。
ギルド内は混み合っている。
みんなが報酬金を受け取ろうとしているのだ。
そんな慌てなくても全員貰えるのに。
嵐の中に入った人は隊長やレッドが把握しており、
その人達は別の受付が報酬金を渡す。
そのため、並ぶ場所も異なるのだが、そこはギルドの裏であった。
ギルド内の人が見えない所だ。
おそらく、報酬金の差を目で見て分かるようにしないためだろう。
つまり、報酬金の差が見たら怒るかも知れないぐらい違うと言うことだ。
嬉しいね。マイクも凄い喜んでいる。
周りを見ても、隊長と副隊長の姿はない。
俺達より報酬金が多い事は明白だ。
もはや、どこで渡しているのかも分からない。
ギルドの中なのか?
俺は隊長と副隊長は報酬金が多くてもいいと思ってる。
だってこの人達がいなかったら、クエスト達成できてなかった。嵐の中にいた人達は死んでいただろう。
隊長なんて、昨日ギルドマスターに呼ばれていた。
おそらく、説明だろう。
この面倒くさい事までやってくれたんだ。
怒る人はいないと思う。
そしてレッドも呼ばれていた。
俺はレッドも特別報酬をあげていいと思う。
「ありがとうごさいました。」
綺麗なお姉さんに感謝され、報酬金を受け取った。
袋に入っている。生身じゃない、ぐへへ。
「数えるぞ!!」
マイクがウキウキで叫んだ。
俺とロイもウキウキだったので、マイクの所に行き、
こっそり数えてみた。
「...金額50枚。」
おい!!ヤバいな!!
俺達は無言でそれぞれ、独自の勝利の舞を踊った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
マイクが過呼吸になっている。
でも嬉しそうだ。
舞を踊っている最中、副隊長が近くを通った。
手には袋を持っており、明らかに俺達より膨らんでいた。
これは凄い大金を貰ったな。羨ましいぜ。
副隊長と目が合い、副隊長は俺の袋を見た。
「あなた...それだけなの?」
「...ああ、そうだ。」
「...そう。」
副隊長はそれだけ言うと、どっかに行ってしまった。
何が言いたかったんだよ。
それにしてもあれは凄い額だぞ。
「副隊長、金額100枚はくだらないぞ。」
マイクがニヤニヤしながら話す。
マイクが言うなら、本当なのだろう。
100枚以上だ。羨ましい。
俺達はルベリア王国を出た。




