6. 目指せ!ルベリア王国!
誰だ?こいつ。
白い髪の女の子?
やたらと派手な服を着てるな。偉いのか?
偉い奴にしては小さすぎるぞ。俺と身長はそう変わらないな。
それにこいつ、白いネックレスなんかつけてやがる。
俺なんて、本でしか見たことないのに。
もしかして、貴族か?貴族しか身につけないよな。
「お前誰だよ。」
女の子は腰を抜かし、目を見開いたままだった。
「...アルシアです。」
「お前、貴族か?」
「...ルベリア王国の第二女王候補です。」
王族ってことか!?本の世界だな。
ルベリア王国...目指す価値はありそうだ。
王族を保護したってなると、凄いお礼はするよな?
新たな生活拠点にいいのかも知れない。
あとはこいつ...アルシアか。アルシアにこの出来事を黙ってもらえば、完璧だ。
そういう教育は旅の途中で出来るだろ。
「ルベリア王国ってのはどこにあるんだ?」
「すみません。知らないんです。秘密の見学場所だからと、目隠しをされていました。」
「お前が命令して村を襲った訳ではないって言いたいのか?」
「本当なんです!すみません。ごめんなさい。」
泣いてるぞ...こいつ。嘘じゃないと信じよう。
あ〜くそ、カイの泣き顔を思い出してしまう。
「少しでも裏切るような真似をしてみろ、殺してやる。」
「分かっています。」
アルシアが少し元気になった所で行動を開始した。
「まずは村にある食べ物を集めて来い。俺は別の場所に行ってくる。」
「分かりました!」
さて、俺は父ちゃんの家に行くか。
ここは襲われてないから綺麗なままだな。
「父ちゃん...」
パンとかあった気がするのだが...あるある。
水は川から離れるかも知れないし、入れるものを。
あとは何だ、この家...全然ものがないな。
「アルシア。どうだ?」
「はい!パンとビスケットと肉がありましたが、肉は腐っていました。」
そうか、ビスケット!また泣きそうに。
そうか、人は望むのにそれがない時に泣くのか。
いや、それだけじゃないか。
昔はあったけど、もう手に入らなくて、それを望んだ時に泣くのか。
いや、なんかしっくりこないな...
「明確な場所は知らなくてもどこから襲ってきたかは分かるよな?ギリギリまで目隠ししてた訳じゃないよな?」
「はい。あっち方向です。」
指を指した方向にはずっと森が広がっていた。
まあ、どの方向にも広がってるけどね。
みんなの死体をどうしよう。
俺が生きてた時に誰も死んでないから分からんな。
本で見た気もするけど、忘れてしまった。
本を探すのもな〜。明るいうちに出発したいし。
確か、燃やすんだっけ?
「死体を燃やすぞ。燃える皮を持ってくるから燃やしてくれ。魔力は込めれるよな?」
「燃やす...はい!分かりました。できます。」
その後、俺達はルベリア王国を目指して出発した。
のろのろ歩いててムカつくな。女っていうのは皆こうなのか?
「おい!もっと速く歩け!」
「!!、はい!すみません。」
こんな奴らのせいで皆が殺されたって言うのか?
ふざけやがって、くそ。
今日はここまでだな。
魔物が襲ってこないか全然分からないな。
今のところ魔物に会ってないから安全だとは思うけど。
「おい、ここで寝るぞ。」
「......はい。」
パンを食べた後、持ってきておいた布をひき、寝転がった。
アルシアはずっとこっちをちらちら見ていたな。
気持ち悪い。
王族だけあって、食べ方には品性とやらを感じさせられたがな。
っていうか、敬語ってやつだよなあれ?
珍しいもんだ。貴族はそういう口調なのか。
村で使ってる人は誰一人いなかったぞ。
本でも、貴族は敬語だったっけか?
気にして読んでなかったな。
その日から俺達はずっと歩き続けた。
もっと先に行ったら魔物が現れるようになった。
ドーテルが半分を占めていたが。
だか、そのおかげで食料には困らなかった。
俺が倒して、アルシアが火のつく皮に魔力を込める。
その生活を続けていた。
魔物との戦闘と自主練のおかげで俺流拳も更に磨きがかかった。父ちゃんも常に考えて、俺流拳を進化させてくれと言っていた。頭の中ではもう俺流拳は完成しているのだが、体がついて来ない。
筋トレと魔力操作が足りない様だ。
...何日歩いたんだ。
いや、何か月か?
方向、間違ってないだろうな?
別にルベリア王国以外の国があってもいいのに、森ばかりだ。
そんな事を思っていたのに更に悪いニュースがやってくる。
「何だ、この森は。」
この先からの木の大きさが桁違いだ。なんか黒いし。
ここに行くのか?
凄い奥まで森が広がっているように感じるのだが。
「本当にこっちなのか?」
「....方向は合っています。」
その日の夜、いつも通りに俺は魔力操作を行っていた。
「すみません。何をしているんですか?」
話しかけてきた。初めてだな。
「魔力操作の練習だ。魔力を各場所に送れるように練習している。」
今まで練習してきて分かった。
魔力は流れてない。少なくとも俺は。
胸を中心に溢れ出る感覚に近い。
「そんな技術があるのですね。身体強化魔法と同じ効果が発揮されるのですか?」
身体強化魔法だって?なんだそれは。
「それはなんだ?」
「身体強化魔法は無属性魔法の代表で、共通魔法と言われています。効果は体を強くするだけです。」
父ちゃん?と...父ちゃん?無属性魔法?共通魔法とまで言われちゃってるけど?
「どうやってやるんだ。」
「自分の魔力を外に全開に出すとできると言われています。」
ふん!
魔力が出ない。出るっていう感覚すら分からん。
父ちゃんも魔力は纏ってるって言っていたな。
体内にあるのは感じるのだが...
しょうがない、体のギリギリまで魔力を出してみよう。外には出ないが、外側の皮膚まで魔力を全力で送れば魔法が騙されて出てくれるかも知れない。
ふん!
おお!
何だこれは。体が数段強くなったな気分だ。
これが、身体強化魔法。
「出来たぞ!」
「良かったです。」
その後、色々実験して分かった。
身体強化魔法は体全体の外側の皮膚ギリギリまで魔力をある一定量送れば効果を発揮する。
全体的に数段強化される魔法だ。
そして、一定量送ればいいため残りの魔力を他に回して部分強化も使える。父ちゃんとの特訓が役に立てる訳だ。
疑問なのが、普通は魔力を纏ってるのに、なぜ身体強化が魔力を全開まで出さないと使えないのかってことだ。
アルシアに使わせた身体強化魔法は数段強化された感覚はないらしい。
「そういえば、アルシア。目隠しされてた期間がどれぐらいか分かるか?」
「感覚では2から3カ月でしょうか。」
「そんなにか、襲ってきた時は歩いていたが。まだ着かないぞ。」
「歩くまでは馬に乗っていました。それまで私は目隠しをされて、音が聞こえなくなる魔法をかけられていました。」
「ルベリア王国はどんな国だ?」
「はい。人族最大の国と言われて...」
「ギェー!!!!!」
ズドンッ!!
魔物が上から降りてきたぞ!
木がこれだけ高いのならあり得るのか。




