56. 無数のオーク
バキッ
バキッ
バキッ
「ふっ。」
剣が当たるところに魔力を集中させたら、剣がボキボキ折れていく。
なんか楽しい。
というかコイツら、剣より体の方が丈夫なんだから殴るなり蹴るなりすればいいのに。
ドンッ
「ぐふっ!」
オークに蹴られた。
「いいね〜、そういう事だよ!!!」
ダッ
「ガー!!」
オークの方に走る。
シュン!
「うおっ!」
水のビームが飛んできた。
ミラか。
「副隊長!危ないんだけど!」
「うるさいわね!私の勝手でしょ!!?」
ヤバい奴だな。
オークさんも、そう思ってるに違いない。
「お前ら、何やってんだよ!ボス倒すんだろ?」
レッドシャインのリーダーが俺と副隊長に話しかけた。
いい加減、名前の1つでも覚えてやろうかな。
ボスと倒せって言ってたんだっけか?
まあいい。
そういう事ならオークは無視してボスの所に行こう。
「しょうがないじゃない!オークがこんなにいるんだから!」
「都市級なら何かあるだろ!!」
「うるさいわ!!大体、あなたに関係ないでしょ!?」
「ある!お前らの方に少しでもオークが行かないように、多くの人が足止めをしてるんだ!!死人も出てるんだぞ!!」
また死人が出てきたか。
宿で一緒だった人じゃなければいいな。
「...オークを多くの人で止める。」
「ガー!!」
バキッ
なんでコイツら剣を使うんだよ。
グチャ
頭を殴った。
死んだオークを持ち、横にぶん投げた。
ダッ
投げると同時に走りだす。
凄い速さでオークが飛んで来たが、さっきの出来事を覚えていたオーク達は避けた。
オーク達は死体に意識を割いていたため、足元で走るレオには気付かなかった。
よし。
森に入れた。
ん〜、森の中にオークはいない。
落とし穴は注意する事が出来たら落ちる事はない。
なんでこんなのに引っかかっていたんだろう。
結構前に進んだと思うが、ボスらしきオークは出てこない。
沢山のオークがいるだけだ。
もしかして、ボスもどこかに混じってるんじゃないか?
「ガー!!」
ボンッ!!
俺の少し先には隊長がいた。
流石にオークがいすぎて進みは遅いが、着実に前進している。
この先にボスがいても1人で勝てるわけないよな。
隊長の助けに入った方がいいだろうか。
俺が隊長の真横に行って悩んでいると、隊長と目が合った。
やっぱ強い人って全体を見てるんだな。
隊長が手をこちらに向けた瞬間、火がここまで飛んで来た。
攻撃として発射された時は細く圧縮されていたが、手から発生した時はボール状だったので、おそらくファイアーボールと言うやつだろう。
普通に危ないからやめてくれよ。
俺も当たりそうだったから少し避けたぞ。
タタタタタタッ
隊長がこっちまで来た。
「確かに、森に入れば良かった。行くぞ。」
ダッ
2人で前に走った。
俺の走る速度も負けてないな。
ここで遅れたらダサいもんな。
身体強化は全開だ。
流石に派手な移動だったようで、オーク達も俺らに気づき、追いかけてきた。
だが、その時にはオークの密集から抜けていた。
ドドドドドドドドドドッ!
「「「ガー!!!」」」
こ、怖い。
後ろを振り返ったら恐ろしい光景があるのだろう。
とにかく走らなければ。
というか、オークの足止めをしてる人達は抑える場所間違えてるよな。
いや、あれのおかげでここまで来れたのか?
オーク達は襲ってはくるが、木の壊れるバキバキ音が聞こえない。
つまり、森に入って来てないんだ。
山からじゃボスには会えないということなのだろうか。
平野を挟まなきゃいけないから、平野に固まっているのだろうか。
分からない。
もう着くんじゃないか?
「少年!気をつけろよ。確実に都市級風魔法を操るはずだ。」
「分かった。」
超級の風魔法は体感したことがあるんだ。
舐めてかかってはいけない。
身体強化は全開だ。
なんか...さっきから身体強化、全開しすぎだな。
残った魔力も感じる。
魔力に余裕が生まれた証だ。
この魔力をどこに送るかで、この戦いに爪痕を残せるかが決まるだろう。
まあ、拳に送っておけば何とかなるだろう。
今は足か?
いや、下半身全体だよな。
身体強化に魔力を使えば使うほど、魔力操作が難しくなっている。
まあ、魔力操作の練習は日々行っているから大丈...
「!?しょうね...」
隊長が何かいいかける。
バキバキバキバキバキバキバキバキッ!!!
ゴキッ
「ぐあ!!」
目の前に見えていた山にある木が凄まじい風によって次々と引っこ抜かれ、俺も耐えられず後方に吹き飛んだ。
何て魔法だ!
意味が分からないぞ!
近づけもしないのか!?
俺は空高くに上がっており、凄い速さで後退している。
だが、身体強化のせいで木よりも飛ばされる速度が落ちている。
ヤバい!!
視界は自分の方向に飛んでくる木だらけになった。
バキッ
バキッ
バキッ
「うっ!」
無数の木がぶつかる。
目茶苦茶だ!
避けられない!
というか俺、骨折してないか?
なんか力が入りにくい。
冷静になれ!
あっ、そうだ。受け身を取らねば。
もうすぐ地面だ。
来るぞ来るぞ来るぞ来るぞ!
ズドーンッ!!
ゴキッ
「ぐあっ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、し...死ぬ。」
残りの魔力の使い方で、何が爪痕を残せるだよ。
なんにも通用しないだろ、この野郎。
「ん、ぐはっ、はぁ、はぁ、はぁ、」
隊長もおそらく吹き飛ばされたであろう。
チラッと見えた気がする。
それと、オークも吹き飛ばされていた。
ボスの近くにいるであろうオークは死んだんじゃないだろうか。
にしてもボス様、それはオークさん達が可哀想ですよ。
都市級が遠慮をしないと死ぬな。
もしかして、副隊長も優しいと言えるのか?
「レオー!!大丈夫か!!」
「あっ、ロイ、マイク。」
「お前...ヤバそうだな。」
「ははっ。かもな。」
「回復魔法が使える人を呼ぼう。」
「マイク、ありがとう。」
マイクはみんながいる方に走っていく。
でも死人とか出てるんだよな。
ということは怪我人も結構出ているはずだ。
その人達を回復させたりもしているだろうから、俺を回復させる余裕はないんじゃないだろうか。
「なあレオ、お前吹き飛ばされてたぞ。」
「ああ、知ってる。」
「ふふっ。埃のカスみたいだったぞ。」
「カスって...」
「それか、ちっこい虫だったな。」
「『きゃ〜』ってなってた?」
「あははっ!ああ!なってた。」
「...この先にヤバい奴がいる。」
「俺もいく。たぶん、回復魔法は諦めた方がいい。」
「ああ、大丈夫だ。」
「肩貸してやろうか?」
「ふっ。いらないね。」
吹き飛ばしやがって、まずはこの目で見てやらないとな。この野郎。




