51. 集合
「随分と並んでいるな。」
「ああ、そうだな。」
これだけ並ぶから他の冒険者達は速くにルベリア王国まで行ったのだろうか。
昼までにははいれると思うけど。
「あっ、そうだ。ロイ、マイク、入国税は持ってきたか?」
「大丈夫だ。」
「任せてくれ。」
どっちも意味分からない返事が帰ってきたが、それなら一安心だ。
まあ、勝手に遠征に参加してもバレないと思うけど。
俺はしっかり入国税分のお金は持ってきた。
なんなら、入国税分しか持ってきていない。
だから値上がりとかしていたら詰みだ。
だが、この綱渡りをするのが冒険者だ。
俺は値上がりなんかに負けない。
「次〜。」
やっと俺達の番だ。
「入国税は銀貨1枚ね。」
よかった。
変わっていないらしい。
あと、試してみたいことがある。
怒られそうだが、挑戦だ。
「俺は初級冒険者だ。」
「ん?そうなのか?...でも子供だよな。」
ロイとマイクは驚いてこっちを見ている。
見るんじゃない。バレてしまうだろ。
「冒険者カードを見せてもらう。」
あっ、ヤバい。
「なんでね、冗談だよ。はい、銀貨1枚。」
「...たしかに。」
俺は颯爽と門を抜けた。
いや〜、怖かった。
でも、この恐怖を乗り越えられないと真の冒険者にはなれない。
「レオ〜!お前ヤバいな。金なんていくらでもあるだろ。何してんだよ。」
「僕もビックリしたよ。」
「いや〜、でぃふっ、でぃふっ。」
おっ。ギルドが見えた。
やっぱりルベリア王国のギルドは目茶苦茶でかいな。
超級ギルドだな。
シドのギルドは上級。
ギィ
ワイワイガヤガヤ
ギルド内は騒がしかった。
こんなに広いのに、混雑しているな。
ここにいる人達全員が都市級クエストに参加するのか。
俺は冒険者と言うものを舐めていたらしい。
「これは多すぎるんじゃないか?」
ロイが囁いた。
「僕もそう思う。これだけいたら、報酬金なんて少ししか貰えないだろうね。」
やっぱ多いよな。
俺はワクワクするけどな。
昔にあった世界大戦とか、こんな感じじゃなかったのか。
「お前らー!!外に出ろー!!!」
誰だ?ギルド職員の人かな?
ってヤバい、早く外に出ないと人の流れに飲まれる。
「なあ、早く出るぞ。」
俺達は外に出た。
「お待たせした!!私はルベリア王国ギルドマスターだ。まずはお前達!!集まってくれてありがとう!!
明日、都市級クエストの遠征を行う!!」
今日じゃないのかよ。
パンとか持ってきたのに。
「その前に、お前達に聞きたい!!この遠征に本当に参加する意思はあるのか!!私はない!!!」
ないのかよ。
凛々しいおじいちゃんだな。
髪は白いが、あれは王族とかじゃない。
ただの老化だろう。
そこまで老けてないけどな。
「都市級クエストというのは恐ろしいんだ!!
絶対に誰かは死ぬだろう!!まず、上級冒険者以上でなければ、話にならない!!それでも遠征に参加したいものだけ残れ!!以上だ!!!」
まあ、都市級クエストなんだから死ぬ可能性は高いよな。
階級が上がるごとに桁違いに強くなっていくんだ。
超級クエストすら達成できない人が多いから、危ない遠征になるのは確実だろう。
「ん?マイクって上級冒険者なのか?」
「ああ、そうだよ。中級クエストをよく受けていたからね。」
「レオ、俺達はパーティーで来てるから、上級パーティーだったら別に個人が何級とか関係ないぞ。」
「ああ、そうなのか。」
たしかにそうだ。
パーティーだもんな。
ギルドマスターの忠告の後、周りの冒険者達はしばらくガヤガヤ話していたが、やがて去って行くものが現れた。
あれ?意外と去っていくな。
中級冒険者がたくさんいたのか?
それとも、怖くなったのであろうか。
「ふんっ!みんながビビりで情けないわ。」
なんだあいつ。
そんな事言ったら恨みを買ってしまうぞ。
見たところ、女剣士だな。
とてもラフな装備だ。
俺と同じだな。
「なあ、あの冒険者は誰だ?」
「あ〜、あ?」
ロイは分からないらしい。
「2人とも知らないのか!?あの人はミラという冒険者だ。結構有名人だぞ。たしか、最近都市級冒険者になったらしい目茶苦茶強い冒険者だ。」
「何?ミラ?」
ロイが眉を寄せた。
「ああ、ミラ・ウォーターだ。」
マイクは物知りだな。
そんな人、聞いたこともなかったぞ。
ロイも聞いたことないようだし、マイクが物知りなだけだと思う。
周りの人も、彼女の発言で言い返す様子はない。
ルベリア王国では名が通っているのかも知れない。
それにしても都市級冒険者か...凄いな。
ただ、見たところ身勝手そうだ。
近づくのは避けておこう。
結局、半分ぐらいになってしまった。
半分以外かも知れない。
「だいぶ減ったな。」
「まあ、そんなもんだろ。」
「報酬金がどんどん増えている。」
1人だけよく分からない事を言っているが、予想は
出来た。
残った半分の人も不安がありそうな顔つきをしている。
本当に大丈夫か?
協力とか出来るか怪しいぞ。
「......よく残ってくれた!!勇敢な冒険者達よ!!
君達は明日の7時、ルベリア王国の南門の外に集まってくれ!!今日は私に名前を教えてから帰ってくれ!」
明日か...
まあ、頑張ろう。
と言っても、明日も移動だけだと思うけどな。
俺達は名前を言って、ルベリア王国の宿に泊まった。
ここまで来るのは面倒くさいからな。
俺はお金がなかったからロイに宿代を借りた。
後で返す予定だ。忘れないようにしなければ。
朝、俺達は南門を出た。
昨日いた人達が集まり始めている。
なんか...昨日より少ないな。
怖くなったのか、寝坊か。
「冒険者諸君、よく集まってくれた!!この部隊の
隊長はソラ!!副隊長はミラ!!お前達はこの2人に従って戦闘をしてくれ!!では、健闘を祈る!!」
「おい、副隊長がミラだってよ。」
「ああ、心配だ。」
ミラって自分勝手なんだろ?
昨日の発言だけで分かるぞ。
従ったら大変な事になるんじゃないか?
「なあ、それよりソラって誰だ?」
隊長が誰かも分からないのは不安だ。
誰なんだよ。
「ああ、あ〜...あ?」
どうやら、ロイは分かっていないらしい。
「あの人はソラ・アークハルト。都市級冒険者だ。
ミラより強い、人族の冒険者代表みたいな人だよ。
なんで2人とも知らないの?」
「そうなんだ。」
「へ〜。」
冒険者最強ってことか、凄いな。
「なあマイク、あだ名とかってあるのか?」
「もちろんだ。超級冒険者からはあだ名がある事が多い。レオは特別なんだぞ?上級冒険者であだ名があるからな。」
いや、別にあだ名なんていらないけど。
「ミラは『我儘女王』、ソラは『トップ冒険者』だ。」
ミラは微妙だけど、ソラはカッコいいあだ名だな。
俺もそれがいい。
あっ。レッドシャインがいた。
昨日は見つけられなかった。
ミラしか目立ってなかったしな。
「あ〜、俺が隊長を務めることになった。
ソラ・アークハルトだ。俺に従ってくれ。
じゃあ、出発するぞ〜。」




