49. 募集
ある日の朝。
俺は絵を描いていた。
何の絵か...それは、アルシアの裸だ。
どこで描いているか、もちろん室内だ。
他の人に見られなくないからな。
家のどこか、もちろん2階だ。
リリに見られなくないからな。
水浴びの記憶を頼りに裸を描いている。
あの時の光景を思い出させて欲しい。
あとは絵の修行のためだ。
ぶっきゃけ修行はどうでもいい。
裸を描く時のいい感じの理由が欲しかったんだ。
あの時の裸を再現しようと試みたが、俺の手は期待を裏切るような動きしか見せなかった。
俺の絵心は、こうも酷いものなのか。
ガタンッ
ひえっ!?
ああ...リリじゃなかったようだ。
さっきからビクビクしながら描いているんだ。
気が気じゃない。
もしもリリにバレたら、恥ずかし過ぎるよな。
なぜか性について話せないんだ。
これが男と女の関係なのだろう。
ロイといる時は全然話せるのに。
いや、マイクでも話せるな。
やはり、男がいいんだ。
同じドーテルちゃんをその身に宿した仲間じゃないと話せないあんな事やこんな事があるんだ!
「何を描いているのですか?レオ様。」
「ひぇっ!」
「ふふっ。何ですか、ひえって。え...」
しまった!
間違えて身体強化をしていた。
絵を隠すべきなのに。
クソっ!これから朝食なのに!
「レオ様...朝食が出来ました。食べましょう。」
「...おう。」
俺達は黙々と朝食を食べていた。
明らかにおかしい。
今までよりも会話が少ない。
いや、考えるな!
ただ黙々と食べればいいんだ。
ただ黙々と。
ほら、目の前の魚に集中しろ。
美味しいな、うん。美味しい!
ここで給料をあげてみるか?
いや、なんか逆効果な気もする。
何をすればいいんだ。
何もしなければいいんだよな。
あ...こら!
ドーテルちゃん!こらっ!
どうやら、うちのドーテルちゃんはどんな場面でも
屈強に立ち上がって見せるらしい。
流石は戦士だ。
「あの、レオ様。」
「はい。何でしょうか?」
「何なんですか?あの女の人は。」
「はい。あれは何なんでしょうね。」
「...しっかり答えてください。」
「あれはまだこの世界が勇歴5000年だったころ...」
「しっかり答えてください!」
「はい。あれは聖神 フローラ様です。」
「聖神?」
「はい。あのお方はカナン国の由緒正しき神なのです。」
「そうなんですか?」
「はい。あの人は素晴らしい神だったので、是非!
私も描いてみようかと思ったんです。」
「......そうなんですね。分かりました。」
ごめんよ...フローラちゃん。
カナンに行ったら何か買ってあげるからね。
ふふっ。俺の人生経験がものを言ったぜ。
リリよ。確か1歳年下だったよな。
その1年が勝敗を分けたんだよ。愚か者めが!
「じゃあ、ギルドに行ってくる。」
「はい。お気をつけて。」
俺は気まずくなって、朝食を食べ終えたらすぐにギルドに向かった。
上級クエストは7個達成した。
俺はあと3個の上級クエストを達成すれば、晴れて
超級冒険者だ。
超級冒険者となってくると、ちゃんと凄い人扱いになるだろう。
なにせ、ほとんどは上級冒険者で止まるからな。
明確に差が生まれるわけだ。
わずか11歳で超級冒険者。目立たないはずがない。
シドのギルドしかいないから、有名か分からないけど。
ギィ
今日のギルドは...少し騒がしいな。
みんな速くクエスト受けろよ。
騒がしい時はいつもそう思っているな。
俺は騒がしいのが嫌いなのか?
あっ。ロイだ。
今日は俺から見つけられたぞ。
ん?マイクもいるな。
今日はパーティーで何かやろうと思っているのだろうか。
「やあ、ロイ、マイク。」
「ん?ああ..レオか。お前、やっぱ変なあだ名がつけられてるぞ。」
「なんだと?」
無属性記者以外の変なあだ名?
「たしか...なんだっけ?」
おいおい、何忘れてるんだよ。
でも、忘れるって事は、そんなに印象の強いあだ名
じゃないってことだよな。
「『いじめっ子』だったと思うよ。」
マイクが教えてくれた。
いじめっ子...だと。
それじゃあ、ただのヤバイ奴じゃないか!
上級の魔物をたくさん倒して、暴れ回っていたからという理由だよな。
冒険者が魔物に同情しちゃってるじゃないか。
「それより、何でこんなに盛り上がっているんだ?」
俺とは関係ないだろう。
俺にいじめっ子って言ってくる輩がいないからな。
もっと別の何かに違いない。
「ああ、それはな。あの紙に書かれた募集の話で盛り上がってるんだ。俺達はもう盛り上がった後だ。」
ロイとマイクがニヤニヤしてこっちを見てくる。
俺の反応を楽しみたいんだろう。
そんなに凄いのか?
あと、盛り上がった後って何だよ。
ただ、あの紙と言われても俺は身長が低いから見えないんだよな。
多くの人がその紙に集まっているんだ。
まあ俺の身長はぐんぐん成長中だから、今だけだ。
「なあロイ、俺を持ち上げてくれ。」
「あー、そうだよな。すまない。」
俺はロイに持ち上げてもらい、例の紙の内容を読んだ。
募集
シド、ルベリア王国のずっと南の方に謎の暴風のドームが発生した。
その中には推定、都市級の魔物がいると思われる。
難易度が凄く高いため、全員で協力していこうという話になった。
そこで君たち冒険者にお願いしたい。
是非、この大規模遠征に参加してほしい。
このクエストを達成できたら偉業である。
一生の自慢話にでもなるだろう。
さあ、冒険者諸君、立ち上がる時だ。
暴風の中の魔物の討伐 難易度 都市級
報酬金 内容次第。だが、大金は約束。
参加する勇気ある者は明日の昼、ルベリア王国、ギルド前に集合
凄いな!
都市級!?
マジかよ...面白そうだ。
「へっへっへっ、レオの奴、驚いてやんの。」
「驚きすぎだ。」
「いや、凄いだろ!これ!」
正直、もうちょっとショボいものかと思っていた。
レッドシャイン、悲劇の解散。とかな。
俺はもちろん参加だな。
「ロイとマイクは参加するのか?」
「ああ、そのつもりだ。」
「僕も最近は自信がついてきたからね。」
じゃあ、陰キャ株式会社の再結成だな。
俺達の名をこの世界に轟かせてやる。
「僕の予想なんだが、有名な冒険者も参加するだろう?だから、守ってもらえて安心だと思うんだ。」
ああ、まずレッドシャインは参加するだろうな。
あいつらは俺達も守ってくれたんだ。
きっと、自分達以外の冒険者も守ろうとするだろうな。
「そして何より、都市級クエストなんだ。僕の予想では、ほとんどの冒険者は怖がって参加しないと思う。
だから、強い冒険者が戦ってくれて僕は何もしない。
それで、報酬金はたくさん貰えるって算段だ。」
恐ろしいな、マイク。
何て堂々とした姿なんだ。
ちょっとロイも引いてるぞ。
でも、怖がって他の冒険者が参加しないのはあるだろうな。
そして報酬金は例外もあるだろうが、ほとんどは等分するだろう。
つまり、人数が少ない分たくさん貰えるって訳だ。
とりあえず、明日はルベリア王国だな。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
気持ち悪いと思いますが、ランキングの末尾に載りたいです。
あと、小説家みたいに感想を返してみたいので是非
感想を書いてほしいです。




