43. 先生...
「ん?」
ああ、朝か。
絵画は、明日だったよな。
ギルド集合って話だった。
おっ、珍しくリリがまだ寝ている。
俺はリリの頭を撫でた。
髪が長くさらさらしている。
俺の髪とは大違いだ。
おっ。
いい寝相をしている。
もうすぐパンツが見えそうだ。
リリは服とかも買っておいてくれる。
古くなったりしたらな。
まあ、外では防具を着ている事が多いから、服はほとんど汚れたりとかしないけど。
あっ。
リリが動いた。
もうすぐだ、もうすぐでパンツが外の空気を吸いにくる。
「動け〜。」
小さく囁いてみた。
動け動け動け動け動け動け
「!?レオ様?何をしているんですか...?」
「いや、何でもない。」
見えなかった。
流石、リリだ。俺の邪念を感じとり、防御したのだ。
いつか、他の奴隷を買った人のようになる気がして怖いな。
その時は同時に、リリから嫌われる時だ。
それだけは避けねばならない。
俺が傷ついてしまうし、リリも傷ついてしまう。
いい事が何もない。
今日は眠ろう。
体を休めなければ。
次も超級クエストを受ける予定だしな。
「朝食を作りますね。」
「ああ、頼む。」
もぐもぐ
「今日も美味い。」
「ありがとうございます。」
今日はよく分からないスープに肉だ。あとパン。
よく分からないけど、美味しいものは美味しい。
やはり、ちゃんとした給料を払ったほうがいいだろう。
掃除とかもしてくれているしな。
月に一度、お金を与えるんだったか?
月に一度なら、金貨2枚ぐらいでいいか。
俺は凄い稼ぐ予定だからな。
冒険者は強さが最も大切だが、次に大切なのは速さだと思う。
すぐに現場に着いて、すぐに帰る。
この力があれば、たくさんのクエストを受けることができる。
「レオ様、クエストでの出来事とかを話しては頂けないでしょうか?」
「...ああ、いいぞ。」
そんな事が気になるのか。
と言うことは、冒険者になりたいのか。
その後、主に上級・超級クエストでの出来事を話した。
俺は話し終わったらすぐに寝てしまった。
「....朝だ!」
「!?」
リリがびっくりする。
絵画だぜ。
俺の絵心が火を吹く時が来たようだ。
「リリ、朝食を食べたら出かけてくる。お前も趣味を見つけることだな。」
「....」
リリが微笑んでいる。
寝ぼけているのだろうか。
朝食を食べ終わった後、すぐさまギルドに向かった。
おっ。
もうマイクがいるじゃないか。
あれ?ロイも一緒だ。あいつ、絵とか好きだっけ?
「おーい!レオー!!」
ロイが見つけて叫ぶ。
マイクはロイの向く方向を見て、初めてレオに気づき、
手を振った。
「やあ、ロイ、マイク。」
「さあ、行こう。僕があらかじめ予約しました。
結構、人気みたいですよ。」
人気なのか。
それは多くの人に見てもらい、凄いと思われた証拠だ。
俺もいつか、絵で評価されてやるんだから!
「そう言えば、何でロイも来たんだ?」
「俺はずっとクエストしてるからよ、金の使い所がないんだ。何のために稼いでるんだって話だろ?だから、
金を使いに来たんだ。」
貯めればいいと思うのだが、違うのだろうか。
絵には熱心に向き合った方がいいと思うがな。
マイクに殺されるんじゃないか?
「お前達、見えてきたぞ!あれだ!」
マイクが指さしたところには少し小さな、画家が住んでいそうな家があった。
周りは草原、俺の住んでいる家とは全然環境が違う。
こういう家もいいな。
ギィ
「こんにちは、君たちも絵画の予約をした人達かな?」
「そうです。」
おや、マイクは俺やロイと違って敬語を使いこなせているっぽいな。
頼りになる。
室内は椅子が円になって並んでおり、椅子の前には、おそらく絵を描くであろう板が置かれていた。
椅子は俺達が座ったらちょうど満席となる。
俺達を含めたら20人ぐらいかな?
もう全員いるらしいな。
!?
おいおい待ってくれよ。
俺達以外、全員女の人じゃねえか!
まずいぞ!俺達全員がまずい。
今日教えてくれる先生は男の人だ。
しかも髪の毛は赤色だ。魔人だろうか。
「す...座るぞ。」
ああ、やっぱり。マイクも女の人は苦手なようだ。
まあ、ロイがそうだから予想はつくけどな。
俺達...浮いてるな。
「さあ、君たち!何を描きたい?何が描けるんだい!
教えてもらうよ。さあ、まずは自分たちのイメージする木の絵を描いてちょうだい!いやん!」
何だこいつ...
俺のイメージする木か、
やっぱりアルシアと生活した森の木だな。
あの木は恐ろしいんだ。
そして、とにかく高い。
あと黒い。
この迫力を表すには、やはり下から見るような絵にする必要があるな。
そして、俺の中の主観では初めて見たときは、
めっちゃ黒く感じた。どす黒かった。
真ん中にでっかく...いや、その木がたくさんあるから怖かったんだ。
細く長く描いて、葉っぱが空を覆う感じで、どうだ!
完成した。ちなみに、絵具は椅子の横に置いてあった。
「みなさ〜ん!描けたのかなって聞いてるんだ!馬鹿野郎!!」
先生の怒号が室内に響き渡る。
何だこいつ...
「あっ、そうだ!皆さん、授業料の銅貨5枚、集めますね。」
安いんだよな。
だから人気なのか?
銅貨5枚で絵が上手くなるなら素晴らしいぞ。
「ロイ、マイク、安くていいな。」
「いや〜、安いか?」
「安くはないと思う。」
何!?銅貨5枚は安くないのか。
俺の金銭感覚が狂っているというのか。
俺はまだ、相場とやらが分かっていないらしい。
「はい、みんなありがとう!じゃあ、一人ずつ発表していきましょう。まずは君!」
よく分からない女の人が選ばれた。
「どうですかね?」
その女の人が描いた木は小さく、明るい色が使われていた。
「わ〜!」
「いいんじゃない?」
周りの人が感想を言っている。
俺も言ったほうがいいのだろうか。
それとも、俺みたいに友人と来ていて、その友人が話しているのだろうか。
友人だったら、俺が感想を言ったら変な事になる。
一旦様子を見よう。
「う〜ん、小さくて可愛いわ。素晴らしい!あなたの感性がひしっ...ひしっと伝わってきたわ。」
「やるじゃないか〜。」
!?
ロイが感想を言った。
他の人達はロイを見ている。
つまり、あの感想は友人によるものだったという事だ。
気をつけろ、ロイ!
お前はハメられたんだ!
「次、あなた。」
そんな感じで次々と女の人の絵が発表された。
しかし、女の人は全員同じような、可愛い系の木を描いていた。
コイツらは皆、同じ職業の友人かもな。
そうでなければ、こうも皆が木を小さく描くものか。
「次、あなた。」
ロイが選ばれた。




