42. 絵画教室
「ああ、えっと...僕はマイクだ。よろしく。」
そこには金髪の男がいた。
この人が音楽好きのロイの友人か。
金髪でカールを思い出させる。
「ああ、よろしく。」
「じゃあ、俺はクエストに行ってくるよ。」
え?
ロイがクエストに行くだと!
俺はマイクと何をすればいいんだ。
「なあ、ロイ。今は昼ぐらいだそ?なんなら、昼ちょっと過ぎぐらいだ。それでも、クエストに行くのか?」
「ああ。中級クエストだからな。それに場所も近い。」
「なあ、ロイ。僕は...」
「じゃあ、行ってくる!仲良くしろよー!」
行ってしまった。
ロイはこういう所が明るい人って感じだよな。
女に対しては暗い感じなのに。
「ははっ。君はレオっていうんだろ?結構有名な人で驚いたよ。」
「そうか、マイクは冒険者なのか?」
「ああ、レオと同じ上級冒険者だ。まあ、超級クエストを受けた事はないけどね。」
「へ〜。」
「「......」」
「あっ、そうだ。レオも音楽が好きなんだよね?意外と音楽が好きな人はいないんだ。嬉しいよ。」
「そうだな。俺も嬉しい。」
「ははっ。そうか〜...」
「「.........」」
「いや〜、ははっ...音楽はどういうのが好きかな?」
「そうだな。俺は前にやった舞台を見たときに初めて聞いたんだが、それが良かった。」
「あ〜、僕も見に行ったんだが、あれは良かったな。
やはり戦闘シーンは低音が大切だな。」
「「......」」
なんか...会話って難しいな。
あれ?俺は今までどうやって会話をしていたっけ?
当たり前に出来ることもしっかり分析しておくべきだった。
このままだと、同じ趣味の人と仲良くなれないまま終わってしまう。
絶対、趣味が合う人は大切だ。
好きな事について話せるのは楽しい。
俺はこのままだと、リリに無理やり興味もない話を聞かせることになるかも知れない。
「俺は音楽も好きだが、正直絵の方が好きかもしれない。まあ、音楽は最近知ったからな。」
「え!?僕も絵が好きだ。」
「えっ!?お前も?」
「ああ!絵は凄い魅力的だ。この世界をわざわざ、
平面で表現する所にロマンを感じる。」
「そうだな!俺もそう思う!」
「だが、クエストの絵は駄目だ。あんな迫力も何もない魔物の絵はレベルが低すぎる。絵の中の魔物がこの世界を生きている気がしない。」
「そうだな!俺もそう思う!」
いたんだな、この世界に。
ギルドの絵に不満を持つ人が。
おんなじ気持ちの人がいると心地がいいな。
集団の人が強くなれる原理と同じなのかも知れない。
おっ。
ギルド職員が睨んでいる。
俺とマイクの話が聞こえてしまったか。
睨んでいるという事は、まさか...あの絵はギルド職員が描いていたのか!?
少し悪いことをしてしまったな。
「おいマイク、どうやらギルド職員が絵を描いてるっぽいぞ。」
「何!?僕はなんてことを言ってしまったんだ。
いや、絵の評価に嘘はつきたくない!あれは最悪だ!
もっと構図とかあるだろ!」
マイク...本当に絵が好きなんだな。
あれ?音楽が好きなんじゃなかったっけ?
「マイクは絵とか描けるのか?」
「...全然だ。」
「あはっ!お前、それでそんな発言したのかよ!?」
「ふっ。上手くなりたいとは思っているがな...あっ!
そうだ、レオ!絵画を教えてくれる所があるんだ。
一緒に行かないか。1人じゃ不安なんだ。」
絵画を教えてくれる...?
そんな所があるのか!
俺のドーテルちゃんを遂に上手く描けるようになるというのか!
「ああ!行こう!」
「いつ行く?僕はいつでもいいぞ。」
う〜ん、そうだな。今日はもう暗くなるし、俺は体が疲れている。
「明後日でどうだ?」
「ああ!そうしよう。」
ギルドを出てマイクと別れて、家へ帰った。
結局、仲良くなれたみたいだ。良かった。
俺の友人がまた1人増えたわけだ。
「.....」
俺の友達って、ほとんど死んでないか?
守れていない証拠だ。
俺がもっと強くなれれば、みんなを守れる。
力が一番大切なんだ。
「レオ様、今日の超級クエストは上手くいきましたか?」
「ああ、...リリって友人とかいるのか?」
リリは友達がいるのだろうか。
ずっと1人だったら寂しい時も出てくるだろう。
「はい、1人だけですけど。」
「そうなのか...」
いるのか、良かった。
ちゃんと外に出て遊んでいるらしい。
「ほら、銀貨5枚だ。使ってくれ。」
「いえ、いらないです。」
「いいや、貰うんだ。メイドの給料だ。」
「私は奴隷ですよ?」
「関係ない。」
「...ありがとうございます。」
普通、奴隷に給料はあげないのか。
俺が普通の人じゃないからな、普通の扱いをしては
ダメだ。
魔力が出せないことをバレると困るからな。
こんな感じでカッコ付けて金を渡してみた俺だが、少し困っている事がある。
それはリリのワンピース問題だ。
リリはワンピースを常に着ている。
メイドに近い格好だと思ったからだろう。
だが、俺が寝転がるときにパンツが見えるのだ。
今も見えている。
いや、今は俺が見ているのか。おっと失礼。
特にリリが料理を作っているときに見えている。
いや、見ている。
遂に始まってしまったのだ。
奴隷に向けてしまう欲が。
だから男の奴隷がほしかった。
今はリリじゃないと嫌だけど。
くそっ。ドーテルちゃんも夕食が欲しいようだ。
こらっ!駄目でしょ!こらっ!ドーテルちゃん!
叩いても叩いても諦めず起き上がってくる。
これが...戦士の心構えだというのか!?
叩いても叩いても...ん?
あっ。ん?
あっ。...ん?
おっ。ん?
「レオ様、どこへ行くんですか?」
「.....トイレだ。」
「それにしては表情が...」
「俺はトイレに行くんだ。」
「そうですか...すみません。」
少しして、トイレから出た。
俺は、俺は戦士になった。
俺はまた1つ成長したのだ。
「夕食が出来ました。」
「ありがとう。」
今日も美味しそうだ。
俺のドーテルちゃんはもう夕食は食べたくないらしい。
「今日も美味しい。」
「ありがとうございます。」
明日は寝ていよう。
キングスネークの攻撃を受けた所がまだ痛い。
1日休んだら、治るよね?
そうして、戦士の1日は終了した。




