41. 帰り道
この森は歩いたらどれぐらいで出る事が出来るのだろうか。
走ったらすぐだとは思うが、痛いんだよな。
魔物を倒して、クエストは達成されたんだ。
やる気はゼロに近い。
幸い、魔物はいないしな。
いや、いるのかも知れないが、出てこない。
少し、暗くなってきたな。
夜の森は怖い、走るか。
ダッ
そう言えば、あの植物パーティー...もういないな。
結局、見つけられたのだろうか。
いろんな冒険者の形があって面白い。
まあ、俺はなりたくないけどな。
「待って〜!!!」
ん?
人が走ってきている。小さいな?子供か?
子供が森にいるか?普通。
走るの...止めたほうがいいよな。
あいつ、見るからに俺には追いつけない。
俺は止まって走ってくる人を見つつ、少し警戒した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、あ、ありがとう。」
大丈夫か?こいつ。本当に子供だし。
弱そうで森にいたらすぐ死にそうだ。
やはり、魔物の攻撃だろうか。
違和感があり過ぎる。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。大丈夫だ。それよりも君、剣は?」
「剣?持ってないぞ。」
「やっぱりそうだよな!はっは〜!!マジかよ!」
何だこいつ...もしかして、ただのヤバイ奴なのか。
よく分からない時は身体強化に全振りだ。
「君、つまりは剣なしで戦闘するんだろ?どうやっているんだ?」
「拳法だな。」
ここの近くに村とかあるのだろうか。
これとも、さっきの植物パーティーの一員か!?
「お前はここらへんで生活しているのか?」
「ああ、今はそうだ。」
まあ、変なやつもいるか...
超級の魔物が近くにいるのに生活するのは怖いな。
「少しの間、一緒にいさせてくれ。」
「いいけど、俺は森を出るぞ?」
「ついて行く。」
変な事になったな。
だが、変な奴を魅了するほどの強さを手に入れたと思うと、嬉しくなるな。
ガサガサ
!?魔物だ!
「ウギャー!!」
猿の魔物だ。
襲う前に叫ぶあたり、弱いだろうな。
木の中から飛びついて来たが、迫ってくるタイミングを見計らって、頭を殴った。
ゴキッ
「ギャ!」
はやり、弱いな。
強い魔物っていうのは頭がいいと言うことだな。
頭が悪いけど能力が目茶苦茶強い魔物には会ったことがない。
魔法が使えたら頭がいいか。
あれはイメージの世界ってアルシアが言っていたな。
「「ウギャー」」
「「「クギャー!!」」」
この猿の魔物、たくさんいるぞ。
ほぼ猿だけど、目が赤いだけだな。
あと、手足が若干長いか?
まあ、猿とか絵でしか見たことないからな。
猿じゃないって思う人の方が多い可能性もある。
色々な方向から飛びついてくる。
だが、遅い。
ゴキッ ボキッ グシャ
全ての猿を一回の打撃で沈めた。
「スゲ...マジかよ、俺の師匠だ!希望の光だ!」
何だ?一人で盛り上がっている。
子供の感性はよく分からん。
「お前...気をつけないと猿に襲われるぞ。」
こっちばかり見ている。
後ろから襲われるかも知れないと言うのに。
俺も数がいすぎて、守れるか怪しい。
コウモリの魔物の方が多かったよな。
じゃあ、いけるはずだ。
「「ギャッ!!」」
グシャ グシャ
こいつら、学びを知らないのか...
全員が単調に攻めてくる。
一直線に速度を同じに同じポーズで襲ってくる。
こんなの...数が多いだけだ。戦闘じゃない。
「マジで速いな!ここまでになれるのか!」
このまま行けば、余裕だな。
でも、ボスとかが出てくるんだろ?
俺は知ってるぜ。なにせ、ゴブリンがそんな感じだった気がする。
「うわっ!」
なんだ!?
見ると、その男が後ろから猿に飛びつかれていた。
「ヤバい、助けて..レ...!」
グチャ
猿に頭を手で潰された。
「......」
この野郎、
グシャ
バキッ
思い切り蹴り飛ばし、木にぶつかった。
俺が後ろの警戒を意識させていれば良かったな。
心の中だけで完結させてしまった。すまない。
やはり、弱かったんだな。
そして、ただの黒髪人間だった。
「「ウギャー!!」」
走って森を抜けた方が速そうだ。
ダッ
タタタタタタタッ
全速力で走った。
よし、追いつけてない。
これなら抜けられるな。
そして、完全な夜になった頃には平野にいた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
やっと抜けられた。
死んだ魔物は生きている魔物に寄って来られやすいという特徴を誰かが教えてくれたな。
つまり、鱗と牙のせいなのか。
まあ、平野はヤバい魔物に会ったことがないし、そこまで魔物は集まらないだろう。
俺は人の死を何度見てきたのだろう。
いつか壊れてしまうな。
だが、これが冒険者だ。
これからも人が死んだりする事はあるだろうな。
森を出たきり、全然魔物に襲われなくなった。
俺はゆっくりと歩いて移動しても、魔物の影すら見えなかった。
やはり、平野は安全なのか。
そうだっ!
牙と鱗を遠くへ投げ飛ばして身軽な状態で走り、移動速度を上げるのはどうだろうか。
この荷物とかは、持っても重くは感じないが、デカいからな。ストレスが溜まる。
いや、もし牙とかがなくなっていたら最悪だな。
キングスネークも浮かばれないって事だ。
俺もこんな頑張って戦っておいて、盗まれた。とか、破壊されたとかで、紛失したらやる気が随分と減るだろう。
今日はもう寝よ。
俺は牙と鱗を抱えて眠った。
次の朝、俺は走る事に決めた。
回復の為に歩いても、魔物に襲われたら結局は回復出来ない。
なんなら、魔物に襲われたほうが体への負担が凄い。
そのため、襲われない事を願って、走るしかない。
それでも、疲れていたため行きの速度よりだいぶ遅くなっていた。
結局、行きよりも日数がかかってシドに帰ってきた。
最後らへんの俺は凄かった。
まるでお爺さんのように朝日を眺めて、遠い目をしてパンをかじっていた。
平野って安全だな。
ついに来た!シド!
いつものように入国税免除カードをチラッと見せてすぐにしまう。
この大きいのを早く片付けよう。
ギィ
ギルドに着いた。
「すまない、これを頼む。」
ドンッ
「は...はい。ありがとうございます。」
「報酬をくれ。」
「はい!すみません!どうぞ。」
「感謝する。」
凄いな、金貨4枚だ。
超級クエストは大金持ちになれちゃうな。
「あいつ、また超級クエスト達成したのかよ...」
「え!?マジでか!?」
おいおいお前ら、聞こえてるぜ。
そういうのは影で話すもんだろ?
わざとか?
そういう言葉を聞いてしまうと顔がゆるけてしまう。
有名人はこういうのを耐えられるのか。
普通だと思っているのか、ムカつくな。
おのれ、レッドシャインの奴らめ。
「レオ!超級クエスト達成おめでとう。」
ロイがいる。
あいつ、ちゃんとクエスト受けてるんだろうな。
なんか、ずっとギルドにいないか?
「そんなお前に紹介したい奴がいる。」
「おう。」
何のことだ?
俺は早く休みたいのだが...
「お前と同じ音楽好きのマイクだ。」




