40. どこだ!キングスネーク!
こうも大きな森に入るのは久しぶりだ。
森での戦闘は木をうまく使う奴が勝つ。
俺の身体が覚えていることを願おう。
ここの木は高いとは思うが、アルシアといた森の木の方がもう少し高かった。
俺の身長が伸びたからそう思うのだろうか。
いや、違うな。ちゃんと高かった。たぶん。
いや、そんな事はどうでもいい、いないぞ。
まだ全然奥に行ってないから分からないけど。
強い魔物は国から遠い所にいるんだな。
強くなる事に遠くなっている気がする。
神級クエストとか、どこまでまいくんだろうな。
レッドシャインが全然ギルドに顔を出さない理由が、
これだろうな。
救出は緊急クエストになっていて、たまたまその時、レッドシャインがいたらしい。
幸運だった。
ダッ
森を走った。
奥はどこまで続いているのか。
流石にそこまで広くはないと思う。
横に広がっている感じがした。
縦の広がりはそこまでじゃないか?
まだ、森だ。
広いな。
よし、木に登ってみよう。
高いところからならキングスネークもいるだろう。
ダンッ
木の枝の高さまでジャンプをした。
ダンッ
「ふぅ、」
高いな、この木。
アルシアとの森では高すぎて、落ちたら身体強化でも死ぬと思ってあまり上まで登れなかった。
奥の方を見ると、チラッと海が見えた。
綺麗な景色だ。
ぐるっと見てみたが、キングスネークはいないぞ。
絵には大きなヘビが描かれていた。
だが、大きなヘビだと伝わるような迫力がなかった。
もっといい絵を描いてほしいものだ。
「......」
キングスネークどころか、魔物すら見つからない。
理由は想像がつくけどな。
おそらく、キングスネークが他の魔物を殺したか、
威圧して隠れてしまっているのだろう。
ん?
人がいる。それもたくさん。
まあ、この森は超級だから、集団で来るのは普通か。
しょうがない、会いに行こう。
情報収集だ。
バッ
木から飛び降りた。
ズドーン
「うっ。」
痛い、カッコいいけどやらない方が良さそうだ。
えっと〜、たしか...こっちの方にいたよな。
ダッ
分からなくなる前に行かないと。
この距離なら走ったらすぐだと思う。
ザザザザ
「な、何だ!」
「やあ、お前達、キングスネークって見た?」
この集団は冒険者のようだ。
これだけの人数だから軍隊の可能性もあったが、服装がバラバラだった。
何かこいつらコソコソと話しているな。
俺がそんなに不審者に見えるか?
冒険者なら初めて会った人でも助け合うものじゃないのか?
なんか、籠?檻か?それを持っているな。
鼻の良い生物を飼っているのだろうか。
分かった。珍しい植物か何かを探しに来たんだ。
そういう冒険者が中にはいてもおかしくない。
実際、超級クエストに植物探しとかもあった。
そういう植物は危険な魔物が多い所に生えている。
だから、これだけのパーティーを組んだのか。
報酬金とか大丈夫だろうか。
10人以上はいるけど、これなら少数で難易度を下げたほうがいいのではないか?
それだけ植物探しが好きってことか。
いいパーティーだな。
「やあ、待たせてすまない。急に現れたからな、驚いてしまった。キングスネークだったよな?奴はもっと東の方にいたぞ。」
リーダーのような人だろうか。
彼が話したら皆が一斉に黙った。
黒髪のイケメンさんだ。
そして何より、強そうだ。
植物探しでも強さは必要だもんな。
「ありがとう。植物探し、頑張れよ。」
「ああ、頑張るよ。」
ダッ
時間が経つとどっかに移動してしまう。
走ってばっかだな。
「シャー!!」
おっ。何か聞こえるぞ。
絶対にいるだろ。
不意打ちをしたほうがいいよな。
木の裏に隠れた。
あれか!
デカいな、クネクネしてるけど一直線になったら木と同じぐらいの長さになるんじゃないか?
黒い鱗を纏ったヘビのようだ。
「シャー!!!」
こっちに突っ込んできた。
バキッ
木が吹き飛ばされた。
俺は上に飛び、頭に殴りかかる。
ドンッ
「ギァ!!」
殴られた箇所から尻尾にかけて赤い鱗に変化する。
尻尾まで赤く変化した時には頭は黒い鱗に戻っていき、
やがて尻尾までが黒い鱗に戻った。
何だ!?
意味が分からない。
キングスネークは炎を一直線に圧縮して放つ。
バキバキバキバキ
俺が逃げる方向に放ち続け、木がたくさん焼け折れた。
当たったらヤバい。
身体強化しててもヤバい!
ダッ
ヘビの頭の下に素早く入り込んだ。
ヘビはレオを追って炎を放っていて、下に入り込まれたため、追って下を向いた。
今だ!
ドンッ
ゴキッ
地面を蹴り、ヘビが下を向く動作をする途中で顎を殴った。
「ギァ!!」
ヘビは上に跳ね上がり、それに釣られてレオが少し上を向いた隙に地面ぎりぎりから尻尾が迫り、レオをぶっ叩いた。
バチンッ
「うぐっ!」
ドカンッ
バキッ
木にぶつかった。
痛い...ただ咄嗟に背中に魔力を集中させたのは正解 だったようだ。
このヘビ、絶対に頭いいよな。
ということは、こちらも頭を使わなければならない。
だが、思い切り殴ったのに全然倒れない奴に勝つ方法なんて、思いつかないぞ。
殴りまくればいいのかな。
ボンッ
何!?
横から炎の玉が飛んできた。
ヘビは正面にしかいないぞ!?
超級だと、そんな事も出来るのか。
ドドドドドドッ!
全方位から炎が飛んでくる。
森の奥からだな。
よく分からない。
ボンッ
「ぐっ。」
後ろからも飛んでくるのかよ。
よし、後ろに魔力を集中だ。
そして、ヘビを攻めるのみ。
ダッ!!
炎の隙間をかいくぐり、ヘビに近づいていく。
タッ
バキッ
直前で近くの木を蹴り、方向を変え、焼け切れた木を投げた。
ヘビの視界から外れ、ヘビが首を動かし、視界に入れようといたら目の前に木があった。
「シャッ!」
咄嗟に避けるとレオを完全に見失ってしまった。
「ふっ。」
見失っているな。可愛いかも知れない。
ドンッ
木の頂点に座り、木の側面に足を当てて思い切り蹴った。
あとは拳に魔力を注ぐのみ。
身体強化も全開だ。
速すぎて目が細くなる。
グシャ!!
ヘビの頭が潰れた。
よし!手が痛い!
「あっ。鱗...」
そうだ。鱗と牙を回収しなければ。
「ふんっ!」
ベリッ
「ふんっ!」
ブチッ
取れた〜。
これだけ硬かったんだ。
取れなかったらどうしようかと思ったよ。
そしたら殺した意味ないな。こいつも可哀想だ。
死んだら脆くなるのだろうか。
魔物はよく分からないな。
それにしても、牙も鱗もデカいな。
これを持って帰るのか...
パーティーの方がいいのかも知れない。
「はぁ、はぁ、帰るか。」
もう、走らなくていいよな。
気が楽だが、調査団とか出されたら申し訳ない。
元気になったら走って帰るか。
俺は帰るため歩き始めた。




