31. 上級クエスト
「リリ、これおいしいな。」
「ありがとうございます。」
俺は朝食を食べている。
いい朝だ!
よし、今日は上級クエストを受けるぞ。
どんな魔物が俺に襲ってくるのかな。
今のところ、森の魔物の方が強いぞ。
頭も良かった。
「あ、たぶん上級クエストは長くなるからご飯はいらない。ほら、この金で遊んできてくれ。ただし、逃げるなよ?バチバチの魔法をくらわすからな。」
「逃げるわけないじゃないですか。お金、ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」
...あやしい。やけに笑顔だ。
まあいい。逃げても捕まえる。
俺はリリより速いからな。
「いってらっしゃいませ。」
「おう。」
毎回思うのは、ギルドが近くて良かったということだ。
あまり速く走ってはいけないだろうし、速く着くのは素晴らしいことだ。
ざまあみろ、他の冒険者諸君。
ギィ
朝早いからな、人は少ない。
少ないと言っても、今日は少し多いけど。
っておい、またあの俺が質問した男がいるぞ。
あいつ...いつクエスト受けてるんだ?
まあいい、そんな事よりクエストだ。
どれどれ。
おっ!
ドラゴン!!
上級クエストからはドラゴンのお出ましか。
リトルドラゴンの討伐 鱗の回収 難易度 上級
場所 セカンドコアから北へずっと進んだ所の洞窟
「これを頼む。」
「分かりました。気をつけてください。」
洞窟か...初めてだな、面白そうだ。
「おい、ちょっと待て。」
誰だ?この冒険者。
「お前、上級クエスト受けるのか?」
「ああ。そうだ。」
「え?」
「マジで...」
ざわざわとし始めたぞ。
どういう事だ?
「お前...中級冒険者だよな?いつ、なったんだ?」
「昨日。」
クールタイムがあるのか?
そんなルール聞いてないぞ。ちょっと〜受付さ〜ん?
「あのな、俺たち上級冒険者も普通は中級クエストを受けているんだ。つまり、それぐらいヤバい難易度なんだよ。分かっているのか?」
そうなのか。
やはり、初級から中級に上がった時も思ったが、難易度は跳ね上がるものだと考えた方がいいらしいな。
「でも、大丈夫だ。自信がある。」
「そういう奴はたくさん見てきた。俺もそうだったからな。そう言う訳で、俺もついて行く。」
マジかよ...でも、万が一はある。パーティー扱いにはなるが、体験って事で割り切るしかないな。
「待て!俺も行く。」
「僕も行かせてくれ。」
「俺もだ。」
...5人パーティーになったな。
安心っていうレベルじゃないだろ。
そんなに強いのか?
ただ、この中では俺が一番強いと思う。
成長していると思うし。
「じゃあ、行くか。」
なんか、俺がビビりみたいで嫌だ。
「ちょっと待て!俺も行く。」
この声は!?ロイ!!
「大丈夫なのか?お前。」
「お前が大丈夫じゃないんだよ。」
心配してくれるのか、いい仲間だな。
冒険者は友達ってより仲間の方がしっくり来る。
「で、まずはどこに行くんだ?」
「知らないのかよ。セカンドコアだよ。」
「...ありがとう。」
ちょっとロイの顔が赤いぞ。
何だこの会話...これが、恋人。
セカンドコアへの道の途中。
「まず、お前ら誰だ?」
「俺はギド。」
「俺はガット。」
「僕はカール。」
「俺はアストロ。」
「オラはロイだ。」
「あっ、俺はレオだ。」
ロイの奴、いつ一人称変えたんだ。
う〜ん、全員を覚えられる気がしないな。
俺に話しかけたギドは他より大人ってことは分かるし、カールは金髪だから分かりやすい。
問題は他の二人だ。ガットとアストロ。
2人とも似たような防具だし、黒髪だ。
ギドも黒髪だけど。
まあ、そのうち覚えるか。
おっ。
「見えてきたぞ。」
セカンドコアだ。懐かしい...あれ?昨日来たよな。
「あ、昨日の冒険者さん!」
「よお。」
結構、畑の被害が凄いな。
農家の人達、大変だな。
「報酬はギルドに渡してありますよ?」
「ふっ。違う。誰がそんながめつい冒険者だ!北にある洞窟に行くんだよ。」
「そうですか、気をつけて。」
さて、ずっと北か...長いだろうな。
セカンドコアを後にして、少ししたら空は暗くなった。
「今日はここまででいいよな?リーダー。」
ギドは笑顔で俺の肩に体重をかけた。
これがチビの宿命だというのか。
まだ成長期なのに、この野郎。
「そうだな。」
俺がリーダーか...まあ、俺のクエストだもんな。
あっ。今気づいたが、アストロとガットは魔法使いだ。
杖を持っている。
ちなみに、ギドとカールは剣士だ。
「なあ、杖って何の意味があるんだ。」
ガットが微笑みながら答えた。
「杖はな、魔法の補助みたいな事をしてくれるんだ。
これのおかげで、取り乱した時も魔法が出やすい。」
そうなのか。補助ね〜。便利で羨ましい。
皆でその場に円を囲むように座った。
「ギド、火をおこしてくれ。できるか?」
「当たり前だぜ。この皮を使わせてもらうけどな。」
この皮!?懐かしいな。途中からどこに行ったか覚えていない。
「おいお前ら、肉!あるぞ。新鮮にしてあるから、もうすぐ腐ってしまう。早く食うぞ。」
急にアストロが話しだした。
覚え方が分かったぞ!
大人のギド
金髪のカール
肉のアストロ
ただのガット
キチガイのロイだ。
何か、ただのガットの方が印象に残るな。どうしてだ?
楽しく騒いだ後、寝転がった。
駄目だ...寝れない!
俺は楽しんだ後には寝れないのか。
「お前ら、久しぶりに酒なしで騒いだから...目がきまってる。助けてくれ。」
ギドが唐突に空に向かって話した。
ロイが珍しく口を出した。
「じゃあ、もし国級冒険者ならどうするか話そうぜ。」
「いいな〜それ。」
カールが便乗した。
「じゃあ、リーダーから。どうぞ。」
俺!?ん〜、そうだな。
「本当に国と同じ力なのか確かめるために国と喧嘩するかな。」
「怖っ。」
馴れ馴れしいロイが口を出した。
「じゃあ、僕。思いついた。」
僕っ子、カールが話した。
「僕は国級クエストを達成して、その金で遊び回りたいな。次、ガット!」
楽しそうだな。国級なら金を守れるな。
ただのガットが話した。
「俺は...ちや、チヤホヤされたい。」
「「「ふっ。」」」
笑ってしまったが、正直、気持ちは分かる。
「ふっ。気持ちは分かるぞ。」
カールがニヤニヤしながら肯定した。
「若いな、お前ら。」
ギドが遠くを見て話した。
まあ、ずっと空見てるけど。
でも、
「なあ、ギドって何歳だ?」
そんなおじさんには見えないぞ。
「俺は36だ。」
若いじゃないか。
ただ勝手に悟りを開いているだけだな。
「じゃあ、最後、アストロ!」
自分は話す気がないロイが口を開いた。
「俺は、超高速で女性の胸を国級タッチする。」
「「「.......」」」
「...ふっ。」
「「「あははははは!!!」」」
アストロが最初に『ふっ。』って言ったせいで笑いが堪えきれなくなってしまった。
なんだよ、国級タッチって。ははっ。
そんな感じで楽しく夜を過ごし、いつしか寝ていた。




