30. 昇級
カエルは水を飲んでいるが、今度は少し工夫している。
川に浸かって、仲間で円を囲って飲んでいる。
しかも、水の方を見ずに全員が前を見ている。
奥の方のカエルは見えないけど、おそらく全員が警戒して前を見ていることだろう。
つまり、突っ込んだ時点でバレるということだ。
俺の速度がカエルに勝っていたら大丈夫なのだが、さっきの速さを考えると無理だよな〜。
奥にまわって川の中から攻めるか。
それしか思いつかない。
よし。ここまで来たら気づかないだろう。
「はあっ。」
チョポンッ
ん!
身体強化は息を止められる時間を伸ばすこともできるのか。
だいぶ楽になったぞ。
身体強化は身体のレベルを上げてくれるわけだ。
まあ、それは知ってるけど。
じゃあ、防御の時は身体強化に全ての神経を使うべきだな。
「ぶくぶく。」
カエルだ。うわ〜、ペロペロしてる。
石をたくさん持って下に沈む。
グチャグチャ
「っはぁ!」
一気に2匹を拳で殴り倒した。
あと1匹!
他のカエルは追いつけない速度で走る。
「うらぁ!」
グチャ
投石をした。
これなら、俺の速度は関係なしだ。
でも、石がなかったらどうしようか。
...剣でも買うか。
「うっ、これで10個。」
目が集まり終わった。
酷い光景だな。ちょっとカエルはもういいや。
「レオ!終わったか?」
ロイか。
「ああ、今終わったところだ。」
だいぶ前にゴブリンの叫び声は止んでいたが。
「見てたぜ、遠くから。お前速いな。」
「そうか?」
ロイ、待っていてくれたのか。いい奴。
「おう、速かった。ちょっと残像が見えたぞ。」
「そっちはうまくいったのか?」
「当たり前よ。身体強化が慣れてきたからな。剣術はもともと出来るんだ。」
「なんだ、剣術で倒したのか。てっきり、小賢しく商人になりすましてゴブリンに毒を盛ったのかと思ったよ。」
「おう!そうだぜ。『ちょっとあなた、ここにいい煎餅がありますよ?』、『あら〜、お1つ頂ける?お代はわ・た・し♡』」
「ふっ。そんなゴブリンいないだろ。」
「ははっ。これで俺は中級冒険者だぜ。」
「俺もだ。」
「え!?お前まさか、2つ受けたのか?」
「おう。」
「スゲ〜な。」
ギィ
「ヒキガエルの目、10個だ。」
「は...はい。ありがとうございました。こちら、報酬になります。」
おお!銀貨6枚!
生活費は大丈夫だな、たぶん。
「あ、カードを貸してください。中級冒険者に昇級しましたので。」
「どうも。」
やったー!順調過ぎるんじゃないか!?
このまま行けば上級冒険者になるのはすぐだな。
「レオ、俺は中級冒険者だ。」
「俺も中級冒険者だ。」
「いいや、俺が中級冒険者だ。」
「いやいや、おいどんが中級冒険者だ。」
「邪魔よ、どいて。」
「あっ、すまない。」
つい、受付の前でふざけてしまった。
女剣士だな。
ロイがシュンとしている。
「なあ、レオ。あんな言い方しなくてよくないか?」
「まあ、俺たちに非があるからな。」
受付の人も困っていたと思う。
確実に俺たちが悪いんだ。ああいう言い方をされても仕方がない。
ん?あいつ、報酬金やば!!
袋いっぱいだぞ!?
何か、いつも同じ席に座っている冒険者にまた質問してみた。
「あいつ、誰だ?」
「知らないのか?彼女はミラ・ウォーター。超級冒険者だ。パーティーを組まない自分勝手な奴だと噂だぜ。」
「そうなのか。超級...」
凄いな。俺達は自分勝手な奴に正当な理由で怒られたのか。俺たちが一番ださいな。
「おい、ロイ。あいつ超級冒険者らしいぞ。」
「マジで!?強いのかよ、ムカつく。」
「あなた達、こそこそと気持ち悪いのよ!弱虫。」
「いや〜、ごめんね。」
ロイがまたシュンとなっている。
ロイに言い返す力はあるのだろうか。
「誰よ?ガキ!」
我慢しろ、勝てる相手じゃな...
いや、勝てるか?
実は俺もだいぶ強いんだが。
あっ!行っちゃった。
「しょうがないさ、あいつはルベリア王国でも名の通った大物だからな。我慢できて偉いぞ坊主。」
誰だよ、お前。
俺だって強いんだ、リリを守れるくらいにはな。
ところで、
「パーティーを組んでない人たちが結果的に協力した形になってクエストを達成したらパーティー扱いって言ったよな?それが同じ人達でもう2度起きたら、そのパーティーって昇級するのか?」
「あ...えっと、その...」
「その場合は昇級しません。パーティーと同じように報酬は出しますが、それだけです。」
「そうなのか、感謝する。」
隣の受付が答えてくれた。
そうそうないとは思うが、昇級したら面白いと思ったのにな。
ロイと別れたあと、家に帰った。
「リリ、中級冒険者になったぞ。」
「凄いです。おめでとうございます。」
料理道具を買ってくれている。
そしてちゃんと家にいてくれたな、ありがたい。
何か料理道具以外も買っているな。
一気にちゃんとした家になったな。
「リリ、ありがとな。」
「いえ、必要な事でしたので。」
リリは俺より少し小さい。
そのせいか、リリを可愛く感じてしまう。
歳は1つしか変わらないがな。
「夜食を作りました。」
朝は早くに出たから、リリの料理を食べるのは初めてだ。すっごい不味かったらどうしよう。
まあ、どうせ美味いんだろうけどな。
「うまい。」
よくわかんない肉だが、美味い。
パンに合うな。
「よかったです。」
食べ終わったあと、魔力操作の練習と筋トレを2階で行う。
リリはお湯にするために火属性魔法を頑張ると言って努力しているらしい。
俺はリリが寝たあと、こっそり頭を撫でている。
可愛いという感情があるからな。
これで殺人しまくった大犯罪者なら面白いな。
リリはメイドとして終わっていいのだろうか。
ちなみにクイーン家のようなメイド服は着ていない。
シンプルな...ワンピースだったか?それを着ている。
こんな子供が奴隷になったら一生奴隷なのだろうか。
生活の中で探ってみよう。何か望みは絶対あるはずだ。
明日は上級クエストを受けてみようかな。




