28. 教育
「リリ、掃除はできるか?」
「はい、出来ます。」
「ではこの雑巾とほうきを使って掃除をしてくれ。」
「はい。」
リリは掃除をし始めた。
...俺もやろ。
2人でやったら夕方には綺麗になっていた。
やはり人数は大切だな。
まだ防具を買いに行ける時間だ。
速く済ませてしまおう。
「リリ、出かけるぞ。」
「はい。」
防具もどうせ高いんだろ?
流石にレッドシャインぐらいの装備は買わないけどな。
それなりのものは買いたい。
ついでにリリの服も買おう。
...レッドシャインってださいよな。
若者って感じだ。超級パーティーと聞くとカッコよく感じるが、名前だけだと何か恥ずかしくなってくる。
俺達は中央に向かった。
なぜならそこに商店街があり、装備を売っている店もそこにあるからだ。
栄えてるな。ルベリア王国ほどではないが。
「リリ、はぐれるなよ。」
「はい。」
俺は、はぐれないようリリの手を握った。
柔らか!?俺が硬いのか?
この店だな、武器とか見えるし。
ギィ
「いらっしゃい!」
おお!武器やら防具やらが沢山あるぞ!
ワクワクするな。
何だ、この剣!カッコいいじゃないか!
杖もある...杖って何でいるんだ?
魔法の威力を上げてくれるのだろうか。
じゃあ、バキバキに砕いて飲み込んだら身体強化魔法も強化されるかな。
防具...軽装備が理想だな。
これはいい。
肩出しシャツのような軽防具に膝、肘を守る厚い装備、足は膝や肘ほどじゃないが、ガッツリ守っている。
動きやすそうで素晴らしい。これにしよう。
値段は...金貨2枚。
「リリ、金貨2枚だってよ。はっはっはっはっは!」
安い!安いぞ!!
今までが高すぎたんだ。いや〜、素晴らしい!
俺はリリの背中をポンポン叩きながら笑った。
リリは静かに困惑していた。
「よし、服を見に行こう。」
次は服屋だ。
服屋はそこら中にあるため探す必要はないな。
貴族の住む場所に近づくほど服屋は増えていくんだ。
どうやら、お貴族様は服が好きみたいだ。
服屋は初めて入ったが、男者と女物がガッツリ別れて売られている。そして、女物のところに男は一人もいなかった。当然なんだけど、俺が行きにくい。
「リリ、好きな服を4着ぐらい選んでこい。俺は自分の服を選んでいる。」
「いいのですか?」
「いい。」
俺とリリは別れて自分の服を選びに行った。
リリって頭いいよな。ヤバいな。
嬉しい反面、俺が魔力を流せないと気づきそうで怖い。
やはり、長袖長ズボンだろ。
身長がずっと伸びているからな。少しだけ大きい服を買おう。少しだけな?
俺は適当に4着とった。
「4着で銀貨3枚です。」
銀貨3枚!!やっす!!
そうだよ。こういう世の中でいいんだ。これでいい。
俺が感動にふけているとリリが走ってやって来た。
「これをお願いします。」
リリ、走ったのに息切れをしていない。
落ち着いているな。これは...剣士向きか?
「おう。」
「すべて合わせて銀貨8枚です。」
銀貨8枚!?安い〜。
家に帰った時には夜だった。
店を出た時から夜だけど。
「さて、リリ。お前に家事の極意を教えてやる。」
「私、家事は基本的なことなら出来ます。」
「ああ、そう。」
俺がこっそり買っておいた料理本の出番がなくなってしまった。
というか、家事出来るじゃないか。
商人はできない感じで話してなかったか?
他の人は奴隷を次第に自由に利用するようになるらしい。
たぶん魔力を外に出せたら俺もそうなっていただろう。
だが、魔力が流せないから安心だ。
どうせ、長く一緒にいると情が湧いてくるんだ。
嫌われる事は避けたほうがいい。
そして、好かれた方が働いてくれると思う。
俺なら好きになった人のために働く方が力が出る。
まあ、俺の場合はやりたい事を優先するけど。
問題は魔力を流せない事をバレないようにする事だ。
バレたら逃げられる可能性が高い。
俺の1歳下なんだ、変な理由で奴隷になったに違いない。
バレる前に好かれる事が重要かな?
家を出れないようにするか...
どうしよう。
決めた。好感度を上げることにする。
そして、速くクエストを終わらせて帰ろう。
俺の速さがあれば捕まえられるはずだ。
逃げたなら次は家を出れないようにしよう。
いや、無理に働かれるのも気分は良くないな。
逃げたら売るか。そうしよう。
「あの、名前は何と言うんですか?」
「ああ、言ってなかったな。レオだ。」
「レオ・アンダーソン様?」
う〜ん。ご主人様と呼ばそうかな〜。
奴隷市場でそう呼ばせている人を見て、いいと思ったが...貴族でもないのにご主人様って恥ずかしいな。
「レオと呼んでくれ。」
「レオ様ですね、分かりました。」
「リリの仕事はメイドだ。朝と夜の食事、それから掃除をしてくれ。それが終わったら何をしてもいいが、逃げないでくれ。」
お金はいくらあげればいいのだろうか。
分からん。食材とかも買わなきゃだし、料理道具も。
「リリ、金貨を10枚渡すから明日は必要な物を買っておいてくれ。」
「...分かりました。」
金貨10枚あれば足りるだろ。
...こんなもんでいいかな?
全て言い終わっただろ。たぶん。
俺の服、臭いな。
もう新しいの買ったし、雑巾にでもするか。
「レオ様、よろしければその服、洗濯いたしますか?」
「洗濯?」
「...はい。洗って綺麗にするのです。」
洗濯...そんな事が出来るのか。
あっ。確かに服を外に出している家もあったな。
パンツが干してあったのをニヤニヤ見ていただけだったが、そういうことか。
「頼む。リリの服も洗濯しろよ?」
「はい。」
「じゃあ、俺は水浴びをする。見るなよ?」
久しぶりの水浴びだな。
どこの国も水は有料なんだ。
川に行けば無料だけどな。
やはり、水浴びは貴族の嗜みだ。
水浴びをする量の水は高いんだ。
「水浴び?お風呂の事ですか?」
お風呂...?
基本知識の本には載ってなかったぞ?
「お風呂はお湯を使った水浴びですね。」
お湯!そう言えばアルシアがなんか言っていたな。
でも、火属性魔法が使えないと温められないよな。
あれ?アルシアって火属性魔法使えたよな。
何で川をお湯...いや、お風呂にしなかったんだ?
「リリって、火属性魔法が使えるのか?」
「はい。」
こいつ、何でもできるじゃねえか!?
商人の人、嫌われすぎじゃね?何したんだよ。
「そこの部屋に桶があるから魔法を使ってほしい。」
「分かりました!」
リリはそう言うと、颯爽と部屋に駆け込んでいった。
バタンッ
「ん?」
「リリ〜?」
返事がないな。
リリが行った部屋に行くと、桶に手を突っ込んだまま倒れているリリの姿があった。
「大丈夫か!?」
ご飯を食べる部屋に戻ったらリリが目覚めた。
「大丈夫なのか?」
「はい。魔力を使いすぎました。」
魔力を使いすぎると倒れるのか。
俺も森とかで結構、魔力を使っていたぞ?
いや、操作していただけか。
「ありがとう、リリ。」
俺はお風呂とやらに入ってみた。
「...ぬる。」
これが...お風呂。




