19. 女王様
門がたくさんあるにも関わらず、行列ができている。
そして、進みが速い。
おそらく、門にいる人が優秀なのだろう。
それか、適当な人。まあ、前者だよな?
馬の人とは別れた。毎回ついて行かないといけないのは大変だな。
「アルシア、ルベリア王国だな。」
「はい、そうですね。無事着くことができて、良かったです。」
元気がなさそうだな。
いや、久しぶりの故郷に緊張しているのだろうか。
「次〜。」
おっ。もう入れるのか。やっぱり速いな。
どの国もかけ声は『次〜。』なのだろうか。
「子供だけか、珍しいな。1人銀貨1枚だ。」
高!?恐ろしきルベリア王国。
とほほ、銀貨が4枚になってしまった。
ルベリア王国の景色は一言で言えば、『広すぎて分からん』だ。一言と言えるのかは知らないが。
門をすぐ抜けた所の景色は今までの国と変わらなかった。
「ルベリア王国は広いが、ずっとこんな感じなのか?」
「いえ、中央にいけば行くほど家や店が豪華になっていきます。」
「じゃあ、中心にアルシアの家があるのか?」
「そうですね。ですが、本当の中心にはありません。
我がクイーン家とキング家の家が並んでいる感じになってます。」
「アルシアって、アルシア・クイーンって言うのか?」
「言ってませんでしたっけ?」
あれ?聞いたっけ?
アルシア・クイーンか...女しかいないのか?
「レオ様ってフルネームではなんと言うのでしょうか。」
「レオ・アンダーソンだ。」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「言っていたでしょうか?」
駄目だ!2人とも曖昧過ぎる!
まあ、父ちゃんとは正式な親子じゃないからな、アンダーソンじゃないかも知れないが。
「中央に行くか。」
「はい。」
しかし、広いんだよな。中央まで行けるのだろうか。
中央に向かう過程で道はどんどん綺麗に整備されたものになっていった。
そして、人の数もそれに比例して増えていった。
だが、ある程度中央に近くなると人の数は減っていった。
見る人見る人の服が綺麗であるのを踏まえて考えると貴族ゾーンに来たということが分かる。
何か全員がいい服を着ていて俺が目立つな。
ふっ、水でもかけたらどんな反応をするのだろう。
馬車とかも通っている。カッコいい。
だが、俺は壁近くにいた冒険者の方が泥臭くてカッコいいと思うがね。
暗くなってしまった。
どうしようか。こんな所で野宿でもしたら誰かが通報して兵士達がやってくるかも知れない。
来てもいいんだけどさ。
宿なんて、あるのだろうか。
あったとしても高いよな。
見た感じ、銀貨4枚程度じゃ済まされない気がする。
「アルシア、このあたりで安い宿とかってあるか?」
「あまり来たことはありませんが、おそらくないと思います。」
「野宿しかないのか。」
「....仕方がない..ですね。通報されるかも知れませんが、お金が無いので仕方ありません。」
アルシアが自分に言い聞かせてるぞ。
やっぱ、嫌だよな〜。
そういえば、パンとか買ってなかったな。
貴族ゾーンで、ぶっ倒れたら恥ずかしいぞ。
考えてみたら、王族が野宿って面白いな。
今更か。
とりあえず、通報されないような隠れられそうな場所を探そう。
細い道があるぞ!いいね〜。
ここにしよう。
「アルシア、行くぞ。」
「...はい。」
ドンッ
「すまない。」
人にぶつかってしまった。
げっ!?兵士の人じゃないか!やべ。
女の人か、珍しいな。そして貴族ゾーンだからか、兵士の装備もカッコいい。いや、この人だけか?
「アルシア...?あなた、今、アルシアと...
アルシア様!!」
「あなた、...ヴァレリアよね?」
「アルシア様ー!!!」
女兵士がアルシアに抱きついた。
俺もアルシア抱きつきたかったりして。
いや、感動の再会に水を差すような事は駄目だ!
チラ
「生きておいででしたか!大変嬉しく思います!」
泣いてるぞ、この女。
アルシアはやはり人気者だったのか。
あと、アルシアが敬語を使っていない。羨ましい。
「今までどこにいたのですか〜。うぅ、うぅ。」
ひっくひっく泣くのが普通だと思っていたが、違うのだろうか。うちの村だけなのか?
何はともあれ、よかったな...アルシア。
父ちゃんやドレイク、カイに会いたくなってきちゃったな。
「アルシア様、もう暗いですので家へ帰りましょう。
おい!馬車を持ってこい!」
「は!」
あの人、ヴァレリアだったっけか?偉い人なのか。
ルベリア王国の偉い人なんて、相当偉いよな。
っていうか、ヴァレリアって言いにくいな。
俺も乗せてくれるよね?
『レオ様はここまでよ、ごきげんよう。』とか言われたら、せめてもの報復としてパンツの色を叫んでやる。
「レオ様も一緒よ?私の命の恩人なんです。」
「は!レオ様、アルシア様を助けていただきありがとうございます。」
頭を下げてきた。綺麗な人だな。
大人の女性をまじまじと見たことはたぶんないから、
俺のドーテルちゃんも気になっているようだ。
その後、馬車に乗った。馬車の外側は黒色でカッコいい感じだったが、中は赤色でおしゃれな雰囲気が漂っている。
こんな事よりすることがあるんじゃないだろうか。
かっこいいけど。
「アルシア様、私たちは全力でお探ししたのですが、見つけられませんでした。大変、申し訳ございません。」
「いいのよ。あの場所はまだよく分からないじゃない。
しょうがないわ。」
確かに、あの場所は俺もよく分からないな。
「これから女王様に説明をしていただきます。疲れているとは思いますが、しばしご協力下さい。」
「わかったわ。」
あっ、やばい。言い訳を言ってもらうことってお願いしたっけ?これが一応、当初の目的だったような気がするのだが、俺は忘れっぽいのかも知れない。
「アルシア、」
「分かっています。」
あっ、いつもの癖で呼び捨てにしてしまったがいいのだろうか。ヴァレリアがちょっと驚いているぞ。
分からない。
「お前は偉いのか?」
「...はい、ルベリア王国兵のクイーン部隊、副隊長を任されているので偉い方だとは思いますが、アルシア様のほうがよっぽど偉い人物ですよ。」
ほう、副隊長!凄いな。ということは強いのか。
今まで、強い女には会ったことがない。
なので、無意識に相手を少し下に見てしまうのだが、
その隙が敗北の要因になるかも知れない。
だから戦ってほしいのだが...アルシアにお願いしてみるか。
「着きました。」
馬車から降りて、まず思った事がある。
家ひろっ!?
俺の想像している家とは段違いだ。
これを家とするならば、村の家は物置小屋にもならないぞ!?
それにしても、大きいだけでビビってしまうな。
これも直さなければ。早く身長伸びないかな。
「女王様はもういらっしゃいます。」
「分かったわ。」
「おい、俺はどこにいればいいんだ。」
「あなたはアルシア様と一緒にいて下さい。それから、是非!ヴァレリアとお呼び下さい。」
そうだった、ヴァレリア。名前を覚えようとは思わないんだよな〜。名前を呼ばなくても、『おい、』とかで伝えられるんだよな。
白いお城のような家に入り、広い空間の部屋と呼んでいいのか分からない所に来た。
いや、お城か。
床にはレッドカーペットが敷いてあり、意味があるのか分からない階段の上には白い髪の綺麗な女性が座っていた。




