17. 目覚め
「アルシア、船の上は揺れるな。」
「そうですね。船酔いはないですか?」
「大丈夫そうだ。」
チラ
「ルベリア王国に着いたらどうする?」
「レオ様、間大陸に着いてもルベリア王国ではありませんよ?そこからいくつか国を越えたらルベリア王国があります。南の方に行けばルベリア王国があるという事は分かるのですが、正確な道は分からないので、
間大陸に着いたら聞いてみましょう。」
チラ
「そうだな。」
チラ
駄目だ!見てはいけないと思いながらも見てしまう!
何で見てはいけないのか分からないけど。
船に乗って何日か過ぎたとき、俺に異変が起きた。
そう。俺の中に眠っていた野獣がお目覚めになったのだ!
正直、目覚めてほしくはなかった。
だが、俺の性の心はそんな事関係ないと言わんばかりにアルシアを見てくる。
さっきからアルシアのお尻や胸を見てばかりいる。
困った。アルシアにバレたら終わりだ。
リンゴ屋でアルシアが呼び込みをしているとき、アルシアをそういう目で見ていたロリ野郎がいた。
見た目が不潔な訳ではない普通の男性だ。
だが、アルシアは結構嫌そうな顔をしていた。
俺はあんな顔をされたくない。
でも、目はアルシアを追いかけてしまう!
更に酷い事に、川に一緒に入った時のアルシアの姿を思い出してしまう。
そしてまだ幼い俺の息子が元気になってしまうのだ。
あの時は何とも思ってなかったはずなのに。
ああ、聖神フローラ様...こんなにも酷い私をお許し下さい。
俺の息子は最近、元気になりやすい。
なので俺はそんなやんちゃな俺の息子に僭越ながら、名付けさせてもらった。
紹介しよう。俺の息子、ドーテルちゃんだ。
どうやらドーテルちゃんはアルシアが好きなようだ。
「レオ様!」
「っ!?まだ見てないぞ〜!」
「何をですか?それより、見てください。遠くで魔物が泳いでいるのが分かりますよ!」
なんだよ、脅かしやがって。
本当だ。比較的、魚に近い魔物だな。
他の人達もその魚みたいな魔物を見ている。
そんなに珍しい事なのか...
チラ
俺は少し後ろに下がり、アルシアの後ろの位置に座っ た。
風でアルシアのお尻の輪郭が分かってしまう。
これはドーテルちゃんによる風魔法なのかも知れない。
うっ!まずい。
バレたら終わりだ、少し距離を置かねば!
船の反対側には人が1人もいないな。
全員が海の魔物を見ているようだ。
本当に大人気だな、あの魔物。
「ふう〜。」
落ち着くんだ俺!
俺流拳の継承者として恥ずかしい真似などできない。
「どうしたんだい?体調でも悪いのか?」
そこには、若い男の人がいた。
若いと言っても俺よりは上だな。青年って感じだ。
頭に変な布を巻いている。
「悪くない。あんたは海の魔物を見なくていいのか?」
「ああ、いい。興味がない。」
イケメンだな〜ちくしょう。しかも凄く優しそうだ。
絶対いい奴だということが伝わってくる。
自分が嫌になるくらいだ。
「体調が良いのなら良かった。ちなみに、何でそんな落ち込んでいたんだ?」
「ああ。色々と成長期なんだ。一緒にいる人が気になってしまって困ってる。」
剣を持っているな。剣士か。
「なるほど、それは困ったな。だが君はそれを悪い事だと気づき、反省している。だから大丈夫だ。その子に危害を加える事はないだろう。苦しいだろうが、精神が成長するとはそういう事はなんだ。私は応援しているぞ。」
いい事を言いやがる。お前も子供のくせに大人みたいな事を言いやがって。でも安心できた...くそっ。
「体調を心配して、わざわざ話しかけたのか?」
お人好しめ。
「それが...違うんだ。実のところ、君が強そうだったから話しかけたんだ。」
「俺が強そうに見えるのか?」
その考え、合っているぞ!分かる人には分かるのか。
いや〜、困っちゃうな。悩みの種が増えてしまった。
だが、そう思うってことはこいつも強いのか。
「見えるとも。今も、いい態勢だ。突然攻撃されてもすぐに対応出来る。」
態勢で強さを測ったのか。なるほど、この考え方は色々と使えそうだな。パクろ。
「そういうお前も...強いんだろ?」
「どうだろうな。弱くはないと勝手に思っているが。」
謙遜というやつか。な〜んかムカつくな。鼻につく。
「あからさまな謙遜はムカつかれると思うぞ。」
「ははっ。そうかもな。でも、君は落ち着いてきただろう?」
落ち着いてきた...?
あっ!ホントだ。
俺の息子...いや、ドーテルちゃんがすやすやとお眠りになられている。
というか、バレていたのか。恥ずかしい。
「では、私は自分の部屋に帰らせてもらう。また会おう。」
行ってしまった。
こいつ、自分の部屋があるのか。
俺達はそんなの無いぞ?金持ちだったのか。
俺もアルシアの所に行くか。
「アルシア〜。」
「っ!!レオ様!どこにいたんですか?振り返ったらレオ様の姿が無くてびっくりしました。」
「すまない。トイレに行っていた。」
「いえ、謝るような事ではありません。こちらこそ気づけず、すみませんでした。」
宿もそうだったが、ここのトイレは凄い。
水で流れるのだ。水魔法の応用だろうか。
「アルシア、トイレって凄いな。」
「そうですね。魔道具の発展に感謝です。」
「魔道具?」
「魔道具とは魔力を込めると魔法と同じような事が出来る道具のことです。」
そうなのか、魔道具。
じゃあ、あの火のつく皮も魔道具と言えるのだろうか。
でもあれは...なんか違うな。
皮だし、組み合わせるとかではないからな。
それから何日かしたある日、大陸が見えてきた。
あれが、間大陸か。空大陸とそんなに変わらないぞ。
いや、変わるな。家が凄いたくさんあるな。
それも、全てが俺の村の家より良い家だ。
いや、でもその奥には平野が広がっているぞ。
いや、でも...
「レオ様!もう着きますね。」
「そうだな。」
例の変な青年はずっと見ていない。
おそらく、部屋に籠もっているのだろう。
前にあった時からの推測だが、人がたくさんいるのが苦手なんだと思う。
何はともあれ、もうすぐ...ルベリア王国だ。




