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14. 商売


やあやあ、

今からりんご屋のアットホームでアウェイな職場を紹介させてもらう。


まずは店長!

今までは全て1人で経営していたが、今は会計とりんごの補給を担当している。

とは言っても、人は滅多に来ないため店のテント内で椅子に座っているだけだがな。


この店長の最大の特徴は何と言っても馬鹿な所だ!

まあ、俺達のような子供を考えなしに雇うもんだから

薄々は気づいていたがな。


次にアルシア!

アルシアは呼び込みをしている。

実に楽しそうに呼びかけているおかげで、客がリンゴを見てくれる。そして、たまに買ってくれると言う訳だ。つまり、アルシアの呼び込みがなければ客足は途絶えるばかりなのだ!


最後に俺!

俺は営業トークをしている。

アルシアの努力のおかげでリンゴを見てくれる客を逃さないトークを目指してやっているが、見向きもされない...悔しい。


お金はリンゴの売り上げの30%をくれるらしい。

俺はそれが普通だと思っていたが、アルシアは時給制だと思っていたらしい。

時給制がルベリア王国の普通なのか。


始めは30%は相当多く貰えると思っていた。

だがこのリンゴ、全然売れないのだ。

俺達は渡航費用を貯められるのだろうか。

ちなみに、リンゴ1個で鉄貨1枚だ。

ビスケット5枚分、まあそんなもんじゃないのか?


「あらあら?美味しそうなリンゴを売っていますわね〜?あなた。」


「そうだね。でも、ちょっと色が黒くないかね?」


「さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!安いよ!美味いよ!」


「あらやだ、可愛い坊やだこと。ね〜?あなた。」


「そうだね。元気な坊やだ。」


「暗い色はこのリンゴ特有のもので、世界でもここでしか売られていないんですよ。ねえ?店長。」


「あー!」


「あらまあ、それは凄いですわ!ねえ〜〜あなた?」


「そうだね。ブランド物だね。」


「更に!このリンゴは塩分が高くて、面白い味がするんですよ!ねえ?店長。」


「あー!!!!!!!」


「どうです?食べてみたいと思いませんか?」


「食べたいわ。ね〜〜〜〜〜〜〜〜〜あなた?」


「あ....ああ、そうだね。」


「お値段1つ鉄貨1枚ぽっきり!さあ!買った買った!」


「うむ、2つ頂こうかな。」


「感謝する!」


よし!売れた。敬語は普段使わない分、疲れるな。 

アルシアに代わってもらおうかな?


でも、これって本当にブランド物なのか?

黒っぽい色のリンゴは売れないと思うな。

正直、俺だったら買わないぞ


「店長。これは変わった味なんだよな。食べてみてもいいか?」


「あー!!!あ〜!!!いいぜ。」


ジャリッ


「うえっ。」


何だこれ!?クソまずいぞ!!

このリンゴ、俺より強いんじゃないか?

父ちゃん...遂に俺流拳のライバルを見つけたよ。


「店長〜、うえっ、これって、うえっ、どうやって育て、うえっ、育てたんだ?」


「よくぞ聞いてくれた。これはな、利益率が凄く高くなるように作ってある。」


利益率?


「つまり、原価がすごく安いんだ。水代がゼロなんだよ。ゼロ。凄いだろ?」


水代がゼロ?水属性魔法使いなのか?


「店長、水属性の魔法を使うのか?」


凄い!魔法が使えるのに店を経営しているのか!

これだけのリンゴだ。相当な腕の水属性魔法使いなのだろう。それなのに冒険者じゃなく、あえてリンゴ屋を選ぶのか...カッコいいな!


「違う!俺は使えない。」


「じゃあ、どうやって?」


「あれだよ。あれ。」


店長が指を指した方向にはこの大陸を囲む、広大な海があった。


海水を使ったのか!?

あれ飲んだことあるけど、しょっぱかったぞ!

リンゴの栽培に使っていいのか?


急に俺は不安になってきた。

大丈夫なんだろうか。また兵士に追われるのだけは勘弁してほしい。


「キャー!!ざますっ!ざます〜!!!」


何事だ!

声のした方向を見てみると、さっきの男性客が倒れていた。


ヤバいよな!?これ。どうしよ。


「レオ様、何事でしょうか?」


アルシアも騒ぎを聞きつけてやって来た。

相当汗をかいている。暑い中、頑張ってくれたみたいだ。


「この店のリンゴを食った客が倒れたんだ。」


「!!?、」


「ちょっと、この店のリンゴを食べたら、主人が倒れたんですけど!?どうしてくれるの!?」


まずいぞ!

謝罪か?いや、認めてよいものなのだろうか。

頼みます、店長!


「俺の店にいちゃもんつけようってか!!!」


店長ー!!それはまずいんじゃ...


「!、?いや、だって...この店のリンゴを食べたから主人は....」


「あ?何だと、この野郎...ぶち殺されてえのか!!」


て...店長、本気だ。本気の目をしてやがる。

まずい、今度は別の意味でまずい!


「死ねー!!!!」


「店長ー!!」


俺は間一髪の所で店長の女へのグーパンチを防いだ。


「いや、....いやー!!!」


逃げていってしまった。

アルシアも呆然としている。

速くリンゴの育て方を改善しなければ。


「今日はもう閉店だ。」


「わかった。」


さ〜て、家がない。

お金もない。


「アルシア、野宿だ。」


「.....はい。」


しかし、夜も道とかに明かりがついていて明るいな。

これなら、怖くないぞ。

実は暗いのが怖かったりする。

これが国か。アルシアが言うにはこの広さはルベリア王国の町と同じらしい。流石、ルベリア王国。


道にある柱の先端にある丸いのが光っているのだが、どういう仕組みなのだろう?

光るってことは、光属性魔法なのか?

火属性魔法の可能性もある。

火属性魔法の方が扱いが楽だし、火属性魔法を応用した何かだと思われる。実に興味深い。


「アルシア、今日はこの木の下で休もう。」


「はい。」


森では昼夜逆転生活を満喫していたが、やはり夜に寝て朝に起きる方が気持ちがいい。


アルシアも相当お疲れだろう。なんせ、ずっと呼び込みをしていたのだからな。


「アルシア」


「はい。」


「前は色々と口を悪くして悪かった。アルシアは村を襲う事を知らなかったいい人だと、一緒に生活してみて十分分かった。」


「いえ、そんな事は、」


「今日はもう寝るぞ。明日は朝早くからリンゴを売りたいからな。売っていいのか知らんけど。」


アルシアは凄くいい奴だ。

結構、俺に気を遣っている事が分かる。

森でもカナンでもここでもだ。


ちなみにこの国の名前は聞いてみたが長くて覚える気にならなかった。


アルシアは人の気持ちを考えるいい奴だ。

違ったら、凄い演技が上手だって事だな。

ここまで演技が上手いと俺では勝てないな。

そう思いながら眠りに落ちた。


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