13. 運賃稼ぎ
あれが港!
凄いぞ!俺の村とは全然違う!
何だよカナン。本当にあそこは国だったのか?
カナンと違って壁もない。
でも、道の先に門があるな。門番までいるぞ。
「アルシア行くぞ。」
「はい。」
アルシアには王族とバレて、変な目に遭わないよう髪の毛は隠してもらっている。
「門番さん、入国税ってあるの?」
「そんなものはない。」
マジかよ!何だよカナン国!終わってんな!
立派な木造建築やレンガを使った家だってある。
凄い!これが国というやつなのか!
広さはカナン国と同じぐらいだな。
「アルシア、凄いぞ!ここは!」
「...そうでしょうか。」
どうやらアルシアに言わせれば、そうでもないらしい。俺はキョロキョロと辺りを見渡しているのに対し、アルシアはぼーっとして俺の隣を歩いている。
人も結構いるぞ!冒険者じゃない人もいる。
とてもラフな格好だ。軽いだろうが魔力操作が上手く出来ないと、俺に殴られたら終わりだぞ?
赤髪?魔人もいるのか!栄えているな。
ルベリア王国はこれ以上だというのか。
二足歩行で歩いている羊見たいな奴もいる。
あれ...ただの羊じゃないよな?
そして何よりも凄いのが
「アルシア!海だぞ!」
「そうですね。」
海だ。凄い...川とは全然違うな。あの中に、いったいどれだけの魚がいるのだろうか。
一生食料には困らないんじゃないか?
これを見ると、水属性魔法より火属性魔法を使える方が便利な気がしてきたな。アルシア、羨まし〜。
海を見ながらあれこれと考えていると人が更に多くなった。
何だ!?ものすごい人の数だ!
港に近いからだろうか。船に乗り降りしたい人が集まっているのか。
「商店街ですね。」
商店街!凄い。人が多くてよく見えないが、店が並んでいる。まず店を見るのが初めてだ。
なんせ、カナン国にはなかったからな。
何をやっているんだフローラ様は!
『自然より商店街っしょ!』って言ってくれれば、初めての国の思い出が最高のものになったというのに。
あれ?お店の商品を買うにはお金がいるんだっけか?
さらに奥に進むと船があった。
思っていたよりデカいな!
海のデカさを侮っていたから川で乗るぐらいのものを想像していたが、恐ろしい。俺より強いんじゃないか?
「アルシア、船だぞ!」
「そのようですね。渡航費用を聞いてみましょう。」
何だか冷静だな〜。冷たいと言い換えてもいい。
ルベリア王国と少し比較し過ぎなんじゃないか?
もうちょっと知能指数を落としてくれてもいいのに...
俺はドレイクやカイと遊ぶ時とか、父ちゃんとふざけている時は知能指数をわざと下げていたぞ?
冷静になったら先の展開が分かるが、それでは面白くないので今の情報量で頭をいっぱいにするんだ。
そうしたら先の展開が全く予想出来なくて、とても面白い体験が出来る。疲れるけどね。
これが出来ないアルシアは、まだまだお子ちゃま...
いや、お嬢様と言ったところか。
「すみません。渡航費用はいくらでしょうか?私たち2人で船に乗りたいんですけど。」
「子供でも2人合わせて銀貨2枚ってところかな。」
「銀貨...2枚、分かりました。」
おいおい、何だその反応は。田舎から来たおいどんにはさっぱり分からねえんだ。
「レオ様!銀貨2枚ですよ!」
「お、おう。どれぐらい高いんだ?」
「結構ですね、これは働くしかないようですね!」
何でちょっと元気なんだよ。
アルシア...お前まさか、働きたかったのか!?
何だこいつ!目がキラキラしてるぞ!?
キラッキラじゃないか!
おいおい、手を合わせちゃってるよ。祈っちゃってるよ。どれだけ嬉しいんだ。王族は普通、働かないのか。いや、当たり前か。何なら一生、働かないよな。
「おいアルシア、お金の相場が分からん。教えてくれ。」
「相場?」
あれ?使い方違ったかな?恥ずかしい。初めて使った言葉なんだ...許してくれ。
「1個のトマトで大体鉄貨2枚と言ったところでしょうか。」
「トマトってなんだ?」
「....レオ様、村ではどういった食べ物を食べてきたのですか?」
「肉、パン....ビスケット。」
「ビスケットは大体5枚入りで鉄貨1枚と言ったところでしょうか。」
「で、銀貨2枚とは鉄貨がどれぐらいなんだ?」
「鉄貨だと100枚になりますね。」
何!?船に乗るだけでビスケットが500枚もか!?
お金か...恐ろしいな。常に警戒しなければ。
アルシアに聞いた話だと、お金は小鉄貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、勇者金貨があり、小鉄貨10枚で鉄貨と同等に、鉄貨10枚で銅貨と同等に、銅貨10枚で銀貨と同等に、鉄貨10枚で金貨と同等に、金貨10枚で勇者金貨と同等の価値になるらしい。
分かりやすくていいな。勇者という人は世界的に有名なのか。人だよな?魔族じゃなく。
という訳で働かなければならなくなった。
少し嬉しそうなアルシアと一緒に商店街の人々に働かせてもらうよう頼んではいるのだが、なんせ見た目がただのガキなもんだから雇ってもらえない。
まあ、俺はただのガキだけどな。
回復薬を売れば、多少のお金になるのではないかと提案してみたが、売る値段よりも価値があるとか何とか言って拒否された。
アルシアに拒否された事あったっけ?びっくりした。
びっくりしたと言えばこの国の家だ。
レンガとかしか見ていなかったが上を見てみたところ
なんと、2階があったんだ。
そんなに空間があってどうするのか疑問に思うが、
素直に凄いと思った。
「アルシア、冒険者になるのはどうだろうか。近くにそういうところがあるんじゃないのか?」
「ルベリア王国にはありますが、ここにはないと思います。」
そうなのか、残念だ。
冒険者になりたかったな。
まあ、ルベリア王国でなれるからいいか。
「あの〜、俺達をここで働かせて欲しいんだけど...
いいかな?」
「あ〜?お前らが働く〜?いいぜ!」
おおっ!
見つけた。俺の、俺達の初めての仕事が決まった。
それは....りんご屋だ。




