12. 港への道
俺は港までの道でカナンでの出来事を思い出し、ある1つの考えにたどり着いた。
森に逃げてたら、すぐにカナン国から出れたくね?
森に門はなく、魔物がいるからほとんどの兵士達は入って来れない。そして、俺達は森で魔物と嫌というほど戦っている。
こんな素晴らしい考えをなぜあの時、思いつかなかったのだろう。
今になって悔やまれる。あんなにボロボロにならなくて済んだのに、ちくしょう!
「なあアルシア、森へ逃げたらよかったな。」
「それは無理だったと思います。家に隠れた時、一番警戒されていたのは森への道でした。相当な数の兵士がいたので、脱出は難しかったと思います。」
そうだったのか。アルシアは家にいる時、よく外に顔を出していた。まさか、脱出することを密かに考えていたとは...偉いな。
俺なんて、どうやったら絵が上手くなるのか考えていたぞ。
すまない...ドーテル。俺はまだ、お前の魅力をまだ絵に表せない。
疑問に思っているのはカナン国にいたあの隊長だ。
あいつは俺よりも強いのに、何で森に壁を建てなかったのだろうか。魔物に殺される心配はないだろうに。俺でも森で生活できたんだ。
ある程度の実力があれば、森から入国できてしまうんじゃないか?入国税はもうお腹いっぱいってことか。
「そういえばアルシア、ここって何大陸って言うんだ?」
たしかルベリア王国がある場所は間大陸って言うと聞いたな。
大陸っていくつあるのだろうか。
「ここは空大陸と言います。」
空大陸?間大陸もそうだが、何でそんな変な名前なんだ?お貴族様のセンスを疑うね。
「何で空大陸って言うんだ?」
「たしか大昔に空を飛ぶ魔法を初めて作った場所だと言われているからだと思います。」
空を飛ぶ魔法!?凄いな。俺達も鳥とか物語のドラゴンのように宙に浮けるというのか。
「間大陸は何でだ?」
「間大陸は人族が集中して住んでおり、人族の大陸となっています。そして、人族は人間とも言うため間大陸と名付けられました。」
人間の間で間大陸か...人大陸ではないのか。
やっぱりお貴族様は考えが変わっているな。
「他にはどんな大陸があるんだ?」
「他には神大陸と獣大陸があります。獣大陸は恐ろしい魔物が住んでいるとされていて、誰も立ち入ることが出来ないと言われています。」
獣大陸...恐ろしいな。
誰も行けないって、やはり最強は魔物なのだろうか。
でも、ちょっとだけ行ってみたいな。
そして神大陸...聖神フローラ様?
「神大陸には神様がいるのか?」
「いえ、神大陸には主に魔族が住んでおり、魔族は神に最も近い存在であると主張した事から名付けられたと言われています。」
何をしてるんだ魔族たち。
そもそも俺は、神についてまだよく分かってないんだよな。
村ではそういうの見たことないし、カナン国ではフローラ様が酷い扱いを受けていたし。
嘘を偽るためにフローラ様、腕を破壊されてなかったか?あと全然崇められてなかったな。どんまい、フローラ様。
それからまだ疑問がある。
「何でカナン国の兵士達はファイヤーボールって声に出していたんだ?」
アルシアはいつも無言でバンバン魔法を打っている。
だが、兵士達は揃いも揃って魔法の名前を叫んでいた。
何でファイヤーボールしか打ってこなかったかは謎だが。
「魔法を放つには想像力が必要で、特に形を想像する力がなければ名前を言うとイメージの助けになると言われています。」
なるほど、まずは形からってことか。
つまりアルシアは戦ってる時、頭の中で魔法の形とか速度とかを調整しているのか。凄いな。
身体強化は魔力操作だけを頑張ればいいからな。
アルシアはもしかして天才なのか?
それから気になるのはファイヤーボールの作られ方だ。
全員が手から出していたが、手から出てきた訳ではない。手からほんのちょっと距離を取った空間からできていた。不思議だ。
「アルシアはファイヤーボールを打つ時、何で手から離れた所から作られていると思う?」
「.......分かりませんね。ただ、手から少し距離を置いていても、そこにも手があるような感覚はありました。」
は〜ん....不思議なものだな。
魔力を纏ってるのと何か関係があるのかも知れない。
纏ってないから分からないけど。
「おっ。」
別の道から人の集団が来てるな。
みんな面白い防具をしている。
剣とか杖とか持ってるぞ。
「あれって、」
「冒険者パーティーですね。」
おお!冒険者!本で見たことがあるぞ!
みんなで仲良くドラゴンを倒すんだろ?
いいな〜。なりたいな〜。
急に人が沢山来たな。
カナンには冒険者っぽい人なんて1人も見てなくないか?まあ、あんな国に行きたい冒険者はいないか。
「なあ、アルシア。冒険者になりたくないか?」
「どうでしょう。まだ分からないですね。」
そうだ。アルシアって王族だったわ。
じゃあ、王様になるのか。王様って何するんだろう。
来る人来る人、みんないい装備つけてカッコいい武器とかを持っていたりする。
アルシアは綺麗な服を着ているが、俺なんて布切れを何とか着ているだけで、カッコいい武器とかも何もなしだよ。
村では何も気にならなかったが、恥ずかしいものだな。
そう思っていると道の先に海や船、そして多くの家が見えてきた。
「あそこが港か。」




