10. 8歳のドキわく生活
「アルシア、女っておならするのか?」
「!!?」
俺は森ではおならをすかして耐え忍んでいた。
匂いは外であるため、誤魔化せていた。
だがしかし!この家は密閉されている。
すかした場合、この匂いは逃げる場所を見失いこの家の中を駆け回るはずだ。
そして今、その最悪の状況が目前まで迫ってきていた。
「アルシア?」
「.......はい。」
「じゃあ、森ではおならをすかしていたのか?」
ヤバい。もう...俺は、耐えられない。
「.......はい。」
「何だって?」
「...すかしてました。」
「何だって?」
「すかしてました!」
よし!成功した。
匂いはないが、自己主張の激しいおならをバレずにさせてもらった。
アルシアは、まんまと俺の術中にはまった訳だ。
「王族の生活と森での生活は全然違っただろ?」
「......。」
アルシアが少し怒っている。
利用して悪かったよ。だが、ここで2人して死ぬよりはよっぽどいいと思うんだ。ごめんよ。
「全然違う生活ですね。」
「そうだよな。外で排泄物を出すわけだもんな。」
「!!?」
っていうかファイヤーボールとか使えたのに、何で魔力を込めたら燃える皮を使っていたのだろうか。
ここんところ、前の隊長との戦いを思い返してみて分かったことがある。
それは、知能の高い生物との戦いは心理戦がとても重要になってくるということだ。
特にフェイントだよな。これを上手く使いこなせば、さらなる高みへ登れることだろう。
アルシアの料理はおいしい。
特に焼き加減が上手だ。
そのおかげで肉が底をつきそうだ。
「アルシア、火属性魔法は上達しているのか?」
「はい。だんだん力加減が分かってきました。」
俺は相変わらず魔力を外に出すことができない。
外には出ているかも知れないが、外に出てるな〜っていう感覚が全くない。
逆に体内の魔力は手に取るように分かる。
俺、才能ないのかな?
そして今、頭の中にこびりついて取れない記憶がある。
それはあの建物の中に飾ってあった絵画だ。
平面なのに立体に見えた。
とても面白い技術だ。俺も真似したいと思い、ちょっとだけ外に顔を出して砂や土を集め、それを線に見立ててドーテルの絵を描いてみた。
それをアルシアに見せたら、微笑ましい感じの笑顔を見せてくれたが俺は騙されない。
あれは上手いと思ってない顔だ。
悔しいので、今も絵の練習をしている。
ズドーン!
「何だ!」
「ちょっと見てみます。」
アルシアが扉を少し開けて外を覗いた。
この家の近くじゃないからそこまで焦る事ではないが、おそらく捜索を積極的に始めたんだろうな。
建物の中がバレるのは、そんなに危ないことなのか?
門もずっと閉鎖されていて、兵士達が守っている。 ずっと捕まえる気満々だ。
「家が破壊されていますね。こそこそと探すのは諦めたようです。」
脱出する作戦は考えてある。だが、この腕が治った方が成功率が高いんだよな。
もう少しで治ると思うんだよな。
回復薬はしっかりと腕を治してくれていた。
だいぶ傷が深いからな。それをここまで治したんだ。
光属性魔法と原理は同じなのだろうか。
そういえば、アルシアが光属性魔法にも目覚めた。
だが火属性魔法よりも扱いが難しいらしく、苦戦している。
光属性の基本魔法は光らせる事らしい。
回復させるのは結構、難易度が高いらしい。
村でカイを回復させていた女の人、何者なんだ?
「そういえば、森の所にはちゃんとした壁がなかったな。」
森じゃない所には壁とか門とかがしっかりとあるが、森には壁が作りかけのようなものがチラッとあっただけで国に入れてしまった。
「憶測になりますが、壁を作ろうとして森の魔物に襲われたのではないでしょうか。」
なるほどな。あそこの森の魔物は強いよな〜。
だから他の人も森から入国しようとはしないと。
でも、なんかな〜。もうちょっと工夫のしようがあると思うけど。
それからまた何日か経った時、大きな声が響き渡った。
「今、この国には大罪人の反逆者どもがいる!!」
俺達のことか。
「こいつらは子供の姿をした悪魔である!!」
なんだと?
「こいつらは聖神フローラ様の像を壊し、フローラ様の考えを貶し、多くの人を殺した!!」
いや無茶苦茶、嘘ついてるじゃねえか!
「家を壊すような手荒なまねはもうしない!!そのかわり!!国民の皆に協力を願う!!」
国民総出で探そうってか?まずいな。
「子供がいれば知らせてほしい!!我々で悪魔を倒そうではないか!!」
めちゃくちゃだな。腕の怪我は治りが遅くて、まだ完治には至っていない。
「いたぞー!!」
何!?
別の所か。でも見つかるのは時間の問題と言えるだろうな。
「レオ様、逃げる準備を。」
「おう。」
まずはこのビスケットちゃんを袋にいれて、回復薬も持っていこう。
回復薬は1つしかないのか...もっとほしいな。
腕が完治してないのは心配だが、脱出する作戦は考えてあるんだ。あれ?アルシアに話したっけ?
ガチャ
おばあちゃんが入って来た。
「.....どうも。」
「いや〜!!!!いたわ!!!!」
「レオ様!」
アルシアが俺に飛びついてきた。
ドン!
アルシアをもった後、足に魔力を集中させて外に出た。
「なあアルシア、脱出する作戦って聞いたか?」
「?」
アルシアが眉をひそめている。俺も考えてる時、眉をひそめているのだろうか。
「聞いていないです。」
「これから別れて行動する。俺が兵士を引きつけている間にアルシアは門にいる2人の兵士の装備を奪って、1つは門の外に投げてくれ。もう一つは持って隠れていてくれ。」
「どこに隠れていればいいでしょうか。」
「さっきの家の近くにいてくれ。」
「分かりました。」
兵士が駆けつける前にアルシアと別れた。
俺は門の方に注意を払わせないよう、離れて目立てばいいんだよな....よし!
「お前らー!!!」
「この大きな建物の中には何があると思うー!!?」
「豪華な絵画とかがたくさんあるんだぞー!!!」
「いたぞ!あのクソガキ!」
きたきた。戦う事を考えず、逃げる事に徹したらある程度は時間が稼げるのではないだろうか。
「死ね〜!!!」
おお!あの時のおじさんじゃないか!
「久しぶりだね、おじさん。」
「クソガキが〜!!」




