可愛い妹に身勝手な婚約破棄を突きつけた彼を私は絶対に許しません!
可愛い妹リリアスが婚約者バマンに婚約破棄された。
そこに正当な理由はなかった。
というのも、バマンは別の女性に心奪われたためにリリアスを切り捨てたのだ。
両方とずるずる付き合う男性よりかはマシかもしれない、が、かといってそんな勝手な婚約破棄をされて黙っていられるほど姉という生き物は寛容な生き物ではない。
それによってリリアスが泣いているから、なおさら許せなかった。
なので私は心を決めた。
彼女のためにざまぁしてみせると。
婚約破棄から一週間ほどが経ったある日、リリアスには秘密にしておいてバマンとその浮気相手である女性を呼び出し、対面する。
「何だよ、お前」
「バマンさん、妹を傷つけた方を私は許せません」
「あーあーあー! そういうことか! リリアスの姉か!」
「そうです」
「あいつに頼まれて説得でもしに来たか?」
馬鹿にしたようににやにやしてくるバマンとその隣の女性に向けて。
「いいえ、彼女は無関係です」
――魔法を放った。
「う、うわあああああ!」
「なっ……きゃあああああ!」
二人は大慌て。
「これは私という人間からの復讐、リリアスはこのことを知りません」
そこからさらによりレベルの高い魔法を放つ。
「や、やめ、やめろ! やめ……ああああああああ!」
「ちょっ……あ、いやっ……いやああああああああ!」
こうして私は二人を仕留めることに成功した。
◆
二人を仕留めた日の晩。
「リリアス、ちょっといい?」
「お姉さま……」
可愛いリリアスの自室を訪問する。
「泣いていたの?」
「その……少し、だけ、です」
「あんな酷い男のことはもう忘れて、希望を信じて生きてちょうだい」
「え……」
やはりリリアスは可愛い。
艶のある金髪。
滑らかな肌。
容姿だけ見ても完璧と言っても過言ではない。
加えて、性格もとても良い。
少し大人しめではあるが、どんな時でも思いやりを持っているので、将来彼女の夫となる人は幸せだと思う――だからこそ、バマンにはあんなことをしてほしくなかった。
リリアスの心を穢さないでほしかった。
「私、旅に出ることにしたから」
「お姉さま!?」
「今までありがとう」
「旅って……どういうことなのですか!? そんなこと……嫌です! お姉さまと一緒にいられなくなるなんて、絶対に嫌!!」
こんな時でも彼女は優しかった。
「ごめんねリリアス。でも私は行かなくてはならないの。いつの日か、きっとまた会いましょう」
「そんな……」
私はバマンらを仕留めた女だ。
もう綺麗ではない。
だから彼女の隣にいることはできない。
でも、それでいい。
はじめからこうすると密かに決めていたから。
「悲しい顔しないで。きっとまた会えるわよ」
こうして私は復讐のために家も妹も失うこととなった――はずだったのだけれど。
「お姉さま! 共に行きます!」
「ちょ、リリアス!?」
「どんな道だとしても! 怖くはありません! ……それに、幸い、失うものはもうないですから。今なら何だってできます」
リリアスは無理矢理ついてきたので。
「……意外だわ、貴女がここまで私を慕ってくれるなんて」
「へ!? い、い、意外っ!? ですか!?」
結局姉妹二人で旅に出ることとなったのだった。
◆終わり◆




