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1989  作者: 鈴木大志
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今日は朝から肌寒かった

日差しの暑苦しさと

エアコンの冷たさを

今日はこの体が受けつけなかった

『うん…ごめんね…楽しみだったよね…私のせいで本当にごめんね…うん…私は大丈夫、大丈夫だって…うん、大丈夫だよ…うん、わかった…またね…』

囁き声が消える

こんなことになってからやっと

この世界は静かだと知らされる

いつもはあんなにうるさい世界も、

他人事になればこんなに無表情になる

そんなことを祭りの花火を見れなかったことを惜しみながら考える。

また、寝返りを打つと、また景色が変わる。三パターンの景色が自分自身を持っている物と持っていない物をただただ突きつける。視界と一緒にぐるぐる回る思考は、 どうでもいいことをどうでもいい場所に、放り投げる。あの子が、あいつが、また、あいつが、あの人が、こうした、そうした、ああした、どうした。くだらない。

そうした幾度もの繰り返しをなぞり、たどり着いたのは、喉が渇いただけだった。何か残るものなど考えてはしなかった。

台所に向かい、水を飲み干せば渇きは癒されると思ってた。

だが、飲み干した水がもたらしたのは、一縷の爽快感と後味の悪い異様な不快感のみだった。

また、飲み直そうとすると、か細く、鈍いドアホンの音が鳴った。


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