姉の将来と存在しない本
よろしくお願いします。
8年目
出発してから40日。両親不在のままの年越し
心配だと話し合ってたら翌日に無事帰ってきた
噂で人を呼んだ感じかな。この世界に言霊とかあるのかな?
玄関に出て両親に挨拶をする。お姉ちゃんに会える。やっとだ
あれ・・両親以外に降りてくる人影がない・・・・だと・・・
「お姉さんは?お姉ちゃんが居ないんだけど?」僕は両親に詰め寄る
「姉さんは学院に通うことになった」
「え・・」
「王都に住む子爵令嬢が随従員を探していて」父は一呼吸置く
「護衛役として、火魔法も使えるし何より気が合った様だしな」
「6年会えなくなるんだね」僕の呟く言葉を母が拾って話す
「4年でしょ?」
「え?」
「12歳で冒険者になって王都に行くんでしょ?」そうだった!
「いいこと卒業したら
海や雪山に連れて行ってあげなさい楽しみにしてたわよ!」
「はい。お姉ちゃんを必ず連れて行くよ!王都で僕も冒険者として頑張る」
「よし、では中に入るとするか」父の言葉で姉の居ない日常が始まる
そう姉が居なくなっても日常は続く
兄は午前中に軽く鍛錬。午後は父の補佐で書類を書き始めたようだ
僕は午前中に洗濯、鍛錬と炊事。午後は繕い物と夕食準備
両親の帰領から数日後の夕食時
父に話があると告げると書斎に来るように言われた
「蔵書についてお話があります」一番手前の二冊を手に取る
「読めない本だな」一瞥して父が言う
「書棚の中に現在使われてない2種類の言語で書かれた書物があって
この二冊の文字は古代語と仮に呼んでいます」
「読めるのか?」
「はい、スキルで読みましたが内容が不穏なんです」父は無言で続きを促す
「一冊は歴史書、もう一冊は魔法大全です」父が怪訝そうな顔をする
「両方ともか?」
「はい、歴史書は教科書と内容が全然違います
魔法大全は教科書で禁呪とされる事柄が書かれています」
「わかった。捨ておこう」父が事も無げに言う
「ですが僕が読めたということは同じスキル持ちなら「心配ない」」
父が言葉を被せてきた。
「国が10年前に古文書を一斉調査した
その際にスキル持ちが来たが読めなかったんだ」
「ですが僕は読めます」
「「・・・・」」
「そうだな・・・」父は腕を組んで呟く
「聞き間違いでも言い間違いでも無かったんだな」
「そうだ、お前のスキルは多言語”完全”理解だったんだな」
僕は心の中で思う(聞き間違いでも言い間違いでも無かったのか)
「捨て置け、公的に存在しない本だ」再度父が言って問題は解決となった
だが、まだ納得のいかない僕の表情を読み取った父が暫しの沈黙の後
「過去の歴史を捨てるわけには行かない。将来必要とされるかも知れないか
らだ、お前も冒険者になったら手記を書け、殴り書きでもよいから送ってよ
こせ。それこそが子孫の行く末を灯す一助になるのだぞ」
「・・・分かりました」熱く語った父に答えながらも
頭の片隅でナーロッパでラノベ風なんだけど大丈夫なのかなと思ってしまった
翌日から変化のない日常がまた始まる
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