回想-鉱山都市【エルフ】
いつもより長いです
よろしくお願いいたします。
俺はユッタの寝顔を見ながら彼女の直向きさと向上心を知ることとなる出来事を思い出す
エルフの雑貨屋を訪れた際の話だ
エルフは俺たちの顔を見ると昨日の非礼を詫び店の奥へと入るように言ってくる
俺たちは気にしていないと告げてエルフに続く。部屋に通され椅子を進められる
今日は店を閉めると言って彼女は正面に出て行ってしまう
俺やユッタは周囲を見渡す
部屋にある蔵書と奥へと続く扉の隙間から見える吊るされた干し草の数に圧倒されてしまう
蔵書の背文字を見ていくが男爵家で見た文字や知らないものがある
俺は言語理解のスキルを意識しながら見ていく
隣のユッタからは干し草の名前と簡単に取れるものではないとの感想や知らない物があると言った感嘆の声が漏れていた
エルフが失礼したねと言いつつ部屋に戻り椅子へと座る
気が付くといつの間にかお茶が目の前に置かれていた
口に合えばよいがと俺たちに進めながら先に一口啜りだす
俺たちも一口頂く。そしてユッタが驚嘆の声で
「美味しい、知らない味です。そちらの干し草で作ったものですか?」
とエルフに質問をする
「そうだね、紫色の草が見えるだろ?あれを基本に数種類を混ぜたものなんだよ」
「詳しく説明する前に自己紹介をしておこうか」と言い自分の名前はフォトラだと言う
正式には出身地や部族名、父親の名前と長くなるのでフォトラと呼んでほしいと言われる
俺たちも改めて自己紹介をする
そしてユッタに対し干している草は全て薬草であることや雪山でしか採れない物もあると告げる
ユッタが出身の村で採れる野草について話してはフォトラが詳しく解説している
俺は二人の会話を聞きつつ書籍の背表紙を見続ける
「え!」っとユッタの驚く声がする。ユッタを見るとお茶を注ぐポットを見ている
浮いているのだ。俺も驚いてポットを見る
ユッタに注いだ後に俺のカップ、フォトラのカップと順番に注いでいく
「驚かせてすまないね。この子は精霊で警戒心が強くて姿を見せないんだ」
「私を心配して付いて来てくれたんだよ」と言いながら、ありがとうと呟いている
普段から身の回りの世話をしてくれることや親しくなれば姿を見せてくれると話す
ただドワーフたちにも姿を見せていないので期待はしないで欲しいと告げられる
そして俺を向くと
「先ほどから本を眺めているが興味はあるのかい」
と尋ねてくるので俺が言語理解のスキル持ちだと話す
「なるほど」と言い、少し考えた後に
「では、決まりだ」と言い俺たち二人を見て提案してくる
「その指輪を研究させてもらう代わりに薬草学と蔵書を読む許可でどうだろうか」と
俺たちは互いをみる。俺にとっては願ってもない申し出でユッタも同様だったようだ
だが、ありがたい提案ではあるが本来の目的もある
今回は断って次回出直す事も出来るのか尋ねてみることにする
「ありがたい申し出ですが遅くとも1か月後には街を出たいと考えています」
俺が話を切り出し続きを言おうとするとフォトラが話し出す
「ああ、そうだね。人種は有限の時を生きるのだったね」と言い一口お茶を啜ると
「では、一か月で良いよ。その間、二人とも・・・そうだね、男性を泊めては問題になるんだったね」
「ユッタは私の所に泊まって学べばよい。悪いが君を泊めることは出来ないので指輪をユッタに預けてはもらえないだろうか?」
ユッタは俺を見て頷いてくるので俺も頷き返す
俺たちは申し出を受け入れて一度準備の為に宿屋へと戻った
それからの一か月は前世の学生時代には味わえないほど充実していたと思う
毎朝フォトラさんの店へと行き蔵書を読み昼食時にユッタやフォトラの話を聞き夕食を共にして宿屋へ戻る
ただそれだけの生活が楽しいと感じてしまう
初日にユッタは簡単な知識と薬草の煎じ方の確認があった
特に問題が無いようで干された薬草の仕分けを頼まれていた
俺には数冊本を渡すと音読を頼まれる
男爵家で見た古代語?や旧字体?で書かれた書物が混ざっていたが問題なく読み上げる
フムと頷くと読めなかった背表紙の本を持ってきて読むように言われる
スキルで確認するので時間が欲しいと告げると、問題ない読めるようになったら呼んでほしいと言ってユッタの様子を見に行ってしまった
昼近くなり書物が読めるようになったのでフォトラさんを呼び音読をする
「なるほど、全ての言語を人種の言葉に翻訳してしまうんだな」と言った後に
「発音を学びたいか、それとも興味のある書物を読み進めたいか、どちらを望む」
と聞かれる。全てを読みたいが蔵書数を考えると1か月では無理ではあるが
俺は迷わず書物を読み進めたいと告げる。フォトラさんは即答した俺を見て
「まあ、魔法スキルがないなら発音を覚えて探求する必要はないな」と言って
「君の選択を支持する。興味のある分野を教えてほしい」と尋ねてくるので歴史をお願いした
「なるほど、その選択も素晴らしいな」と面白いものを見るように俺を見ると
「この子が準備をする、順番に読んでいけばよい」と精霊がいるであろう場所を見ながら伝えてくる
「分からない事、詳しく知りたい事があれば口に出せば必要な本を持ってきてくれる」
と言うと一冊の本が目の前に置かれた。ありがとうと口にする
それを見てフォトラさんは微笑みユッタの様子を見たら私は指輪の研究をさせてもらうと言って去っていく
翌日から俺は読書三昧の時間をユッタは薬草の知識と煎じ方を学んでいる
ユッタの傍で研究と指導を行っているフォトラさんが時折来ては俺に指輪を嵌めるように言ってくる
光の加減や色合いについて呟いているが暫くすると指輪を回収して戻ってしまう
この繰り返しを俺たち三人は日々続けていた
もうすぐ1か月になる頃に勇者とエルフの係りが書かれた書物と出会った
当時のエルフは南の極地付近に住んでいて訪ねてきた英雄に請われ一人の戦士を旅の共として同行させたという
注釈に英雄の希望が馬鹿げたものだった為、エルフの長が選びだしたと書き込まれていた
興味を持ったので実際の条件を知るため口に出してみたが関連する書物は目の前に置かれなかった
英雄色を好むだったのかな?などと思ったことを思い出す
最終日の朝、俺が店に行くと部屋でユッタとフォトラさんがお茶を飲みながら会話をしていた
俺に椅子を勧めながらフォトラさんがユッタなら薬師として働くことが出来ると言い1か月と言う短い期間で良く学んだと褒めていた
俺に対しても我々エルフと歴史を語れるぐらいの知識は得ている
ただし人種と語らったり文字として残すのは勧められないと忠告を受ける
確かに男爵家にあった歴史書。公に存在しない歴史書と同じ内容で神の子孫による統治で神殿の神託スキル持ちが補佐すると書かれていた
俺はフォトラさんに尋ねてみた
「エルフがこの世界から去った理由は人種の神に対する敬意に失望したからでしょうか」
彼女が答える
「それは一言で語りつくせる話ではない。人種としての未練が無くなったら遊びに来なさい。その時に語り合いましょう」と、どこか寂しげで儚く見えた
新しくお茶が注がれる。俺がお礼を言うとユッタが私の隣よと言ってくる
仲良くなって見えるようになったみたいだ
改めて礼を言うとフォトラさんが笑顔で指輪に関する話を始める
最初は物に対するだけの付与だったが最終的に宿る魂に対する付与が出来たそうだ
生き物に対して行うつもりは無いと言いながら何が違うのか語ってくれた
ユッタは事前に一度聞いていたようで頷きながら聞いているが俺には良く分からなかった
「指輪の新しい作用については分からない」と言われた
「魂を束縛しているわけではない。魂に自身を自覚させただけだ」と言い
その後にお願いとして
「魔法王国にいるエルフに指輪を見せてほしい」ことと
「この指輪を受け継ぐ子孫たちにも指輪を持って会いに来るように伝えてほしい」と頼まれる
俺たちはフォトラさんの頼み事を承諾したんだけど
その際にユッタが顔を少し赤らめたのが可愛いと思ってしまたんだよな
お読みいただきありがとうございました。
無断転載禁止。翻訳も禁止。




