旅路-鉱山都市【雪山と思い】
よろしくお願いいたします。
翌日、隊長の元を訪れ手紙を受け取りお礼を言って街を出た
今は駅馬車で3日ほど移動して鉱山都市についたところである
門番に隊長から手紙を見せると宛名の人物が経営する一軒の宿屋を紹介された
お礼を言って宿屋へと向かう。街には活気があり槌音が喧騒に混じり聞こえてくる
宿屋に着き受付に手紙を見せると奥から大柄な男性が現れた
お互いの自己紹介の後に手紙を渡し宿泊希望を伝えると問題ないと言われる
「今から忙しくなるから話は明日の午前中にしたい」
と手紙を一読した男性から言われ了承すると部屋へと案内された
俺たちは今日は自室で過ごすことにして旅の疲れを癒すこととした
翌日、朝食を食べに降りると作業を終えた男性が待っていて
飯を食いながら話そうと言われ自分の分を持ってくると食事を始めた
まずは雪山とドラゴンだなと言いつつ
雪山に行くための心構えや注意点、ガイドについての話
今年はドラゴンが頻繁に街から見えることやドラゴンの外見に話がおよんだ
外見を聞いた限りでは東洋の龍ではなく西洋の竜の様であった
話を聞いて参道は安全であることや祠までなら人間の侵入を許容している事が分かった
男性とガイドの雇用について相談すると夜間に二人で交互に見張りをするのなら
祠までは参道が整備されているのでガイドは雇う必要がないだろうと助言された
そして二人旅なら本来往復6日の旅程だが余裕を持って食料や薪を9日分と暖かい衣類を用意すれば十分だとも言われた
感謝して街へと必要なものを買いに出る。購入品はユッタの分も預かり俺のボックスへと収納する
翌日の早朝に宿屋の主人に礼を告げて参道へと向かう
参道入り口で山を見上げると中腹あたりまで雪が降り積もっているようだった
参道とは言え石畳ではなく踏み固められた土と看板が立つ坂道だった
一日目は街が近かったためか野生動物との出会いはなく順調に進み予定通り
休憩場所で野営を行った
二日目に野兎が居るのが見えた
その大きさに驚いてユッタに指さして知らせると普通の大きさだと教えられる
ユッタに故郷の2倍の大きさだと話すと逆に驚かれてしまった
移動中に何度か野兎を見かけたが参道までは出て来ることもなく問題なく休憩場所に到着する
ここでは先客いたので挨拶に行くと下山途中であるという
その後、一緒に夕食を食べつつ話を聞いたところ
今年は冬の到来が早くなりそうなことや
低い場所で雪が降っていて祠周辺は既に一面の雪景色になっていると教えてもらう
多分、神竜の目覚めが早かったのか神殿の方が見えられて喜ばれてるのかも知れないと語っていた
冬の到来が早いと怪物が食料確保のため参道付近まで出てくるので注意するように伝えられた
食事が終わり感謝を告げ、それぞれのテントに向かう
見張りの交代でユッタに起こされ薪を焚べ炎を見ていると大好きだった姉のことを思い出す
花を持ってきて遊んでくれたり一日の話をしてくれた
膝の上に乗せて絵本を読んで絵を見たり
追いかけっこ、おままごとで遊んだりしたな
読み書きや計算も教えてくれて一緒に家事もしたんだよな
一緒に刺繍をしたドレス。ドレスを来たお姉ちゃんは奇麗だった
薪に火を着けて幻想的に浮かび上がる姉の横顔
そして、雪山が見たいと言った姉
今日は雪が見られる、約束した雪を見て雪をさわろう
色々と考えていると周囲が明るくなっていた
三日目、朝食を食べて出発する
午前中歩み続けると雪が積もる風景へと変わった
ユッタは雪を見るのが初めての様で近づいてさわっていた
移動は順調で心配していた怪物も出てこない
夕方に祠前に到着した
参道から少し奥まった所に祠があり、その奥に大きく切り開かれた広場があった
素晴らしい風景だった
一面の新雪に包まれた広場と遠くに見える夕日。祠からも神々しさを感じるほどだ
前世で見たどんな雪景色より素晴らしい光景
この景色を見せたかったんだ。この景色を見てほしかったんだ
俺は跪いて姉を思う
唯一の家族だった姉を強く思う
そして雪にさわる。冷たいはずなのに何故か暖かく感じた
俺は再び姉を思い感謝を伝える。ありがとう、お姉ちゃん
どの位の時間が経っただろうか。夕暮れのなかユッタが隣に立っていることに気づく
俺はユッタを見るが彼女の瞳には景色が映っている。俺は夕焼けが染め上げる彼女を美しいと感じた
そんなユッタを見て立ち上がると無意識に言葉を発してしまう
「ユッタ、俺の家族になってほしい」
ユッタが驚いて俺を見返す。その瞳には俺がいた
俺は自分の発した言葉の意味を自覚し
「ユッタ、俺の妻になってくれないか」と告げる
ユッタは微笑み俺の目を見て「はい」とだけ答えてくれた
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