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神様の導きと俺の何度目かの人生。  作者: 可愛い
幕間

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35/51

【幕間】善悪の彼岸

よろしくお願いいたします。

私は目を覚ます。悪夢から目覚めてホッとする

両親が私を覗き込んでいる


私は思う。また生まれてしまったと


記憶が蘇る。生まれ変わると必ず最初の人生を思い出す

何度生まれ変わっても。最初に思い出すのは私の初めての人生


母と二人の生活。山と海に囲まれた狭い土地


神様の気分次第で荒ぶる海と山から粉雪交じりの伊吹が吹きつける

思い出す母の横顔。海からきて海に去った父を思う儚げな横顔


苦しい生活の中で私を育てて死んでいった母

貧しいとは思わなかった。そんな感覚すら持たなかった母との暮らし


誰からも見向きもされず母の遺体を抱きかかえ山へと行った私

土に還り天に召される事が出来なかった母


その上に覆いかぶさり神に祈る私

「母が安らかに眠れますように」

「母と父が一緒に暮らして幸せになれますように」


「願わくは両親に愛され幸せな家族になれますように」

一身に願い続ける。私はしだいに意識を失っていく


目が覚めると一面の雪景色

声によって起こされたようだ


その声は自分を神だという

周囲を見渡す。雪景色は白い壁に変わる


声は言う

「極寒の地で純真に生きる君を見ていたよ」

「君の願いを叶えてあげる」


「対価は不要だよ」

「両親に愛され幸せな家族に囲まれ永遠に生きなさい」

私は神に感謝した


また母に会える。父の傍で微笑む幸せな母の顔を思い浮かべる

「神様ありがとうございます」


声が続ける


「君が導かれた先に求めたもの」

「安寧とは程遠いかも知れないけど」


「さあ望む生活を新たに始めなさい」

・・・・最初の人生の記憶が終わる


私は新しい人生を得た

だが母が違う。多分父も違うのだろう


そうか母と父は天国で幸せに暮らしてるんだ・・・

生まれ変わった私は地上にいるから会えないんだ・・


両親は私を愛してくれた。年の違う兄や姉も優しく幸福な人生だった

私は毎日神に感謝の祈りを捧げた


そして両親より早く人生が終わる。皆、私を囲んで泣いてくれた

私は幸せな人生を与えてくれた神様に感謝した


また生まれ変わる。私を愛する両親、優しい兄や姉。幸せだった

また生まれ変わる。私を愛する両親、優しい兄や姉・・


また生まれ変わる。私を愛する両親、優しい・・

また生まれ変わる。私を愛する両親・・


また生まれ変わる。私を愛する・・

また生まれ変わる。私を・・


いつしか私は神に祈るのを止めた

いつしか幸せな人生を苦痛に思うようになった


私は神に祈った

もう充分幸せな人生を送りました


どうか母と父の待つ天国へ召し上げてくださいと

どのような対価でも支払います。どうか願いを叶えてくださいと


変化が起こった

何人目の両親だったか何度目の人生だったか憶えていない


私は双子として生まれたのだ

家族の愛を一身に向けられる末っ子としてではなく


小さな変化だが大きな違いだった

変化は他にもあった


弟が出来たのだ

幸せな家族に加わるだけの私に新しい家族が出来たのだ


過去の人生では婚姻であれ弟妹であれ新しい家族は出来なかった

私は今回の人生が最後だと自覚した。神様が願いを叶えてくれたと


最後の人生

私を愛してくれた沢山の両親と優しくしてくれた兄姉たちを思う


最後の人生。今度は私が家族を幸せにする番だ

対価として?違う。私なりの全ての両親、兄姉たちへの感謝の気持ちだ


私は両親や兄に尽くした。全ての両親、兄姉たちがしてくれたように

私は弟に愛情を注いだ。私が生まれた時に過去の家族がしてくれたように

全ての両親が注いでくれた愛情に勝るように


弟と一緒だと楽しかった。弟が笑うと嬉しかった

私は初めて自覚した。与える喜びを。与えることの充足感を

私は弟を失うことを恐れた


そして気づく

最初の人生の母の儚げな横顔の意味を。父を待ち続ける母の気持ちを

こんなにも満たされ苦しい気持ちだったんだと


父を待つ母の気持ち・・・・私が思う弟への気持ち・・・・

私は自分の気持ちに向き合うのを恐れた。失うのが怖いから


私の人生の最後。今までと決定的に違うことがおこった

私は自らの意思で神に逆らい自らの命を断つことを決意したのだ


そんな私にも神は慈悲をお与えになった

私をお姉ちゃんと慕ってくれる大切な弟に会わせてくださったのだ


私は神に感謝し永遠の幸せと苦痛を断ち切った


いつの間にか眠っていた

この転生は神様に逆らった罰だろうか?


両親の声が聞こえる。兄の声が聞こえる

生まれてから数年がたち目が見えるようになった


両親の顔を見る。兄の顔を見る

神は私の願いを叶えてくれた。・・・でも残酷だ


私は()()()()()妹としての生を受けたのだ

私をお姉ちゃんと呼ぶ弟の妹としての生


何度も繰り返した末っ子としての生


ああ神様、あなた様が求める対価は絶望なのでしょうか・・・

お読みいただきありがとうございました。

宜しければ感想を頂けると幸いです。


無断転載禁止。翻訳も禁止。

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