役割
よろしくお願いします。
崩れ落ちる姉を後ろから抱きかかえる
でも今支えてどうなる?もっと早く支えられたよな?
今更どうにもならないのは分かってるよな?
前世で何度も味わったよな。この気持ち・・・。冷めた自分がいる
警護の女性が近づいてくる
姉の落とした小瓶と手紙を回収している
そうだ手紙、手紙を読まなくては
「その手紙を見せてほしい」
「それは出来ません。貴殿は立派にお役目を果たしました」
何を言ってるんだ?この女は?
「その手紙を「弟ぎみ」」鋭い声が響く。続いて抑圧された声で
「弟ぎみ、門の外でお兄様がお待ちです。早く行って上げなさい」
「・・・・」
「弟ぎみ、さあ早く」一転して優しい声
僕は促されるまま部屋の外へと向かう
振り返ってみると警護の女性とメイドで姉をベッドに寝かせてくれていた
外で待つメイドの案内で来た道を戻る
「あら、黒髪が逃げてるわよ!やはり女の護衛役はダメね
見張りも碌に出来ないんだから」
嘲笑する声と同時に声の方から騎士が現れ中庭と僕の間に立ちはだかる
剣に手を掛けるがメイドの存在を確認すると誰何してくる
騒ぎを聞きつけてやって来た門番と兄が僕を引っ張って外に連れ出す
僕の顔を見た兄は何も言わず馬に乗せて走り出した
気づくと領都にいた
子爵の前に呼ばれ手紙と小瓶について聞かれる。護衛の者が回収したと伝えた
用があれば呼び出すので1週間ほど滞在するように言われ小袋を渡された
指定された宿屋で呼び出しを待つ
使いが来て男爵領に向かう商人がいるから同乗して帰領して良い旨伝えてきた
商人の馬車に同乗して領都を出発する
商人は男爵領出身で気さくに話しかけてきた
この時期は収穫の手伝いのために戻るそうだ
魔法を見るのは初めてだったと言いながら
積み上げた薪に魔法で火を付けた姉のことを話しだす
懐かしいな・・・
大役を果たしてホッとした顔が思い浮かぶ
俺が褒め続けるので困まり顔にもなってたな
あの頃に戻りたい・・
物思いに浸っていると話しかけてこなくなった
村に着いた。商人にお礼を言って屋敷にむかう
領民が商人に足早に近づき何かを伝えている
「お嬢様が死んだ原因」
聞こえた気がした。誰が言ったのか、誰も言ってないのか
屋敷までの道のり視線を感じる
その度に周囲を見渡す。領民はいるが僕を見ている人は居ない
「お嬢様が死んだ原因」
まただ。確かに聞こえた。間違いなく僕を非難する声だ
「お嬢様が死んだ原因」
僕は非難の言葉に背中を押され、いつの間にか駆け出していた
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