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神様の導きと俺の何度目かの人生。  作者: 可愛い
第一章 異世界に生を受ける

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ノブレス・オブリージュ

よろしくお願いいたします。

王都に着いた

領都から11日と言われる距離を8日で駆け抜けた

休憩は無いのと同じだった


最初に寄親の邸宅へと向かい着替えをさせられる

その間に先触れを出したようだ

体調は悪い。水を飲まされた


寄親の邸宅に居た次男が子爵令嬢の邸宅へと僕を乗せて向かった


「兄さん「黙れ」」

一言も話せない。兄の顔色は真っ青だった


子爵令嬢の邸宅の前。兄が門番に声を掛けると門が開かれた

「ここからはお前の役目だ」兄の冷酷な声が僕を突き放す


門の内側でメイドが待っていた。奥の離れへと向かうらしい

中庭を通るとピンク髪の少女がガゼボでケーキを食べていた


「フフフ」そうか当事者の子爵令嬢はケーキを食べてるのか・・

立ち止まっていたらしい。メイドに声を掛けられ移動を続ける


離れの玄関に着いた

姉に会える。そう思った時だ


「アハハハハ」田舎では当たり前の屈託のない笑い声

だが王都に住まう貴族の子女が発してよい声ではない


あのピンク髪か・・・


メイドが扉を開け中へと進む

奥の客間、女性の兵士が警護している部屋へと向かう


メイドと兵士のやり取りの後

メイドがノックをすると内側から別のメイドがドアを開ける


一歩中へ足を踏み入れる

窓際に座る女性が一人。知っている。いつも傍にいてくれた女性


「お姉ちゃん」女性は身じろぎもしない

声が届かなかったのか?


「お姉ちゃん、会いたかった」

女性は声に気づき立ち上がるが振り返らない


開いたドアから見ていた警護の女性が咳ばらいをする


女性が振り返る

「久しぶり、心配かけてしまったかしら?」


返事をしようと逡巡してると女性の次の一言が発せられる

「子爵からの手紙、もらってきたよね?」


手紙を差し出すと女性は静かに受け取り読み始める

「・・・・・」


読み終わった女性は顔を上げ微笑んだ

少しの沈黙の後


「もう一つ、預かり物があるよね?」

無言で女性の目を見る


優しい目で見つめ返される

「ねえ、もう一つ預かってるでしょ?」


「・・・・・」

無言で答える。なんて優しい目で僕を見るんだ


「弟ぎみ。お姉様が望んでるんだ」冷徹な声が響く

望む?何を望むって言うんだ?


「・・・・・」

「ねえ、お願い」

凛とした力強い声。逆らっても無駄だと分かる声


僕は小瓶を掌に載せ女性の前に出す


払いのけてほしいとの願いもむなしく女性は小瓶を掴むと

「ありがとう」と一言呟く


もう目を見れない。思わず下を向いてしまう

「僕、冒険者になることにしたよ」

「うん」


「海や雪山に行く」

「うん」


「・・・一緒に行こう」

「・・・・」


「一緒に行こう」

「・・・私が先に行くわ、空からも見え「嫌だ」」

自分の声にハッとして姉を見る


「一緒に行きたい」

小声で告げる


「だめ、空からでも、空からでは海にも雪にもさわれないの


 だから、海や雪山に辿り着いたら私を思い出して

 思い出してくれれば私たちは一緒に居られるから


 海や雪を一緒にさわりましょう

 ねぇ。私を連れて行って。約束したでしょ・・・おねがい」


「でも「弟ぎみ!」」


姉は天を仰ぎ静かな声でつぶやく

「神様、最後に願いを叶えてくださり感謝します」


一筋の涙が姉の頬をつたう

そして僕に背を向けると小瓶の中身を一気にあおる


数瞬の沈黙 姉が膝から崩れ落ちる

お読みいただきありがとうございました。

無断転載禁止。翻訳も禁止。

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