第13話 厄災の聖女
王都 プレートム 王宮
「どういうことですか 母上!?」
トラヤーヌは中年の女に怒鳴り上げていた。
「王都に戒厳令を出します。」
「くっ 話にならない
マリーナと一緒にこの事件を解決してみせる。」
「なりません
聖騎士 捕らえなさい」
ドッと白銀の鎧に身を包んだ騎士達がトラヤーヌを取り押さえる。
「母上!? 何をして」
母上と呼ばれた女は無表情に
「戒厳令を出します。出します。
だから
・・・殺さないで」
誰もいない王座の方向を見てつぶやいた。
王宮 屋上
色とりどりの花が咲き誇る屋上庭園に女が1人立っていた。
赤いドレスに身を包み、20代ほどの見た目にそぐわず杖をついている。
その顔はキヨマサとソルティ達が葬ったはずのテレシアの顔と同じであった。
「来たか」
ハドリアーヌとアントニアーヌが屋上に駆けあがって来た。
「なぜ 死んだはずのあなたが!!」
ハドリアーヌが杖を構えながら叫ぶ。
「テレシア!!
よくも! よくも父上を!!!」
アントニアーヌが女に斬りかかった。
数時間前 王宮広場
騎士団長が生き残った団員を連れて王宮前に帰還した。
アントニアーヌの父であり、事実上の王国の軍部のトップであった。
「な、何だ」
黒い炎が王都を囲っていく。
「おかえりなさい。
ちょうどいい時間ね。」
金髪の赤色のドレスを纏った女が歩いて来た。
女が杖を掲げると
「ぐああああああっ!!」
黒い炎が騎士団の生き残りを焼く。
「!?
貴様、転生者か
どうしてこんなところに!!」
騎士団長が女に斬りかかった
「くだらない」
ドッと騎士団長の体が黒い炎に包まれた。
「がっ」
騎士団長の体が鎧ごと煤へと変わった。
「親父?」
アントニアーヌはその様子を黒い炎の外側から見ていた。
現刻 王宮 屋上
斬りかかられた女はふぅと溜息をつく。
ドッ!!!とアントニアーヌが激しく飛ばされて
「くそおおおおぉぉぉぉっ!!!」
アントニアーヌが庭園から落ちていく。
「アントニアーヌっ!!!」
「どうしてですか
マリーナとの恋も、宮廷魔術師としての心得もすべてあなたが教えてくれたのに
あの優しかったあなたは
全て嘘だったんですか!?」
「フフフ アハハハハッ!!!」
女が笑う。
王都を巨大な黒い炎が取り囲み、街のあちこちで人々の悲鳴があがっている。
「お前も王子もさっきの騎士っ子も
本当によく動いてくれた。
おかげであの憎ったらしいソルミティアと私が接触しない因果が紡げた。」
テレシアの眼が紫色に輝き出す。
「な
何を言って」
王都を囲む黒い炎が[ラスボス]の杖にも灯される。
「――あなたは
お前は一体誰なんだ!!!!」
ハドリアーヌが杖を構え、水の刃を7重に発生させる。
「テレシアよ。肉体は ね。
今はイブ
この世界の唯一の女になる。」
テレシアが杖を掲げるとハドリアーヌが白目をむいて倒れた。
「教えてなかったかしらね
エスキートの発動速度は魔術より速い。
それと人間は酸素濃度が5%を下回ると失神するのよ。」
「前世の知識ですか、
懐かしいですね。」
白金の鎧を纏った騎士が屋上に上がってきた。
「見てたなら手助けしたらどうなの
タカヨシ」
「こちらの世界ではタッカだ。
イブ」
「さぁ 始めましょう
永遠王国の建国を。」




