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悪役熟女令嬢の婚約者  作者: †真・筋坊主†
第3章 厄災の前 Before the disaster
12/18

第11話 魔闘祭 ~Magic Battle Festival~

教育棟に囲まれた中庭

教育棟を横切っていると掲示板に人だかりが出来ていた。

「お・じ・さ・ま」

何か聞き覚えのあるような声がして振り返ると

「リアラ先輩」

おじさんか・・・ソルティさんの姪だから、まぁ合ってんだけどね。

「リアラちゃんでしょう。おじさま?」

「まだ婚約しただけで籍は入れてないんだが。

それより何があるんだ?」

「武闘祭の出場者の発表ですよ。

今回は優勝賞品が特別な魔具<ガイスト>で

確か帝国の七星龍の牙を使ったものだとか。」

「――なるほど、それで俺が勧誘されたわけか。」

「ふふっ、いくらおじさまでも研究生には勝てないでしょう。」

「・・・だろうな。」

流石にペンダントまで使うわけにはいかないし、杖の出力も相当抑える必要があるからな。

両方とも転生者の肉体を完全に消滅させるために造られてるっぽい出力だし。

「ってあら?」

掲示板の紙が教務の女性によって書き足される。

「―――嫌な予感がする。」

「もしかしておじさま?」

人だかりを押し通って見ると

「はぁ・・・」

俺の名前が明らかに手書きで目立つように追加されていた。

「キヨマサってお前か?

極東人の癖にやるじゃねぇか。」

「どういうことですか?」

「武闘祭に出るには教授の推薦がいるんだよ。

それと1名以上の保護者の署名。

お前、研究生じゃないのに教授の推薦もらったんだろ?」

「――えぇ、まぁ、心当たりは。」

・・・そういうことか、エレシウス教授とセルベスさんだな。

優勝賞品の魔具<ガイスト>に目が眩んだっぽいな、あの研究ジャンキー師弟め。

どうせ、賞品の魔具<ガイスト>を使った共同研究とかそんな落としどころだろう。

ソルティさんは俺を訓練と模擬戦以外の自分の目の届かないところで戦わせるの嫌うし。

「――それでどうするの?」

リアラが俺を人込みから引っ張り出す。

「優勝には興味がないからな。

怪我しない範囲で戦うよ。

それで勝てたらよしってところだ。」

「えっ リアラ様?

どうしてこんなところに。」

「リアラ様 その男は?

いいえ聞くまでもありません。敵です!

覚悟!!」

などと女にモテモテのリアラさんの取り巻きに殺されないように全力で走って帰った。


3日後 武闘祭 1日目 武闘円場

転生前のイタリアにあるコロッセオのような屋根のない会場だ。

武闘祭は3日に分けて行われるらしく、

勝ち抜く場合は3日連続で全力戦闘を最低でも5回はしないといけないらしい。

3日間のスケジュールは全て同じで最初に学年別のトーナメントがあり、合間に教授陣による研究成果をアピールする催しものがあり、そして最後に無差別、何でもありのトーナメントが行われる。

ソルティさんは俺が出ると聞いて、過保護なのか観戦に来るし、セルベスさんは無言の圧力をかけてくるし、ベルゼブは俺の勝利を純粋に信じてるしでつらい。

「俺は怪我するぐらいなら負けますからね。」

「――それでいいわ。あんまり出力あげちゃだめよ。」

ソルティさんの見送りを受けつつ、中央の広い場所に出る。

周囲の歓声が混じりあって、何か別の生き物が叫んでるように聞こえる。

「って」

いきなり当たっちゃいけない人と当たった気がする。

「キヨマサ!貴様ぁ

この日を楽しみにしていたぞ。」

赤髪の王子やん、よく許しが出たな。

国王か王妃のどっちが署名したのか?

「誰だったか、忘れたが。

俺は怪我をしたくないからさっさと終わらせる。」

ガアアアアアアンッ!!!

激しい鐘の音が鳴り響き、

トラヤーヌが剣から炎を発射する。

俺は普通に水魔術で作った巨大な腕で炎を握りつぶす。

セルベスさんの魔具<ガイスト>のおかげで、大体の魔術は詠唱や発声なしで発動できるようになった。

慣れるまでちょっと時間が掛かったけどな。

それに第3のエスキートのおかげ魔術の高速展開も少しずつ出来るようになってきた。

血液を早く回して神経伝達を早めることで一時的に魔術を高速で展開できる。

「な、何だその杖は!!」

「前戦った時と同じですけど。」

俺は杖を振い、土の魔術でトラヤーヌの足元に岩が混じった杭を飛び出させる。

「き、貴様!卑怯な!!!」

トラヤーヌが風魔術の爆風で上空に飛び上がる。

無茶するなぁ。

「――水刃・三ツ重<ヒュド・トリプレクス>」

俺は飛び掛かってくるトラヤーヌの剣と両腕めがけて水の刃を放つ。

「しまっ」

ズバシャッ!!!

トラヤーヌは魔術を発動する暇がなかったのか、直撃して後ろに吹っ飛ぶ。

さらに俺の作っていた土の杭にドッとぶつかって剣を墜としてしまっている。

「――生きてるか?」

流石に後頭部とか打って死なれても困るので、一応声はかけておく。

「き、貴様!

我が炎に焼き裂かれろ!!!」

トラヤーヌが剣に炎を纏わせて、ぶんぶんと振うようにして炎の斬撃を飛ばしてくる。

「盾土<テラ・スクート>」

ドドッと足元から土の壁を飛び出させて炎を防ぐ。

「とぉりゃああっ!!!」

トラヤーヌが土の壁を回り込んで、俺に切りかかる。

「手土<マヌテラ>」

トラヤーヌの足元から土の手を生成して、足を止めつつ

杖で剣を受けて弾く。

「くらえ!!!」

トラヤーヌが俺の顔面めがけて炎を発生させる。

ドゴッ!!!

と俺は自分の足元の地面を飛び出させて、上に飛んで躱す。

「終わりだ。」

土の手を4本に増やしてトラヤーヌの全身を拘束し、

水の刃を四方から発生させる。

「ぐっ、こんなもの。」

「動くなよ。首が落ちるぞ。」

水の刃を放ち、トラヤーヌの髪を切り裂く。

「審判!まだ戦える!」

トラヤーヌが必死に叫ぶが。

ドゴオオオッ!!!

今度は地響きのような音が鳴り響く。

「勝者 キヨマサ!!!」

拡声機能のあるの魔具<ガイスト>から会場中に音が響き渡る。

広場から観戦場に上がろうとすると、

「君がキヨマサ君だね?」

整えられた髭を生やした金髪のおじさんがいた。

何か見たことあるような。

「えぇ。どこかで会いましたか?」

「私は国王のアルフォス・アウグストゥスだ。

お忍びで来ているのでね。今はただのトラヤーヌの父だ。」

「そ、それはどうも 失礼しました。」

「いや、1言お礼をいいたくてね。

君を倒そうと頑張ってトラヤーヌがずいぶんと成長している。

ありがとう。」

「俺はただ飛んでくる火の粉を払ってるだけですけどね。

失礼します。」

「あぁ。今度またソルミティア大公じゃなかったソルミティア嬢と王宮に来るといい。」

国王は割とまともな人っぽいな。

トラヤーヌは色ボケは

「いや、あの踊り子 良いな。

名前を知っているかね?」

「いいえ。」

「ほぅ」

国王が飲み物を配っている若い女に鼻を伸ばしていた。

前言撤回だ。

トラヤーヌの色ボケはこの人由来か・・・

本当にこの国は大丈夫なのか、それこそ転生者に乗っ取られたりしてないだろうな。


1回戦は終わり、2回戦目も本日行うらしく。

再び呼び出されて中央へ。

「――はぁ。お前か。」

「お前とは何だ!

僕は王国騎士団団員 アントニアーヌ!

貴様を倒してマリーナに認めてもらう。」

黄色の髪のマリーナの取り巻きアントニアーヌって名前だったか。学生なのに騎士団の団員なのは知らなかったな。

入学時と比べると少し精悍な顔立ちになってるが、魔素<エレメント>の量や質は変わらんな。

「・・・はぁ、好きにしてくれ。

俺は手を抜く気はないがな。」

「正々堂々 勝負!!!」

鐘が鳴る。

「水刃<ヒュドグラディア>」

ドドドッと開幕と同時に水の刃を3発重ねて撃つ。

「こんなもの!」

アントニアーヌが剣で受け止めて

ドッ!!!と勢いよく後ろに吹っ飛ぶ。

1発だと薄皮を切る程度の威力しかないが、ちょっと強めに3発重ねると威力が出る。

ギリギリ死なない程度の威力があるのは、魔獣で実験してきたからな。

「ぐっ、小癪な。3つ重ねていたのか。」

アントニアーヌが剣を杖代わりにして立ち上がる。

「小癪ではないだろ、普通に魔術を重ねて撃っただけだ。

次は4つだ。」

ブラフを言いつつ、剣を構えたアントニアーヌの顎を

土の魔術を発動させ土の腕でドガッ!!!と殴り上げる。

「がっ!!」

アントニアーヌが気持ちいいぐらいきれいに飛んで、倒れる。

「く、速すぎる」

アントニアーヌがぐらぐらしながら何とか体を起こそうとする。

「手加減はなしだ。」

入学式の日とちょうど逆になったな。

「土弾<テラグロス>!!」

俺は杖を地面に突き刺し、岩の欠片を起き上がったアントニアーヌに放つ。

ドドドドドドドドッ!と剣で一部受けられたが、ほとんどがアントニアーヌに直撃して再び倒れた。

「――終わりだな。」

ドゴオオオッ!!!

地響きのような音が鳴り響く。

「勝者 キヨマサ!!」

アントニアーヌの気絶顔を見たがちゃんと生きてるな。

純粋な剣術勝負なら負けてたかもしれないが、魔術ありだと負けようがない。


3日後 武闘祭 2日目 武闘円場

「――まさか、キヨマサも出てるとはね。」

3回戦目の対戦相手はまさかのエースだった。

「いいこと教えてやる。優勝賞品をエレシウス教授に渡すと100万ギルもらえるぞ。」

「それは初めて聞いたな。

僕は純粋な力試しで賞品は興味がないからね。」

ガアアアアアアンッ!!!

激しい鐘の音が鳴り響く。

エースは実技訓練でも見てるから分かるが、

魔剣と呼ばれる特殊な魔術結晶回路を埋め込んだ剣を使う。

トラヤーヌのようにバカ正直に魔術を放ったり、アントニアーヌのように真正面から剣で切りかかったりはしてこない。

「まずは様子見かな。

おいで小鳥たち」

エースが剣を縦に構えると、燕の形をした青い魔素の塊がエースの肩に7匹現れる。

そして羽ばたいて俺に複雑な軌道を描きながら飛び掛かってくる。

「厄介な手を。

水刃・七つ重<ヒュドロ・セプテムプレクス>!」

俺はエースの放った燕を水の刃で切り落とす。

1,2,3,4,5,

5匹を撃ち落したところで、2匹を墜とし損ねて

俺は杖を構えて土魔術を発動する。

「土壁・三ツ重<テラムルス・トリプレクス>!!!」

飛び下がりながら、土の壁を燕の形をした魔素の間に発生させる。

ドッ!!!ドッ!!!と激しい水の爆発が起きて土の壁が2つ分吹き飛ばされる。

「――相変わらずえげつない威力だな。」

「君と僕の仲なら、これぐらいは挨拶のようなものじゃないか。」

エースが無駄に整った顔でほほ笑み、土の壁を蹴って、飛び掛かる。

ご丁寧に左腕と右肩に今度は赤色の鷲と緑色の鳩を2羽ずつ乗せている。

「っ!」

俺は全力で走って距離を取りながら、水の刃を3本散らばらせて出来るだけ刃を薄く伸ばしてエースに放つ。

「そっちにもいるよ。」

「しまっ」

俺が走っている方向の上空から足のながい真っ白のコウノトリが降下してくる。

ギリギリで土の壁を作り出して蹴り上げてコウノトリとぶつけ

ピシイイイッ!!!

土の壁が凍り付いて地面に落下する。

それと同時に後ろからエースが剣で切りかかってくる。

「手土<マヌテラ>!」

エースの足元の土の手がエースの足を掴むと同時に氷付く

「少し弱いな。」

ガッと凍り付いた土を蹴破って再び俺に切りかかる。

「土弾<テラグロス>!!」

岩のまじった土の塊を20発放つ。

だが肩と腕に止まっていた鷲と鳩がぶつかって暴風と火炎が俺に放たれる。

「くっ!」

俺はぎりぎりで躱しながら、さらに下がって。

ドッといつの間にか円場の端っこに追いつめられ背中が当たっていた。

「戦術眼に古代魔術か、勝てる気がしないな・・・」

俺は杖を地面に差す。

「あぁ。眼も知ってたのか。」

エースの眼に金色の樹の広がりのような文様が浮かび上がっていく。

戦術眼は1000万人に1人の割合で現れるとされる特異体質で古代魔術が使える者に現れやすく

古代魔術が無制限にバカバカ撃てたり、エスキートに近いような能力を使えたりする眼だな。

唯一の欠点は遺伝しないことだ。人の親が戦術眼を持っていれば子は持つことがない。

クローン作ったら遺伝するのかもしれないがこの世界にはないしな。

例外として星ノ獣はにそういった特異体質を親から子へ受け継ぐ。

「マ眼の亜種だよ。全く使いこなせてないけど。

相手の動きに対して自分の行動の結果が何パターンか見える。

最大の3秒使ったのは今日が初めてだよ。」

「そりゃどうも。降参だ。」

ドゴオオオッ!!!

地響きのような音が鳴り響く。

「勝者 エースグリット!!」

わっと歓声が上がる。

イケメンだからなのか、女子の声が多いような気がする。

エースは少しつらそうに頭を抑えながら、足がよろめいたので

肩を掴んでやる。

「それ、どうやって使ってるんだ?反動は大きそうだが」

「それじゃあ、観戦しながら説明しようか。

ちょうど次はグリアの試合だし。」

「――そうだな。

ってあいつも!?」

「今年度から主席合格者も推薦とみなして出場できるようになったんだ。」

「知らなかった。」

「まぁ、無理もないよ。僕も知らなかった。」


観戦席でグリアの超高速魔術展開の戦いを見つつ

「で、あの鳥みたいな古代魔術は何なんだ?

魔剣は氷や冷気を出すやつだろ。

あんな鳥にして飛ばしたりは出来ないはずだ。」

「――流石だね。

でも魔具<ガイスト>を隠し持ってるかもしれないよ?」

「だとしたら発動が速すぎる。

星ノ獣の一部を使った魔具<ガイスト>ならともかく普通の魔具<ガイスト>じゃあんなほぼ同時発動みたいなのは無理だろ。」

最初の鳥もそうだが、あれは1匹1匹が別々の魔術で構築されていた。

軌道まで予め設定していたっぽいしな。

「――精霊術の一種だよ。

魔素をつなげて1つの動植物の形にして術式を複数組み込んで発動できる。

僕は犬や四足歩行の動物が苦手だから鳥にしてるけどね。」

「なるほどな。ムハバラトで使われてるっていう。」

俺もたまたま出来たことがあったが、セルベスさんの力ありきだしな。

「祖先がムハバラトで領地運営をやってたことがあってね。

その名残かな。代々継承することになってるんだ。」

試合中のグリアが目に映らないほどの速さで魔術紋を次々と発動させ、

試合相手の青色の髪のマリーナの取り巻きの1人を追いつめていく。

ハドリアーヌだったっけ、1年上だがあんまり関係ないな。

グリアの高速魔術展開と背中側で発動している闇魔術の魔素吸収でほぼ永久機関みたいに魔術を次々と発動している。

あれと戦わなくて良かったよ。ぞっとする。

ソルティさんの惑星魔術ほどじゃないが、めちゃくちゃな魔術の物量だ。

「そっちはまだ隠し手があったみたいだけど。

それを使ったら僕は死んでたんだろうね。」

「――さぁな。

転生者を殲滅するための特化魔具<ガイスト>だ。

人に向けては撃てない。」

「あの蛇みたいな陰の人のものかな?」

「何で分かるんだよ・・・

まぁ、負け惜しみにしかならないけどな。」

「――そうだね。僕の勝ちだ。

次はグリアみたいだし、見守っててよ。」

エースが爽やかな笑顔で闘技場に降りていく。

「決勝進出はグリモリア!!」

エースと話してる間にグリアが相手を壁にめり込ませていた。

どんだけ撃ち込んだんだ。

いやヒントになるかもしれんな。魔術の高速展開の。

俺も転生者だし見よう見まねエスキートの応用で何とかいけそうな気がして来た。


3時間後 夕焼けの中の闘技場

「最終戦 グリモリア対エースグリット!!!」

ドドォォォォッ!!!!

今までにない試合の鐘がなる。

グリアが術式を多重に地面に作り上げて

順番に魔素を込めていく。

それと同時にエースも鷲、鳩、駝鳥とかなり強めの精霊魔術を展開している。

「知ってるかい?

優勝賞品はエレシウス教授に100万ギルで売れる。」

「――前の対戦相手の先輩に聞いたよ。」

ドドドドドドドドッ!!とグリアの放った炎弾が

エースの鷲に命中し、エースの眼前へと迫る。

「魔法は剣で切れる」

エースが炎弾を切り裂く。

剣に風魔術を纏わせているのか、切った瞬間に炎がかき消える。

「――なら切られても問題ないようにすればいい。」

グリアがさらに大量の炎弾を放つ。

それと並列して大地から地面の杭をいくつも飛び出させる。

「なかなか手ごわいね。」

エースが全く距離を詰められない。

それどころかどんどん後退していく。

「一撃も当たってくれない」

グリアが炎弾、風の刃、土の杭と3重に魔術をどんどん展開していく。

エースはグリアの魔術を次々と切り裂いたり、鳥を掴んで飛び上がったりして躱す。

「おじさま、ご学友は優秀なようですね。」

「リアラか。

見ての通りだよ。あれに混ざれると思うか?」

「まぁ、そのままでは無理でしょうね。ペンダントも杖の力も引き出せてないようですし。」

「ペンダントと杖の力は使ってる。」

「星ノ獣の魔具<ガイスト>を使っていながら負けるとは

ヴァシリウス家の名折れです。」

「悪かったな。まだ籍は入れてないんだし大目に見てくれ。」

「ふん、叔母上はあなたが怪我をしていないから問題ないとの判断でしょうけど

ヴァシリウス家の名に恥じぬ行いを心がけてください。」

グリアの炎魔術と風魔術の合わせ技がエースをぶっ飛ばして、エースが気絶した。

「――あぁ。」

「それでは、おばさまも来たことですし。

今度は名に恥じぬ姿を期待しています。」

「あら、リアラは表彰式見ていかないの?」

「私は結構です。」

リアラと入れ替わりにソルティさんが俺の隣に座る。

「お疲れ様」

「――俺は強くなれてたんですかね?」

「格段に強くなれてる、でもあと1手足りないってところね。」

「どうやったらその1手を?」

「自分の中に見出そうとしないこと

ありえない存在を信じること かしら。」

「――はありえないはずの存在?」

「また予言の話か。」

セルベスさんがいつの間にか俺の背後に座っていた。

「セルベス、予測が出来ても言ってはだめよ。

そうでなくてもこの先は厄災の転生者が介入してくるせいで予言が不確実なの。」

「そんなことは分かっている―――が、エルリーフの予言はたしか転生者が関わると当たらないんじゃなかったか?」

「――そうね。だからここからは大きな賭け。

絶対に負けられない。」

「私の鱗でも懐に入れておけ。幸運の印だ。」

セルベスさんが俺とソルティさんに中指ほどの大きさの蛇の鱗を渡してくる。

元の蛇のサイズがでかいだけあってサイズが大きいな。

「これ、魔具<ガイスト>ですか?」

「――うむ、そういう使いかたも出来るな。

星ノ獣は全身が魔具<ガイスト>として機能するからな。

どうだ? 惚れなおしたか?」

「惚れるというよりは便利だなと。」

「・・・そうか、私は便利な女か。」

セルベスさんが少し寂しそうな顔をして空を見上げる。


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