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安宿暮らしの大魔王。~転移した大魔王は異世界を自由に楽しみます~   作者: ねこまじん
1部 3章 王都にて遭遇するものは~その2
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23話

 王都の冒険者ギルドにほど近い飯屋で飯を食っていると。


 「あれえ、テラじゃないか!」 

 大きな声でこちらに呼びかけてくる声がある。この声はロロだ。


 俺はちらっとそちらを見て飯を食いながら右手をあげる。

 「ああ、ロロか。他のメンバーは?」


 そう言うと、遥かな風のメンバーが後からぞろぞろと飯屋に入ってきた。


 「あ、テラさん!お久しぶりです。」

 相変わらず元気なカトリーナ。


 「ああ。聞いたぞ?金級冒険者に昇格したんだって?」

 カトリーナに話しかける。


 「ええ、そうよ。おかげさまでね。」

 そう返事をするのはアンナである。


 「あー、なんだ、すまん。荷物をわざわざギルドにまで届けてくれたのは感謝する。」


 「宿屋の人、困っていたわよ?出ていくなら、荷物くらい持っていきなさいよ。」


 「ああ、すまん。やんごとなき事情があったんだ。」

 「やんごとなき事情、ねえ。」

 アンナが目を細くする。


 「ははは、どうせろくでもない事情だぜ?アンナ。」

 笑うロロ。


 「テラさん、リア様のその後は。」

 マリアが聞いてくる。


 「リア様って・・・。リアは神殿に帰ったよ。」


 「リアちゃんって、聖騎士様なんですか?」


 「やめなさい、カトリーナ。やんごとなき事情があるのよ。」

 カトリーナに言って聞かせるアンナ。


 「早く注文しましょう。」

 サリアは腹が減っているらしい。


 そういって、遥かな風のメンバーは俺のテーブルの近くに座る。


 「そういえば、デュエイで出没している盗賊団を討伐するんだって?」

 俺はアンナ達に聞く。


 「そうよ。商隊とその護衛を襲撃して全滅させたらしいわ。でも、商隊を護衛していたパーティーだけど、どれも銀級や銅級の冒険者で、そもそも盗賊団なんかにやられるような連中じゃないのよね。」


 「詳しい情報を聞いているのか?」


 「いいえ。ただ、規模はかなりの規模になるそうよ。後、その拠点の場所は分かっているけれど、なぜかゴブリンを見回りに使っているらしいわ。」


 ―正解だ。もっといえば、あれは全部ゴブリンだった。


 「そういえば、人の言葉をしゃべる魔物っているのか?」

 何となく聞いてみる。


 「サリア、そんな魔物いるかしら?」


 「魔物にはあまり詳しくないけれど、そんな話は魔法学院でも聞いたことはない。それは魔族かもしれないわ。何か心当たりが?」

 サリアが聞いてくる。


 「いや、何というか、そんな魔物がいるって聞いたもんでよ。」

 やはり魔族以外に話す魔物はいないという認識が一般的であるようだ。


 「今回の討伐隊にはどれくらいの規模の冒険者が参加するんだ?」


 「俺たちも詳しくは聞いていないけど、うちのパーティーと、あと銀級冒険者のパーティーが5つほど。あと、銅級冒険者のパーティーが10。本当は銀級冒険者とうちのパーティーの全部で6つで攻める予定だったんだけど、銅級冒険者もサポートに必要だろうってことになったらしいぜ。」

 ロロが飯を食いながら言う。


 「王都に金級冒険者は他にいないのか?」


 「少ないけれど、他にもいるわ。でもギルドも金級冒険者はそう簡単に動かせないらしいのよ。」

 アンナは少し不満そうだ。


 「金がかかるのか。儲かってんな?」


 「それはもう!」

 カトリーナが嬉しそうに言う。


 「こうやってみんなで食べるものは相変わらずなんだけどね。」

 アンナが苦笑するのだった。





 その日の夜、ゴブリンの大集落に向かうと、一面まるで廃墟となっており、あたりにはゴブリンの死体があちこちに転がっていた。


 どのゴブリンの死体もかなり損傷が激しい。傭兵団の苛烈(かれつ)さを肌で感じることができる。


 今デュエイ採掘場までの道は封鎖されているため、ほとんど誰もこの辺りを通らない。それが幸いし、それらが荒らされている様子はほとんどなかった。


 ゴブリンもゾンビになるのか?ゴブリンゾンビとか?


 俺は魔族でありながら、死霊術にはからっきしだ。

 俺が求めたのは、どちらかというと死霊術というより、死体から生きている状態に戻す禁術だった。


 そんなことを考えながら、死体の山から金目の物を探していく。有り体に言えば、死体漁りである。


 意外や意外にも、ゴブリン達は銅貨や銀貨などを保有しているようだった。

 ゴブリンの死体から得た貨幣だけで、十分労働の元が取れそうだ。


 しばらくすると、仮設の倉庫のようなものが見えた。

 中を見るともぬけの殻である。おそらくここに財宝の(たぐい)が存在したのだろう。


 一見(いっけん)すると何もないが、よく見ると金貨くらいは隅にないだろうか?

 よく確認する。


 持ってきた松明に火を灯し、隅から隅まで探すと、案の定、金貨を1枚と大銀貨を数枚、見つけることができた。


 もう少し何かあるかと思っていたが、他はきれいに持って行ったようだった。

 傭兵団には一財産(ひとざいさん)だっただろう。


 あれは一体どういった傭兵団だったのだろうか?

 詳しくは分からないが、名のある傭兵団だろうということを想像することは難しくはない。


 一応(いちおう)、女どもが捕まっていたであろう場所も見ておくことにする。


 だが、そちらには金目のものは無かった。

 血や体液といった、行為を行った形跡もない。

 ほとんど毎晩襲撃を受けたので、ゴブリンからすると繁殖行為をする余裕はなかったのだろう。


 一通(ひととお)りゴブリンの大集落を漁ったところ、金貨1枚、大銀貨5枚、銀貨32枚、その他、大銅貨、銅貨をそれなりの数集めることができた。


 大きな黒字である。思わず笑みが漏れる。


 ―さて、得るものも得たし、この場から離れるとしよう。

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