15話
「支配人、彼らを神殿にまで運びたい。よろしいですか?」
メルウィは支配人のラドにそう訊ねる。
「え、ええ。承知しました・・・!」
支配人は怯えてしまっているようだった。
その後、神殿の馬車を手配し、倒れている2人を中に運び、神殿まで輸送した。俺たちは神殿に戻るまで無言だった。
神殿に辿り着くと、
「テラさん、お疲れ様です。」
と、カーンが大きく汗をぬぐう。
「ああ。カーンもお疲れ様。」
俺が着ている神官の服もいつの間にか、汗でぐっしょりだ。
正直、精神的にどっと疲れた。2人で衣装と防具を脱いでいると、
「テラ、カーン、お疲れ。」
トムとマーガレットに付き添っていたメルウィが戻ってくる。
未だ黒い審問服を着たままだが、黒いフードとマスクは既に取り外していた。
「あの2人はどうなった?」
俺がに訊ねると、
「医官に預けてきた。だが子どもの方は・・・」
メルウィは目を伏せる。
「そうですか・・・」
カーンが表情を暗くする。
「テラ、約束の報酬だ。少し色をつけておいた。」
そう言って、金貨と大銀貨をそれぞれ1枚ずつ手渡される。
「ああ、助かるよ。」
素直に礼を言う。
「オレは、今日はもう部屋に戻るよ。じゃあな。」
そう言うと、メルウィは少し俯きながら、足早に去っていった。
「カーン、俺も今日は疲れた。これで帰ることにする。」
「ええ、お疲れ様です、テラさん。」
俺は宿に戻ると、ベッドにダイブする。
ーだが、俺にはまだやるべきことが残っている。ステータスの履歴を見る。
――そこには確かに情報があった。
検体14号 好感度:不明 状態:衰弱
―誰だよ、こんなもの作ろうとしたのは。
「あー・・・。」
精神的に疲れる仕事だった。
異端審問官という仕事はとてもではないが、俺に務まる仕事ではないな。
―そうだ、採掘をしよう。こんな時は無心に採掘をするに限る。
そういえば、リアリトアは? 彼女と一緒にいた時間は俺にとっての癒しの時間だった。
―ステータス・オープン
緑色。特に異常はないようだった。
夜は酒でも飲みに行こう。そう考えて一眠りするのだった。
ーーその日の夜、俺は王都の酒場に来ていた。
隅っこでちまちま酒を飲んでいると、酒場の中央で何かがどっと盛り上がりをみせる。
見ると、吟遊詩人の音楽に合わせ、酒場の中央で女が歌い、くるくると踊っている。
――見事なものだ。
「おおー、さすが異世界。」
酒が進むねえ~。つまみも美味い。
「―なあ、聞いたか?例のベルフェンの街の金級冒険者。確か遥かな風だったか?デュエイの盗賊討伐に失敗して全滅したって話だ。」




