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3話

 日が暮れたころに、山に着いた。


 その山のふもとに大きな建物があり、そこにも採掘ギルドの看板が見える。中に入ってみよう。


 ―そこには、屈強な男たちがいた。


 玄関に突っ立っていると、一際(ひときわ)デカいオヤジが話しかけてくる。

 「おう、新入りか? 」


 「ああ。」プレートを見せる。


 「今日はもう遅い。話だけ聞いていけ。」 

 そして、採掘ギルドの説明が始まった。


 ざっくり以下のようなことらしい。


 ・道具ツルハシは貸してもらえる。

 ・めんこいイモムシオバケが出るから、数人で退治しなければならないときがある。

 ・鉄鉱石をツルハシで採掘する。

 ・たまに銀鉱石もとれるらしい。


 元々ダンジョンか何かだった。それがいつの間にか魔物が出なくなり、跡に鉄鉱石が出るという理由から、鉱山として開発されたようだ。

 「今日は泊っていけ。銅貨3枚にしといてやるよ。」


 上の階のむさくるしい大部屋に案内される。ぐふっ。だが仕方ない。明日の労働に期待するしかない。



 翌日。朝から俺は鉱山の中にいた。

 「おーい、新入り。これ向こうに運んどいてくれ。」

 「ああ。」

 「おーい、新入り、ここ掘ってみな。」

 「あいよ。」

 「おーい、新入り、昼だ。ギルドに食堂があるぜ。」

 「行ってみるよ。」

 「おーい、新入り、そろそろ片付けとけ。」

 「・・・ああ。」

 そして夕暮れ。体はバッキバキである。このまま採掘を続けたらきっと俺もマッチョマンだな。


 1日の労働対価はその時々で変わるが、多くて銀貨1枚になることもあるようだった。

 

 

 

 ――月日は流れ、3カ月ほどたったある日。もはや貯金も銀貨10枚。そろそろ町に繰り出してみてもよいだろう。


 「おやっさん、この辺で一番大きな町はどこにあるよ? 」


 「それなら、ベルフェンの街だな。何しに行くんだ? 」


 「ちょっと、冒険者ギルドとやらに行きたくてな。」


 「はっはっは!そりゃおめえ、何か特別な技能や魔法は使えるのか? イモムシオバケやホーンラビットとは訳が違うぞ? 」


 「なんだって? 」


 「冒険者といえば、何かの技能持ちや、魔法持ちが行くところだぞ。イモムシオバケに苦戦しているようじゃまだまだだな!はっはっは。」


 なんてこったい。今の俺はほとんどただの一般人だからな。

「ここからどれくらいの距離だ? 」


「歩いて半日ってところだな。」







 初めて見たその街はとてもおしゃれな街というものだった。

 街にはカラフルなレンガ造りの建物が並び、その街並みはとても美しく、まさに異世界であるといった印象を受ける。

 ―ベルフェンの街。

 この辺りの領主がベルフェンという名前で、その中心街だからベルフェンの街というらしい。


 門番には採掘ギルドの銅のプレートを見せると、ただで通ることができた。


 「採掘ギルドはあちらの通りだ。」

 そう言って門番は右手の通りを指さす。


 「いや、冒険者ギルドを探しているんだ。」


 「冒険者ギルドは更にその向こうだ。依頼に行くのか? 」

 その門番は右手の通りの更にその先に進むように言う。


 「ああ。そんなところだ。」

 さっさと問答をすませ、冒険者ギルドに向かうことにする。




 ―でかい。途中で見た採掘ギルドよりも随分とでかい。権力の違いだろうか?


 中に入ってみる。

 すると、プレートメイルを着た騎士風の男や、狩人風の男、魔導士のような恰好の女などで賑わっていて、注目を集めた気がした。が、如何せん俺の恰好はただの服である。


 ―どう見てもこりゃ田舎者だな。

 俺はそっと冒険者ギルドを離れるのであった。


 ゴーイングトゥマイホームグラウンド。愛しの採掘ギルドよ!



 そういえば、異世界といえば、冒険者、冒険者といえば、ゴブリンだよな。ふとそう思った。

 採掘ギルドに行き、受付にいるおばちゃんにゴブリンについて質問してみよう。


 「ゴブリンってこの辺りにいるのか? 」


 「おや、あんた採掘師の癖にゴブリン退治かい? 」


 「そんなところだ。」


 「やめときな。あんたよりも屈強な男どもが苦戦するんだ。」


 「冒険者どもは簡単に狩るそうだが? 」


 「そりゃそうさ。冒険者は技能や魔法を持っているからね。」


 「俺も戦ってみなけりゃ分からんだろう。」


 「・・・全く。この街を東に行ったところに、カラタン山に続く森がある。そこにはもしかするとゴブリンの巣があるって話だよ。」


 「カラタン山も俺たちの職場なのか? 」


 「そうさね。ただ、道中ゴブリンが出るから、採掘師どもは冒険者の護衛付きの乗り合い馬車輸送で行くんだ。あたしゃ、ちゃんと注意したからね!」


 「ああ、大丈夫だ、問題ない。」


その日は安宿をとり、翌日カラタン山に向かうことにする。


街の安宿のベッドの寝心地はトアレの山のギルドに比べて遥かに快適だった。

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