13話
そんなわけで、俺はリアリトアを宿屋まで送り、その後冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに着くと、入り口前でディアナが待っていた。
「悪い、待たせた。」
「いいわ。それより、あなた達、本当に親戚なの?」
ディアナがニヤニヤしながら聞いてくる。
「ああ。そうだ。」
「・・・そう。まあいいわ。」
俺とディアナは受付に向かう。
「あら、いらっしゃい。」
受付嬢は俺のことを覚えていたようだ。
「ああ。少し、話せないか?」
「何でしょう?」
「ダンジョン脇の森にゾンビが出た。そいつはこれを着けていた。」
と言って俺は、黒鉄のプレートを渡す。
「これは・・・。少し確認します。」
そう言って、受付嬢はギルド奥へ引っ込んでいった。
しばらくして、ギルド嬢が戻ってくると、
「これは当ギルド協会の黒鉄級の冒険者のものに間違いありません。これを見つけた経緯を教えてくれませんか?」
「ティミルの木を探しにダンジョン脇の森へ、テラと一緒に行ったのよ。」
ディアナが言う。
「ティミルの木・・・神殿からの依頼ですか?」
「ちょっと個人的な、ね。少しの距離だし、それで彼に同行するよう頼んだのだけど。」
「そうしたら、襲われた、と。」
受付嬢は少し眉をひそめる。
「ええ。少し、森の調査を頼めないかしら?」
「そうですね・・・。承知しました。」
ギルドは通常、個人的な依頼であれば、有償であり、依頼主はギルドに対して依頼金を支払う必要がある。
しかし、このように何らかの異常や異変がある場合、領主よりギルドに対して金が支払われるのである。
そのため、異常や異変の確たる証拠があるときには、可及的速やかにギルドから冒険者に対して調査依頼が出されるようだ。
「待って。私たちもティミルの木を探したいの。調査に同行することはできないかしら?」
「それは、構いませんが・・・。けれど、身の安全の保障はできませんよ?」
「構わないわ。こっちも急いでいるのよ。」
「え、俺も行くの?」
俺はディアナに聞く。
「そうよ。依頼料渡しているじゃない。」
「それはそうだが。」
「何言っているの。ゾンビを倒せる人なんてそんなにいないのよ?」
「あれは、たまたまで・・・」
「はいはい。たまたま、聖水がすごかったのよね。」
うーん、俺自身は問題ないのだが。しかし、俺だけではディアナを守り切れるかどうか分からん。
「ちなみに、調査に向かう冒険者のランクはどれくらいだ?」
「まだ冒険者に正式に依頼を出しているわけではありませんが、少なくとも銅級以上、できれば銀級の冒険者に依頼しようと思っています。」
銀級か。なら問題ないか??
「依頼するパーティーが決まれば、事前に一度お会いすることもできますが、そうしますか?」
「ああ、そうする。頼んだよ。」
「承知しました。」
俺が宿に帰ると、すぐにリアリトアが聞いてきた。
「どうだった?」
「やはり冒険者だったらしい。」
「・・・うん。それで、どうするの?」
「ディアナはティミルの木を探したいようだ。ギルドは他の冒険者を派遣するが、俺もそこへ行くことになった。」
「私も一緒に行こうか?」
「同行する冒険者次第だろう。だが・・・。俺一人ではディアナを守り切れないかもしれない。一旦冒険者と話をするだろうから、少し待ってくれないか?」
「分かったよ。」
「そもそも、ゾンビってどうやって生まれるんだ?」
俺はあまり他の魔族や魔物の成り立ちについて詳しくない。
「うん?・・・まずは、死体に魔素が溜まって自然発生するもの。これが一番被害が少ないパターンだよ。その他は、あまり考えたくはないけれど、ネクロマンシーによって人間から変化するもの、レッサーヴァンパイアの眷属にされた人間、リッチーの呪いによって人間から変化したもの、みたいなことがあるよ。」
「うげ、自然発生する以外、全部魔族がらみじゃねーか。」
そして俺もその魔族ではある。
「あはは、そうだね。」
リアリトアは苦笑する。
「ちなみに、リアリトアはゾンビを生み出す魔族相手にどの程度自信があるんだ?」
「んー・・・。ネクロマンサーは個体によって随分と力の差があるし、リッチーは少し手こずるかも。でも、レッサーヴァンパイアには確実に勝てるよ?」
もしリアリトアで苦戦するような相手が出るなら、銀級冒険者では歯が立たないおそれがある。
「ね、私も一緒に行ったほうがいいでしょ?」
「神殿から逃げているやつが、なーに言ってんだよ?」
我ながらとても正論である。
「むぅ。」
くそ、狙ってやってんのか?まったく、聖女ってやつは、じゃなかった、聖騎士か。
翌日、俺は再度冒険者ギルドに向かうが、今回も冒険者ギルドでディアナと待ち合わせをしている。
「ディアナ、待たせたな。」
「ええ、さっそく行きましょう。」




