4話
―マジシャンの効果が切れました。―
意外なことに、マジシャンを使用して1日が経っても、家は残ったままだった。
ただし、骨格に当たる部分が残り、どうやら魔法生物としての機能はないようだ。
適当に女が風呂から上がるのを待つ間、今度はコーヒーを飲むことにする。
残念ながら用意されたものはインスタントコーヒーだった。今度準備できるなら、ドリップタイプにしよう。
そうこうしていると、浴衣を着た女が風呂から出てくる。
「上がったわ。こんなところにお風呂がある家があるなんてびっくり。」
そうだろう、そうだろう。俺だってびっくりする。
「湯冷めしないうちに早く寝ろよ? 」
「私もそれ、飲んでみたい。」
俺のコーヒーを飲んでみたいと言い出す女。
「だめだ。眠れなくなるぞ。・・・ココアがあったか。」
コンロでミルクを温め、ココアを溶いて出してやる。
「ほれ。これ飲んだら寝るんだ。」
見た目は10代も半ばの少女だが、こいつの戦闘力はとんでもなかった。
油断してはいけない。
「ねえ。あなた一体何なの? 」
「だから俺は魔族だ。」
「なら、どうして人間に擬態しているの? 」
-―はあ。なんか適当に答えておくか。
「高すぎる俺の戦闘力がばれては困るからな。」
「・・・お世辞にも高すぎる戦闘力とは言えないようだけど。」
「嫌味か? おかわりは? 」
「いらない。ありがと。」
そう言うと、寝室に戻ってしまう。
かっわえー。俺が人間だったら惚れるところだ。
女が部屋に戻って少し経って。さて、俺にはやらねばならないことがある。
当然、ボランティアで眷属を作り、リバースを使用したわけではない。
リバースを使用したとしても、闇の眷属同様、そのステータスを見ることができるのだ。
今後のため、あの女がどれくらいの強さなのかを知っておく必要がある。
―ステータス・オープン
名前:リアリトア・ルーシェ
職業:聖騎士
種属:人間属
装備:ミスリルの短剣、聖騎士のローブ、羽の靴
魔法:
セイントアロー、セイントスピア、ホーリーウィップ、ディバインソード
セイントバリア、フォートレス、紋章結界
ヒールウィンドウ、アンチカース、ターンアンデッド
フォトン・レイン
チャーム、解析
技能:無詠唱、多重詠唱、身軽
固有:
血族〔セイクリッドヴァンパイア〕、盟主召喚〔セイクリッドヴァンパイア時〕
フォトン・エクスプロード(セイクリッドヴァンパイア時)
HP: 120 (魔力ボーナス+4800)
MP:9800
攻撃力:A(魔力ボーナス)
防御職:S(魔力ボーナス)
魔力:SS
素早さ:S(魔力ボーナス)
魔法攻撃力:SS
魔法防御力:S
状態:睡眠、魅了(弱)、無名の者の加護
・・・強すぎるだろ。
ってか、あの魔族、この女を一刀両断したのか。
切り札を使ったとはいえ、相手が油断しきっていたことが幸いした。
解析って?
気になったので、説明を見る。
「対象のステータスを調査する。魔族を見極めることができる。」
なるほど、この解析を使用されると、俺の変装のスキルが見破られてしまうらしい。
―そしてもう一つ。
セイクリッドヴァンパイア。それは聞き覚えのあるものだった。
翌日。俺はすっきりとした朝を迎える。色んなことがありすぎて、少し疲れがあったのかもしれない。
ふと寝室を見ると、女はまだ眠っているだろうか。
少し様子を見に行くか。断じて下心ではない。
ギィ
扉を開けると、女は寝ていた。いくら何でも無防備すぎないか?
ハッ。もしや近づいたところを、グサっとするつもりだな?
その手には乗らないんだぜ!
―ステータス・オープン
状態に睡眠があることを念のため確認しておく。
ふっふっふ。よきかな、よきかな。女を覗き込む。
ぐぇへっへ。どう料理してやろうかのぅ。
「―ん、お兄ちゃん・・・」
思わず俺は、頭を撫でてやる。
――遠い昔に、誰かにそうしたように。
「・・・えへへ。」
あ、やばい。嫉妬に狂いそう。おのれ!どこかのお兄ちゃんめ!
謎にダメージを受けながら、寝室を後にするのだった。




