表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/66

プロローグ

 俺は今ダンジョンの、いわゆる中層くらいの場所にいる。

 ここは魔物がほとんんどおらず、冒険者もめったに入ってくることはない。


 ―にも拘わらず、俺は今窮地にあった。


 「どこへ行くの? 」


 女は言う。大きな目、柔らかそうな色の薄い金髪、どちらかといえば小柄である。髪は肩にかかるくらい。その服装の紋様には見覚えがある。あれは神殿のものだ。魔法使いだろうか、上品な服を着ている。きっと俺より年下だろう。相当な美少女である。


 「誰だよ、アンタ? 」

 誰だ、こいつは? 俺はゆっくりと、後ろに下がる。


 「あなた、魔族のくせに、生意気なのね。」

 女は一歩ずつ前に進む。


 「いや、人間なんだが? 」


 これは嘘だ。スキルでステータスを人間に偽造している。しかし、これを見破ることができる人間は数少ないはずなのだが。


 「嘘ね。」

 女はこちらを睨みつける。


 女はすっと指を動かし、何も言わずにそこから鋭い光を打ち出した。


 ジュッ


 気が付くと俺はダンジョンの壁に追い詰められていた。顔のすぐ傍に小さな光の矢のようなものが着弾する。


 「うぉっ!」


 ーなんだこの女は。

 

 この世界に来て魔法を何度か見たが、基本的に詠唱を必要とする。しかし、今のは指先の動きだけ。今の俺ではまず間違いなくこの女に勝てないだろう。


 「リアリトア様!」

 上からぞろぞろ白い騎士のような恰好をした人間がやってくる。目の前の女はリアリトアというらしい。


 「ガディウスの予見の通り、魔族を見つけたわ。まさかこんな所にいるなんてね。」


 予見ってなんだ? そもそもこいつらは―


 「あなた達は下がって。私が捕える。」

 指から今度は光の輪のようなものが飛び出し、俺の体を縛る。


 「なんじゃこりゃ!? 」

 これは何だ? 光輪のようなもので、触れることができるようだ。触れてみると、少し温かい感じがした。


 「・・・こいつ本当に魔族なんですか? 見た感じ、魔力がほとんど感じられませんが。」

 後ろの騎士がそう言う。


 「そうね。でも油断しないで。」


 ―どうしてこうなった?


 いざとなれば転移してしまえばいいが、できればやりたくない。痛い思いはしたくはないのだ。それに今は情報が欲しい。


 「なあ、あんたら何者なんだ? 」


 「だまれ!」

 後ろの白い騎士の恰好をした男が言う。


 「大人しくついて来ることね。」

 女はそう言った。


 俺はため息をついた。

 

 ――今日はついてない。

 


 場の緊張がふと揺らいだ、そんなときだった。


 下から誰かが来る。コツ、コツ、コツ。足音が響く。


 「なんだ? お仲間か? 」


 「しゃべらないで。誰か下に潜っていたの? 」

 女が騎士に確認するが、誰も頷く様子はない。

 そちらを凝視すると、影から男が姿を現した。目は赤く、爪は長い。魔族に違いなかった。


 「あん? 誰だ、てめえ? 」

 男は俺の方を睨み、そう言った。


 「何で俺以外に魔族がいやがる。」


 女がその瞬間、何本もの光のヤリ(でかい!)を男の方へ飛ばす。


 男はそれを腕で防ぐ。


 「逃げなさい!」

 女は騎士に叫ぶ! だが、騎士達は困惑している。


 「遅えよ。」

 男は飛び上がり、黒い、杭状のものを騎士に向かって投げつけると、大きな白い防壁が騎士たちを覆う。

だが、その黒い杭は難なくその防壁を打ち破った!


 黒い杭が突き刺さった騎士はその場に崩れ落ちる。女は白い紋様の結界のようなもので黒い杭から身を守っていた。

 「さすがは聖騎士。だがよ。」


 男は姿を消す。

 ―俺の目では追いきれない。

 だが女には見えているようだ、女は咄嗟に男に向かって光の剣をふるう!


 「―あっ・・・」

 しかし、男は黒い杭のようなものを禍々しい剣の形に変え、女より早く、結界ごと女を真っ二つに切り裂いたのである。



 俺を拘束していた光輪は冷たくなって砕け散った。


 ―俺が、やるしかない。

もし面白いと思って頂ければ

お気に入り登録、ブックマーク

下の☆☆☆☆☆から作品の応援をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ