11話
翌日。
冒険者はまだまだ足の疲れを見せない。俺はといえば、もはや足は疲れ果て、今は大人しく馬車の中である。まだ足の筋力が足りないのかもしれない。鍛錬が必要だろう。
ちょうど、大小、様々な形の岩がある部分に入ったときのこと。正午あたりのころだった。
「ちょっと待って!」
ルイナが緊張した様子で叫ぶ。
「・・・いるわ。」
すると岩影からぞろぞろと盗賊共が姿を現す。
「女は殺すな。他は殺せ。」
1人の男がそう命令すると、戦闘が始まったのだ。
――盗賊の数は多い。10人以上はいる。
念のため、馬車から外へおりる。筋力魔法を使えばすぐ疲労が回復することがこれまでの経験から明らかだった。
ポーションと魔法頼みであるが、いざとなったら俺も戦う必要があるだろう。
「そらよ!」
アルが颯爽と盗賊1人を倒す。
「オラあ!!」
タムがルイナとミーシャを守るようにしながら、盗賊たちを蹴散らす。
シュッ、シュッ
タムの合間からルイナが冷静に弓をひき、盗賊に適格に当てていく。
意外だったのは、ウィズである。
メイスで刃物をもった盗賊といい勝負をしているのだ。
彼女は後衛とばかり思っていたが、タムと反対側に立ってルイナとミーシャを守っている。
神官とは前衛もできるのか。
「詠唱完了よ!下がって!!」
少し長めの詠唱のあと、ミーシャがそう言うと、
「ファイアーボール!」
ドン!ドン!ドン!!!
通常のサイズより大きめの炎の玉が冒険者から放出される。
ちなみに俺たち採掘師は冒険者とは離れたところにいるが、盗賊から見向きもされていない。やはりあの盗賊たちは冒険者狙いなのだろう。
ざっと見える範囲で盗賊は7人程度まで減っていた。
しかし。ふいに、ザクッという音がした。
「うぐっ!」
みればアルが盗賊に脇腹のあたりをざっくりと切られていた。アルの相手は明らかに強そうな、雰囲気のある男だ。
あれが盗賊の頭目だろうか?
「オラあ!!!」
その瞬間タムが飛び出て、素早く頭目を盾ではじく。
次に、ウィズが飛び出て、すかさずアルの回復をする。
ウィズが回復に移動したことで、ミーシャとルイナががら空きだ。
―まずい!!!
そう思うと同時に、俺は駆け出していた。
「ストレングス!」「マッスルパワー!」「パワーアップ!」
カアン!!!
間一髪で、ミーシャに向かって振り下ろされた剣をはじく。
強いぞ、こいつら。
手のしびれを感じつつ、後ろの2人を守る。
ヒュン
ルイナの矢が盗賊にあたり、その態勢が崩れたところをすかさず、剣をふるう。
キイン!
剣を受け止められてしまう。
矢が刺ささった相手が俺の剣をはじいたことに驚愕しつつ、そいつに蹴りを入れ、吹き飛ばす。
アル達の方を見ると、頭目1人に対して、アル達3人で踏ん張っているようだ。
つまり、残りの盗賊はこちらにいるということ。ここでやられるわけにはいかない。
―だが、こちらには魔法がある。
俺の切り札をきる必要はないだろう。俺はその時間を稼ぐことができればよい。
上手くルイナが牽制するおかげで、相手は簡単には攻められないだろう。
―こちらから打って出ることにする。
「おりゃあ!」
剣を振り下ろす!
案の定防がれるが、そこにルイナの矢が刺さる!
「くそが!」
盗賊たちはかなり戦いにくそうだ。
もう1人が攻め入ろうとするが、俺は剣で受け止める。いい感じだ。このステータスでも、何とか戦うことができている。
先ほど囲んだ陣形をファイアーボールで一網打尽にされたせいか、相手はこちらを囲もうとはしない。
そうこうしているうちに。
「ファイアーボール!!!」
またしてもミーシャの杖から複数の大きな火球が放たれ、盗賊2人に直撃する。
――後4人。




