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クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


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砂浜の結婚式(8)

 先々のことを考えると、挙式にお金をかけることはできないので、挙式は諦めることにしたということだった。新婦は、挙式を楽しみにしていたので残念でならないと、肩を落としていたという。


 確かに、妊娠が分かったからと、挙式を取り止めにする人は珍しくないと聞く。しかし、挙式を諦めるのは勿体ない。せっかくの思い出を形に残したいのに諦めざるを得ないなんてと、やるせない気持ちになった。


 私の心情を読み取ったのか、三嶋さんは意味ありげな笑みを見せる。


「……そこでご相談なのですが、もう一組、低価格プランを体験して頂くというのはいかがでしょうか?」


 なるほど、そういうことか。挙式をキャンセルするくらいなら、いっそ、安価なプランに変更したらどうかと。挙式費用は抑えたいけれど、結婚式は挙げたい。低価格プランは、そんなカップルを取り込むための企画なので、企画対象としては悪くない。


 しかし、だ。私は、チラリと隣に立つシロ先輩を見る。シロ先輩は、しばらく考える素振りを見せた後、ゆっくりと口を開いた。


「今回の挙式の改善点などをフィードバックさせていただくことが、私たちの仕事になりますが、その時間は確保できそうですか?」


 クライアントの意向を無視することはできない。しかし、こちらも仕事である以上は、クライアントの要望に応えるだけでなく、より良いものにするために努力しなければならない。それができないのであれば、そもそもこの仕事を引き受けてはならないのだ。


 すると三嶋さんは、にっこりと笑う。


「こちらのカップルの挙式予定日は3ヶ月後になりますので、これからいろいろと決め直すとなると、正直、時間はありません」


(やっぱりそうきたか)


 私は内心で毒付いた。クライアントは時として、こうして無理難題を私たちに突きつけてくる。


 今回の場合、三嶋さんの言う通り、これから挙式内容やスケジュールを決め直すとなると、時間が足りない。


「そうなりますと、こちらでの新たな企画提案は厳しいかと思われます」


 シロ先輩は厳しい顔で首を振った。つまり、今回のような体験型挙式をすぐに提案することは無理だということだ。


 しかし、そこで引き下がる三嶋さんではなかった。三嶋さんは、私とシロ先輩の顔を交互に見る。


「本来の契約ですと、一挙式ごとにフィードバックを行っていただき、次に活かすという流れになっておりますが、今回に限り、フィードバックは二挙式分まとめてで構いません」

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