表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/155

砂浜の結婚式(2)

 ジャケットは、流石に暑いので、手に持っていく。姿見で全身を確認する。よし、完璧。


 バッグを手に取り、玄関に向かった。靴箱の上に置いてあるキーケースに手を伸ばす。


 ちょうどその時、スマホが鳴った。表示された名前を見て、一瞬ドキッとする。深呼吸をしてから、通話ボタンをタップした。


『もしもし? クロか? ちゃんと起きてるな』


 電話の向こう側から、シロ先輩の声がする。私は努めて平静に、明るい声で返事をする。


「もちろんですよ。どうしました? 何か急用ですか?」

『いや、休日出勤なんてなかなかないからさ。寝坊とか、してないよなと思って』


 シロ先輩の言葉に思わず苦笑いを浮かべる。確かに休日出勤など、入社して初めてのことだ。しかし、社会人である以上、こういうこともあるだろうと思っていたので、特に問題はない。


「シロ先輩、私だってそれなりに社会人やってるんですよ。心配無用です。今から家を出るので、バッチリ時間前には着くはずです。それでは現地で」

『お、おう。気をつけてこいよ』


 シロ先輩との電話を終えると、私はドアの鍵をかけ、エレベーターへと向かった。


 エントランスを出ると、容赦のない夏の陽射しが目に刺さり、一瞬目を細める。空には雲一つなく、まさに快晴だった。


 駅に向かって歩きながら、シロ先輩のことを思い浮かべる。


(それにしてもさっきの電話、私が寝坊して遅れるって思っていたってことだよね? 私って、シロ先輩の中でそんなに子供っぽいのかなぁ)


 そう思うと、胸の奥がきゅんと疼いた。少しガッカリしながら、駅のホームに立つ。ほどなくして電車が来たので乗り込むと、運良く座ることができた。


 電車に揺られながら、窓の外を流れる景色を眺める。このところ残業続きだったので、こうしてゆっくりと外を見る余裕もなかった。車窓から見える風景を見ていると心が和む。流れる木々の緑や、立ち並ぶビルの白さが目に飛び込んでくる。時折、大きな入道雲が見えることもあった。こんなふうにゆっくりと外の景色を見ていると、時間を忘れてしまいそうだ。


 しかし、今日だけは時間に追われていなければならない。なぜならば、今日は私たちの企画が実現する日なのだから。


 目的の駅で降りると、改札口を出て、待ち合わせ場所に向かう。駅前には、既にシロ先輩の姿があった。


「おはようございます。朝から連絡をくれただけあって早いですね」


 そう声をかけると、シロ先輩は私の方を向いて、ニヤッと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ