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クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


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好き、かもしれない(5)

 萌乃の勢いに面食らい、私はポカンと口を開けてしまった。


 好きとは? つまり、そういう意味の好きなのだろう。萌乃は、白谷吟に好意を抱いている。彼の力になりたい。しかし、自身の成長は思うようにはならず、それをもどかしく感じているらしい。


 なるほど。そういう想いが根底にあったのであれば、萌乃の焦りにも似た、この取り乱し方にも納得がいく。誰しも、好きな人には迷惑はかけたくないし、どんなことでも力になってあげたいと思うだろう。


 しかも、萌乃の恋の相手は、あの爽やかパーフェクトヒューマンなのだ。社内外に彼を狙っている人がいる。萌乃のライバルは一体何人いるのだろうか。ライバルの存在は、否が応でも目につく。焦るはずだ。そんなライバルたちに差を付けて、少しでも意中の相手に近づくためには、相手に合わせていくほかない。たとえそれが自分に無理を強いる努力であっても。


 萌乃からはそんな鬼気迫る想いが感じられた。


 私は、萌乃の手を離すと、(ぬる)くなってしまったカップに口をつけ、一息つく。


「そっか。萌ちゃんは白谷先輩が好きなのね」


 改めて私が口にした言葉に、萌乃は耳まで赤くして固まっている。勢いに任せて口走ってしまったことに、いまさらのように気が付いたようだった。


「あ、あの……今のはなかったことに」

「どうして? 白谷先輩への想いが、萌ちゃんの原動力なんでしょ?」

「そうですけど。私なんかじゃ、とても、白谷さんのお力になれないことも分かっているんです。出過ぎた想いだって」

「出過ぎた想いって。とことん自分を否定するのね」


 苦笑いが漏れる。強い意志はあるのに、自己肯定感の低さがそれを邪魔して、彼女の魅力を半減させていることが、勿体ない。


「ねぇ。自分の事を虐めるのやめない?」

「え?」

「私なんかとか、ポンコツとか、出過ぎたとか。萌ちゃんには、萌ちゃんの良いところがあるのに、勿体ないよ」

「私の?」

「そう。確かに仕事ではミスがあるかもしれない。白谷先輩に迷惑をかけているかもしれない。でもそれって、先輩に近づきたい、力になりたいって、萌ちゃんが力み過ぎて空回りしているからじゃないかな」

「空回りですか?」

「うん。萌ちゃんには萌ちゃんのペースがあるはず。それなのに無理して先輩に合わせているのだとしたら、ミスが出るのも当然だと思うよ。先輩に、自分のペースに合わせろって言われたりした?」

「いえ。いつも、ゆっくりでいいからねと言って下さいます」

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