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クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


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好き、かもしれない(4)

 仕方がないので、私はもう少し萌乃の悩みに付き合うことにする。


「萌ちゃんは、白谷先輩に仕事で迷惑をかけて申し訳なく思っているのよね?」

「はい。そうです」


 私の問いかけに、萌乃は小さく頷く。


「だったら、同じミスをして迷惑をかけないように、仕事を覚えることが一番いいと私は思うのだけれど、違うかな?」


 諭すように萌乃に語り掛ければ、萌乃は小さく同意の意を示す。


「それはそうだと思います。それは分かってはいるのです。でも……」

「でも?」


 萌乃はじれったそうに顔を少し歪め、意を決したように声を張った。


「私は、白谷さんのお力になりたいんです」


 そんな萌乃に少々気圧されつつ、私も何とか声を出す。


「う、うん。だからね、先輩の力になるためには、まず、仕事を覚えてミスをしないように成長して……」

「そんないつになるか分からない成長を待ってはいられません。それに、私、ポンコツなんです。そんな私が成長するなんて、奇跡に等しいです」

「え? ポ、ポンコツ……?」


 萌乃の自身を否定する物言いに、私が思わずポカンとしている間にも、ヒートアップした萌乃の口からは、次々と自分を否定する言葉が溢れ出す。


「私なんて、物覚えも悪いし、要領も良くないし、気が利かないし、すぐ目の前の事でいっぱいいっぱいになっちゃうし」

「え? え? ちょ、ちょっと待って萌ちゃん」


 私は、思わず萌乃の手を取る。興奮しているのか、萌乃の手は、小刻みに震えていた。その震える手を私は両手で優しく包んだ。


「ねぇ。萌ちゃん。誰かに何か言われたの?」

「……いえ」


 萌乃は、私に包まれた自身の手を凝視したまま、小さく頭を振った。


「じゃあ、どうして自分をそんなにひどく言うの?」

「……だって、本当の事なんです。昔から私、物覚え悪いし、要領も悪いし」

「ああ。うん、わかったから。もうそれ以上は」


 慌てて彼女の手を軽く叩きながら、私は彼女の言葉を止める。しかし、興奮が収まらなかったのか、萌乃は、そのまま、言葉を続けた。


「そんなだから、私、白谷さんに申し訳なくて。いつもいつも彼の足を引っ張っている自分が嫌なんです。白谷さんのお力になりたいんです。白谷さんを助けたいんです。白谷さんに頼って欲しいんです。だって、私、私……」

「萌ちゃん。一旦落ち着こ。ね」


 ヒートアップしている萌乃に声をかけるが、萌乃は勢いのままに言い切る。


「白谷さんが好きなんです!」


 萌乃の突然の告白が、小会議室に響き渡った。

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