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クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


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行ってみっか(7)

 そう言った理沙は私の隣に立つ白谷吟へチラッと視線を向けると、驚いたように目を瞬かせる。それから、もう一度私をじっと見つめてきた。その瞳には敵意にも似た対抗心が宿っているように見える。


 理沙の視線に一瞬戸惑ったが、すぐにピンときた。


(あぁ。そういうことね)


 隣に立つ白谷吟へチラリと視線を移す。彼は、相変わらずの絵に描いたようなイケメンスマイルを理沙に向け、ペコリと頭を下げていた。そんな白谷吟に理沙は極限まで頬の筋肉を緩めている。


 理沙は、私がこのイケメンと結婚すると思ったのだろう。イケメン好きの理沙の嫉妬心に火が着いてしまったわけか。


 私は苦笑いを浮かべる。そして、誤解を解くために口を開いた。


「いやいや、……違うから」


 私の言葉を聞いても、まだ信じられないのか、理沙は疑い深い眼差しで私を見ながら、白谷吟へと一歩近付いた。彼は不思議そうな表情で首を傾げる。


 理沙が白谷吟へ向かって口を開きかけたその時、視界にシロ先輩の姿が映った。シロ先輩は、受付カウンターの前に立つ女性社員と話をしていた。どうやら、先方が手配してくれた案内役のようだ。シロ先輩は、その女性社員と会話を交わしながら、こちらへ歩いて来た。


「お待たせ」


 シロ先輩が爽やかな笑顔を見せる。理沙は、シロ先輩の顔をまじまじと見たあと、再び私の顔を見た。それから、ゆっくりと微笑む。理沙から敵対心が消えたのを感じた。


「もしかして、明日花のお相手はあちらだった?」


 理沙は悪戯っぽく笑う。その勝ち誇ったような顔がなんとも憎たらしい。


 私は肩をすくめる。それから、シロ先輩に視線を向けた。白谷吟ほどのイケメンではないが、シロ先輩だってそれなりだ。理沙の態度に

私は何故だか苛立ちをおぼえた。


 私はため息をつく。この感情が何なのか分からない。ただ、あまり良い気分ではないことは確かだ。私は、自分の胸の奥に生まれたモヤッとした気持ちを誤魔化すかのように、理沙に向かって笑顔を作った。


「ハズレ。どっちも違うから」


 私の答えに、理沙はキョトンとする。理沙の恋人らしき男性は、私と目が合うと気まずそうに頭を掻いてから、理沙の腕を引いた。打ち合わせに遅れると恋人に促された理沙は、渋々その場を後にした。


「何だ? 知り合いか?」


 理沙たちの背中を見ながら、シロ先輩が尋ねてくる。私は、苦笑いを浮かべながら答えた。


「例の、結婚を控えた友人です」


 それだけでシロ先輩は察してくれたようだった。

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