表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/155

行ってみっか(3)

 これは私の心の問題で、私が勝手に抱え込んでしまっているだけだ。シロ先輩は何も悪くない。


 むしろ、シロ先輩のおかげで、私はモヤモヤとしたストレスから少し抜け出ることが出来たのだ。私は首を横に振る。


「いえ。シロ先輩のおかげて、自分の中で答えが出たんです。繋がりを断とうが、そのまま続けていようが、どちらにしても私はウジウジと悩んでしまうんだと思います」


 いずれにしても、私だけでは自分の中で決着をつけることが出来なかっただろう。だから、シロ先輩の言葉は前に進むきっかけになったのだ。


 私は、改めてシロ先輩に感謝を伝える。すると、シロ先輩はフッと表情を和らげた。


 タクシーの車内は、静けさに包まれた。時折、車が揺れる音だけが響く。


 ふいに、ふわりとシロ先輩の手が私の頭に乗せられた。特に撫でるでもなく、ただ乗せられているだけのその手からは、シロ先輩の体温を感じられる気がした。温かくて、気持ちが安らぐ。


 不思議だ。どうして、こんなにも安心できるのだろう。どうして、こんなにも心地良いのだろう。


 シロ先輩の横顔を見る。視線に気付いたのか、こちらを向いたシロ先輩と目が合う。いつもよりも眼差しが優しい気がした。シロ先輩は、私の頭をポンと軽く叩くと、また正面に向き直る。


 タクシーが止まるまで、私たちはお互いに何も話さなかった。


 タクシーが会社の前で止まる。既に来客が待っているシロ先輩を先に行かせて、私は、料金を支払い車を降りた。タクシーを見送った後、社屋の中に入ると、エントランスホールには見知った姿が見えた。


 同期の由香里だった。「あ! 矢城」と、由香里は私の姿を見つけるなり駆け寄ってきた。


「おつかれ〜」

「お疲れ。会社で会うの久しぶりじゃない?」


 由香里の言う通りだった。彼女とは、婚活をしていると聞いた、あのランチの日以来会っていなかった。


「そうだね。同じ会社なのに全然合わないよね」

「うん。なんかタイミング悪いというか……」

「そうなのよねぇ。まぁ、しょうがないけど」


 私が所属している営業部は、忙しい部署の一つだ。しかも、新プロジェクトが始まったこともあり、バタバタとしていた。由香里の方も決算期と新年度の手続きで繁忙を極めていたようだ。


「もうずっと残業続きだよ。マジでクタクタ。早く結婚決めて、仕事辞めたいって思っちゃったもん。まぁ、忙し過ぎて、今は思うように活動も出来てないんだけどね」


 由香里の言葉に私は苦笑いを浮かべる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ